66 まさかね
厄年の後払い同級会にて
結婚した時にいただいたスーツを着て行って、そのことを二次会で言ったら、淳子が
「5年?も着てるの」
と笑った。
このころの彼女は同級会に、毎回別の着物を着てくる事が多く、彼女の嫁ぎ先は、資産家だとは知っていたが、そうであることが、会話の端々に出て鼻についた。
この同級会でも自分は又々ミスを犯した。二次会で自分は淳子と路子の間の席になった。
二次会の店に入り、淳子が座った席の隣が空いていたので、隣に座ると、まだ自分の隣が空いていて、そこに路子が座ってきたのだった。
後で考えてみると、これは偶然ではなかったのかも?と思うようになった。
あ 一次会で、その兆候があったのかな?
路子も着物で出席してきたと記憶があり、自分の隣の席になった。ほとんど知らないことなのだが、髪はアップ?で、口紅に光沢があり、それなりに魅力的に見えた。久しぶりに会えたからかもしれない。
パールと言うか、グロスと言うのだろうか? 流石に口紅が魅力的だね などという、直接的な言葉は、掛けられないが、路子の髪に触れそうな距離まで(触れたかもしれない)鼻を近づけ耳許で、
「いい匂いだね」
と 告げた。
普通、急に顔が近づいてくると、避けるものだが、路子はそうしなかった。告げた後で、こちらを向き、笑顔さえ見せてくれた。
そんな事があったからか、路子は積極的だった。
過去に多少なりとも付き合った女友達に挟まれる事になったことで、会話に気をつけなくてはと思いつつ、何かの因縁めいたものを感じた。
突然だったが、路子から
「私は健太郎君と結婚したかった」
と三度告げられた。(路子は、自分が聞こえなかったと思ったのかも知れない)
過去に路子の妹と見合いをさせられた時、二度目の付き合いで、自ら断り、話をこじらせたことがあり、
「妹さんには申し訳ないことをした」
と路子に謝った事がきっかけだった。
路子の妹とは、路子とクラス会で、会うと(それは、中学時代、高校時代の通学中に会った時も)
「路子、お前の妹は歌手の、桃夏に似ているな」
とか
「桃夏に似ている妹によろしく」
とか、簡単に
「いもうとによろしく」
と 冗談交じりに話しかけていた。
決して、妹には悪い印象ではなかったと思う。
それは、見合中の話題で
「姉さんは、なんと言ってた?」
と聞くと
「健太郎君は良い人だよと 言ってました」
と答えた。
路子がくれた手紙には、まともに応えなかった自分と、何の兆候もなく手紙が来なくなった間柄ではあるが、妹には悪く言ってなかったようである。と言うかこの時もまだ、少なからず好意を持っていてくれたようだ。そして妹も。
妹は無口ではあったが、自分の振った話題に一生懸命合わせてくれていた様で、いじらしささえ感じることが出来た。
自分は、そんな妹に
「まだ結婚して幸せにできる自信がない、このままつきあうことは出来ない、ごめん」
と二回目の付き合いで、断りを言った。
妹は、
「はい」
とだけ答え、後は何も言わず、勿論自分も、気不味い雰囲気で、そのまま自宅へ送った。
そんな二回目のデートで断りを告げたので今度は、自分が周りからおせっかいを受けることになった。
見合いで、相手に断りを入れるときは、仲人を介すことなそうであることと、あまりにも再考を勧めるものだから、つい、もう一度付き合っても良いと告げることになった。
自分が断った時、妹は泣いていたという。あまりに無口だったために断られた と。
確かに自分は、ドライブ中に
「無口だね」
と言った。
しかし、今度は自分が、断りを仲人に告げられた。
こんな顛末が路子に謝った理由である。
この顛末を知ってか、知らずか、路子から
「結婚したかった]
と,告げられた事は、余程の路子の決意だったのだろうか・・・・
・・・・まさかね・・・・
懐古と言い訳のダラダラした文面になります。




