表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手紙から始まった交際・・・・だけど  作者: ロックハート
99/109

99 女子会にて

夢だったのか、それとも意識が通じたのかは知る由もない、長い告白が済んでから

 覚醒後も時々ではあるが携帯で連絡を取り始め、しかし一方的にこちらからかける電話だった。

 相変わらず話題が続かずぎこちない会話に終始し、終わった後は少々の後悔と羞恥心が残るのはいつものことだった。



 それも、時間が経過するごとに共通の話題がなくなり電話も途切れた。


 唯一の再会は通勤経路ですれ違う車で見かけることと、季節ごとにクリーニング店から預けている服を受け取るのだろう、駐車している車を見つけると、声をかけることもあった。


 たまたまなのだろうが、通勤経路と時間帯が一致したために朝、夕に会えることができた。


 なぜか他にも地元に残っている同級生はいる。しかししばしば見かけるのは淳子だけだった。

 自分は、これも淳子とは不思議な“縁”があるのだと、勝手な思いをしていた。無理にでもそう思いたかったのだ。


 ある日突然に富美子から電話。地元にいる仲良し四人で女子会をしてるんだけど、今度 健太郎君も来て頂戴。


という中身だった。二つ返事で行くと答えたが、メンバーはだれか知らなかった。



 仲良し4人組で、割りと頻繁に食事会やらをしているらしかった。

らしい と言うの、全くそのことを、初めて呼ばれるまで知らなかったからだ。いつから始まって、だれが初めたかも。

 自分が呼ばれたのは、やはりマンネリ化とか、話題も尽きかけたからからだろうと想像してみた。

恰好の話題作りとか、淳子も参加していることから、以後欠かさず参加することになるのだが、一名を除き、自分の過去に何らかの関連がある女子である。初めて呼ばれた時から、2回目までは、全員に小さな花束を持っていった。


 淳子の分は一本多く花を添えて。渡すのを間違えないよう、紙袋の一番奥に入れて絶対に間違ってはならないと気をつかった。その気遣いもうれしかったし、楽しみだった。


淳子は、花束を受け取った時に


「わー嬉しい」


と一言。自分もうれしかった。


 幸いにも、一束だけ一輪多いことは他のメンバーには気づかれなかったため、内心ほっとしたのも事実。みなアルコールが回ったころ淳子に耳打ちで、「あなたのだけ一輪だけ花が多いのであまりみんなに見せないで」と告げたが、その意味も理解してくれたかどうか。


 もうしばらくすると、さすがに酔っ払った。実は、女子会に御呼ばれして、どんな扱いにされるか少々ドキドキだった。同級生といっても、少々年を食った女子。四人と一人でなくとも口では到底かなわない。特にも富美子は口が達者だった。誘ってくれたのも富美子。まあ最初に口に出したのは誰か定かではないが。


 またしばらくたって。少し自制心が効かなくなる。しかしまだ正気は失っていない  と思っていて、周りの女子は、賑やかに歓談中の隙を見計らい

淳子の耳に近づき「今でも大好きです」 と囁いた。


 淳子の表情は、変わらず、淡々としている。 少し期待外れ。少しは何かを期待していたことは正直な気持ちだったので、またまた・・・・・ 何度目かの  いや何度も俺の気持ちはすかされることになってしまった。



 二回目に呼ばれた時も、花束を持って行ったが、淳子は欠席だった。彼女用に作った花束は、スナックのママにあげた。当日の幹事は、ママにあげた花束を、こっちのほうがいいと言って、交換した。

 さすが女はこういう違いには、めざといと思った。淳子だけ一輪多いことが知られるのではと思い、少しひやっとした。花束を贈るのはここまでだったかもしれない。


そして富美子からは、「淳子ちゃんがいなくて残念だったね。健太郎君」


というおまけつき。



 幹事からは、何も買ってくることはないよとの連絡で、以後は何も買って行かない。一度だけ誕生会のとき、二人だけに花束を買ったが、それが3回めだったかは定かでない。


 女子会御呼ばれも何回目か、女子会とは何を話しているのか大分理解してきたのだが、時々昔の話題に触れることがあった。

 それは、淳子が参加すると答えていても参加しなかった同級会のことだった。自宅に電話して、家族が同級会に「出かけてます」と答えたときのこと。


 この、かつて噂していた彼女の不可思議な行動を、一人の女が彼女に聞いた。


「同級会に来るって言ってたのに、なんで来なかったの? なんで?」


 さすがに、自宅に電話をしていて、同級会に行くと言って、実は、同級会に来なかったことは伝えていない。


その時の彼女の回答は 


「いろんなことがあるの」


 とだけだった。勿論 浮気等の話題になったことは出さなかったが・・・それらしいニュアンスは伝わったはずである。


 そう 人生はいろんなことがあるのだろう。あえて嘘や、弁解の言葉を発しないで、いろんなことがある と答えたということは、俺らが想像しているような、それらしいことがあったのだろうか?

 今でも、好意を隠さない自分としては、気が滅入るやりとりであり、いろんな事って なんだろう と、昔のことではあるが気持ちが騒ぐ。


女子会では、話題が往々にしてジャンプする。

よく関心されるのだが、昔の話題になると、俺があーだった、こうだったと答えると、


「よく 昔のことを覚えているねー」


言われる。


 これは、自分だけではないのだろうが、淳子のことを忘れられないと同時に、その周りで起きたこともよく覚えていたのだった。

 そう 態度や言葉には表さないが、心の中では、後悔したこと、失敗したこと等々は、反芻するように思い出しては、どうにもならないことなのに、あの時はどうすればよかったのか?とかこうすればよかったのに とか 実際は、苦悩や後悔の連続である。


 しかし、誰にでも忘れられない思い出は、あるはずで、それを他人の前で語るか、語らないかの問題だけなのだとも思う。自慢気に話されるのは、イラッとするが、自虐ネタとして話せば、少しは聞いてもらえるのだろう。



 この時は、たまたま中学校の話題になった。それも男女交際の。


 ルリ子の手紙の件に触れてみた。今でも疑問が晴れないことの一つ。


「あのさ 中学の卒業式の時に渡された先輩への手紙って、何を書いていたの」

「付き合ってたのは、知ってるんだから正直に言え」

「俺なんか、よっぽど中を開けて見たかったけど、我慢して我慢して中を見ないで渡したんだぜ」

「中学生が、手紙を託されるなんて、中身に興味が湧かないわけがないんだから」


 ルリ子は、昔のことだからとか、忘れたとか必死に答えることを拒否したが、二十代前半で、同級生の結婚話が多く話題になっている頃、彼女の結婚話をやはり友人から聞いた。


 その時のうわさ話で、今の旦那との結婚は、急だったけど今までの付き合っていた彼とはどうして別れたんだろう などという話で少し盛り上がった。付き合っていた期間からすると、ひょっとしたら、今の子供は誰の子かわからない とルリ子が言っていた などという噂まで出たほどだった。

 

そんな経緯を聞かされていたわけで、しつこく食い下がった結果。


「あれはね」

「私も卒業するから、もう会えないね。いままでありがとう」


って 書いただけだという話だった。


 酔った席での、昔話である。皆、過去の秘話の告白程度にしか聞いてないわけで、そんなことで納得するはずがない。少なくとも自分は、納得せず、話題をふくらませるために、


「そんなはずはない、ずっと付き合ってただろう。エッチもしただろ」


と、少しでも真相に迫ろうと食い下がる。


 「そんなことしてません。ほんとにあそこで別れたんだってば」


という返事しか結局得られなかった。


「ほんとかよ。直接先輩に聞くぞ」


とまで迫ったが、まあこれ以上の解答は得られるはずもなく、告白タイムは終了した。


真相はどうあれ、話が盛り上がったことは確かだった。



 それにしても、当時付き合っていた、自分と、淳子の話題があがらないのはどうしてか?


 当人二人が同席しているのだから、興味が湧かないはずはないのだが、俺だけが、冷やかされる立場では、片手落ちと考えてしまうのは自意識過剰だろうか。

 女どうしでは、話題になりにくいということか、付き合っていたことすら知らず、俺の一方通行だと思われているのだろうか? そうであれば、当時の彼女の思惑通りに運んだということか。


 俺が一方的に恋慕していたとか、結果振られたということになっていれば、話題にしてもつまらないことかな。


 あ も一つ、俺と淳子が付き合っていたことは、知っていて、それでも俺が見事に振られてて、それでも淳子のことを忘れがたく思っていることを知っていて、話題にすると、生々しい話題になることを避けているのだろうか???



これからは、女子会の話題になります。大きな変化もないでしょう。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。もう少し続きますので、お付き合いいただければうれしいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ