75 閑話休題 3
閑話も三話にもなれば閑話でもなくなってきたような
やはり同級会二次会か
自分は、遅れて参加した。二次会からの参加だった。
店に入ると、富美子と、もう一人からここに座りなさいよと、女二人の間に座らせられることになった。
ビール数杯飲むと、昔の淳子との中をしばしからかわれる、いつもの同級会パターンとなる。
「健太郎君、淳子ちゃんの隣がいいんでしょ」
「・・・・・・・」
表情では、苦笑いだった思うが心中は
・・・いつのもいじられ役かい・・・
視線を淳子に走らせるが、淳子は聞こえないか、聞こえていても明らかに無視の態度。
「後で隣に座らせてあげるから、ちょっと我慢しててね」
もう何を言っても火に油を注ぐだけで、いつものことで自分は
「ああ」
と答えて、話題が変わるのを待つ。
少し時間を置くと、右の同級生が
「健太郎くんは、どんなスタイルの人が好み?」
と聞いてきた。
「ふーん、奥さんは交際当時はそんな体型だったの?」
「淳子ちゃんもそんな感じだったからね」
と立て続けの質問が返ってきた。
「痩せているのとデブは嫌いだけど、ぽっちゃり体型かな」
と答えた結果だった。
すると・・・
となりの女と、富美子が俺の膝を両方から挟む形になり、前に屈み込み内緒話を始めた。俺は、そんな格好は予想も経験もなかったので、少々慌てたが、余裕の風を装い、両腕を富美子と片方の女の肩に掛け、時間の過ぎるのを待つ格好になった。
少し時間が長く感じ、間が持たないため、ふざけた調子で腕で肩を抱く格好になった。 あ 肩ではなかったか、腕の下、脇腹付近を抱く格好だったかもしれない。
いったいいつまでこの格好が続くのだろうと思い始めると・・・
俺の右手を突然掴まれて、その女の胸に持って行かれた。体を抱く格好であったため、手のひらは開いたままであり、もろに胸を触る格好になった。
俺は、慌てて手を引っ込めた。あまりに突然で女の胸を触る(触らせられる)形になり、何かの間違いで女は、俺の手を握ってしまい、自分の胸まで持って行ってしまったのだろうと。
俺を挟んでいる富美子と、その女は、まだそのままの形で話を続けていた。テーブルの下で何かが起こっていた素振りも見せず、何もなかったように。そして自分も。
数秒か、それ以上か、同じ体勢でまだ内緒話は続き・・・
すると また手を掴まれ、胸に持って行かれ、手のひらを胸にしっかり押し付けられた。初めは、何かの間違いと思い、すぐ手を引いたのだが、二回目は、少し躊躇しながら少しだけ長い時間触っていたつもりだが・・・・
やはり、思い直して手を引いた。自分は、いったいどんな状況におかれているのだろう。この後どんな表情、行動をしたらいのだろうと頭の中は混乱した。
その後は、何事も無かったように女二人は、体を起こし、俺も何も無かったように、ビールを飲んだ。数年前だったか、今のような体を張った行動ではなかったが、同じようなことがあった事は思い出したか、出さなかったか、
・・・ 俺って今誘われてるの?・・・
・・・ これって、改めて誘えば、付いて来るのかな ・・・
・・・ 先に席を立って、帰る風を装い、待っていれば何かを期待できる? ・・・
と少しは考えたが、やっぱりどう行動していいか解らなかった。 まあ 正直 女に声を掛けることまでは出来ても、最後まで誘うのは、経験が少なかった。
気不味い雰囲気も少しあったか、店に入ってすぐ、からかわれたように、席を譲ってもらい淳子の席に移動させられた。
さっきの生々しい感触が手のひらに残っているようで、せっかく隣に座れたのに、二言三言しか会話が出来なかったような記憶だけが残った。
時々その女に眼を向けるが、不満そうな顔を見せながらも、話に花を咲かせている。俺にした事も、何もなかったように。
二次会も終わり、全員席を立って、出口に向かうと、まだ席から立たない、その女から突然の罵声が
「どうせ 私は痩せた女だから嫌いなんでしょ!!」
あの時のその女の行動を忘れていたわけではないが、そのまま何事なかったように、店を出ようとした結果だった。
「だれもそんな事を言ってないじゃないか」
と言ったのが、瞬間にでた解答だった。
誘われている ということは、なんとなく自覚はあった。しかし 本気かどうかはやはり疑問だった。席を立った瞬間までは、
・・・ 時間は大分過ぎたけど、これから声をかければ誘いに乗ってくるのかな ・・・
という思いはまだあったのだが、先に罵声が飛んできたってことは、誘ったのに、無視されて、プライドをえらく傷つけられたと思ったことは、察するに余りある。
また据え膳食わぬは・・・ 状態になったのだろう。
でも、衆人環視のなか、更に全員同級生である。俺は、どう反応して、どう振る舞えばよかったのだろう。ちなみに俺は、聖人君子でもないし、ごく普通程度の、女好きレベルだと思ってはいるが、咄嗟の頭の回転は弱いと自覚はしている。 嗚呼
いったい内緒の話は、何だったのだろう。まさかわざと胸を触らせるから、どんな反応するかみてみようか? だったのだろうか。
話の流れからいえば、健太郎くんは、好きなタイプの女は、ポッチャリ体型なんだって、淳子ちゃんも、昔はそんな感じだったよね
だったのだろうか。
それとも、その女は、本気で自分を誘うために、富美子と内緒話を演出したのだろうか?
休題3 笑い話のような 健太郎の 安全牌ぶり




