1.ビー、地球にやってくる。
宇宙の彼方からやってきた観察者ビーの独り言。
ビーはね、こことは違う銀河からやってきたの。
知識を蓄えることを目的にした生体宇宙船なのよ。
ビーを送り出した人々は(便宜上、人ってことにしておくわね)残念ながら、たぶんもうこの宇宙にはいなくなってるの。
今から、ずいぶん前のことだけども、ビーを送り出した星に設置してあったビーコンが、あ、ビーコンって言うのはね、どこにいてもわかるように、いつでもここちよい信号を発信しているものなの。
そのビーコンが反応しなくなったので、星のあった場所まで行ってみたのね。でもそこにはなにもない空間が広がっていたの。
いまだに、なにがあったのか分からないの。
ビーを生み出してくれた超が付くほどの科学文明を誇った星だから、誰かに攻撃されたとかとは考えにくいと思うのね。
たぶん、何か考えがあって姿を消したんだとは思うけど・・・。
あれから、ずいぶん経ってしまったけれど、初めに受けた仕事を今でもまもって調査をしているあたしって健気でしょ?
最近のお気に入りは、ビーが送り出されてから訪れた3つ目の銀河で
少々星の疎らなところの太陽から数えて3個目の星なのね。
最初、なにげなくこの銀河を眺めていたら、なんか、むずむずするような弱い電波があたしの船殻をなでていったの。
これはなんだろうって、思わずあたしは電波の出どころを探していたのね。
あまりにも弱いので気のせいかなとも思ったんだけど来てみて正解だったわ。
青くてきれいな星に、手足が長くて丸い頭がちょこんとのった、なんともかわいらしい生命体がいたの。
文明自体はまだまだ初期の段階で、やっと星の外に出始めたところかな。
この生命体が「私たちはここにいるぞ」って、宇宙に向けて発信した電波だったのね。
でもね、もうちょっと大きな声で叫ばないと、だれにも見つけてもらえないと思うのね。
この星にはいたるところその生命体がいるんだけど、なかでも、大きな大陸の端っこにちょこんとくっつた、ミカズキ形の部分にすんでる生命体がおもしろいの。
彼らの思考形態は一貫性はないんだけど想像力っていうのかな、妄想?はすごくて、そこから生み出されるマンガ、アニメは、思わずのめり込んじゃったの。
どこか観察できるいいところはないかなって探したんだけど、そばに小さな星がくっついてるじゃない。
これだって思ったわね。
この小さな星をちょっとフィールドで外界と遮断して、ちょいと時間軸を5秒だけずらしてどけて、そこにビーは納まったの。
当然、表面はその小さな星とそっくりに偽装してね。
まあ、この青い星の科学レベルなら大丈夫でしょ。ビーは、質量や体積なんか自由にかえれるし、なにかあれば異空間に逃れればいいわけだし問題なしなの。
太陽からの風も心地よいし我ながらいい考えだったわ。で、今日も観察にいそしんでるってわけね。
なんかおもしろいことってないかなあ。
お読みいただきありがとうございます。
まだまだ始まったばかりで先は長いのですが
お付き合い頂ければ嬉しいです。
2013_0816_表現変更しました。