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手紙から始まった交際・・・・だけど  作者: ロックハート
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93 寂しい山行

 離職して一ヶ月、再就職を目指しつつ、各種免許を取得しながらも時間は自由になる。

 地元山岳会の市民登山への参加申し込みも、馴染みつつ三回目か。

 淳子の参加も期待しながら当日を待った。

 前日にいつもの行動食を準備し、就寝。

 何かの音で眼を覚ますと、携帯が鳴っている。午前五時半ごろか


 携帯に出ると、山岳会のメンバー同級生から

「集合時間だよ。今どこ?」


「えー 寝てた。すぐ行くから」


と答えて、ザック、登山靴等々 車に積んで出発。前日にほとんど準備していて良かったと少し安心した。

 空はいつ降りだしてもおかしくない模様だが、出発時間は、まだ雨は落ちてない。


 雨天と察したか、最初から参加の予定はないのか、淳子は集合場所にいなかった。この山行の行程を癒してくれる彼女の同行がないことは、少々気持ちが滅入ることになる。


 同行者は皆バスの中で待っていたが、俺のせいで三十分程度の遅れで出発し、乗り込んだバスの中で少々バツが悪い。


 曇天のなか、いよいよ登山口に着いてさあ出発と荷物を担ぐと、いきなりのどしゃぶりで強い雨に見舞われた。

 これじゃ、中止かなと思いつつ、どうせ淳子もいないし中止を願ったが、同行者、山岳会のメンバーは、一向に相談する様子もなく当たり前の様に、雨具を着始めた。

 雨中の登山など、ましてや登山開始時点からの雨中山行は、初めてで、気分は最悪である。

 独身時代で、雨の中の縦走は経験があるが、それは、縦走中の山中で、どこにも逃げ場のない、そして、雨中でも、歩かなければ次の山小屋に辿り着けない場面でである。

 最初からの雨ではモチベーションだだ下がり。


 仕方なく、同行者に倣い雨具を付けて登山開始。まだ、一回も、いや霧雨程度で着ただけのほぼ新品の雨具で雨のはじきは最高。


 登り初めてから、わずか十数分か、すぐ雨はやんだ。ここでも流石、晴れ男の面目躍如と勝手にほくそ笑む。


山岳会メンバー同級生の幸子も


「健太郎くんが遅れたから、登る途中で雨に打たれなくてよかったね」


と慰めとも、結果オーライの安心か、軽口で話しかけてきた。


 確かに、登山者の心理としては、行動中に雨にあたると、ついつい、すぐ雨が上がると思い込み、雨具の着用は遅れる事がある。

 結果、濡れた服装の上から雨具を着用することになるのだが、不快極まりない。どころか体温を奪われて、風でも吹かれると危険でもある。


 雨が上がると、寒かった気温が上がり始め、Tシャツでの山行となった。寒冷前線の通過だったか、このことを知っていたのか、山岳会は、こうなることを予定していたのか?

 相変わらず、この山岳会の縦走は強行だった。目指す山からの下山でも、何度もピークを超えさせられた。よくだれも、途中リタイアしないと感心する。


 ただひとつ淳子が参加してないのが、寂しい。


 やはり、下山途中で、山菜コシアブラの木がちらほらと。やはり山菜を採集する同行者もいたが、かなり疲れていてか、熱中するほどでもなく、いつもの苛つき感ほどでもない。

 朝だけの一時的な雨以外は、天候は暑いくらいで順調な山行だった。淳子が参加していない事以外。


 淳子も参加していない山行は、結局何も収穫なし。



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