62 匂うような そして 自覚
23歳と11ヶ月
51年5月
敬子と約束した結果、淳子と中学時代の同級生と新駒岳に登山をすることになった。プライベートで会うのは久しぶりであった。
(たまたま出会った敬子と山へ行く事になり、まだ独身の二人と共に淳子に連絡をとってもらったのだろう。特段淳子とも とは言わなかったが、敬子は気を使ってくれて彼女をさそってくれたのだろうか。自分から淳子も誘ってと言ったのだろうか)
敬子の車で 男二人、女三人の山行となった。
登山口へ向かう途中、車内で自己紹介をしたが 淳子は
「神山です」
と自らを名乗った。
《嫁ぎ先が神山と知ったのはこの時が初めてだったよ》
《この時、はっきりと(やっと)貴女は手の届かない人なんだと理解し、納得せざるを得ないことを自覚したんだ。笑っちゃうよね。貴女は、いわゆる “匂うような若妻”ぶりに自分は貴女を直視出来なかったんだ。女性は結婚すると(結婚が近くなると)綺麗になるということを経験から知っていたけど、実際貴女はまぶしかったよ》
登山は、残雪のなか、敬子がばてて動けなくなり、女三人は、途中の水場で挫折。自分らが頂上から戻って水場で昼食。俺が用意した行動食のレタスとスライスハムだったかな。美味いビールのつまみとした。
下山中に俺が落としたタオルを拾ってくれて、礼を言ったのがまともな会話らしい会話だったかな。
《このときも貴女との会話が少なかったね。俺には結婚した貴女が初めて会う女性のようで、同じ年齢のはずなのに貴女が大人の女に見えて、他の同級生が子供に見えてしまうほどだったよ》
自分が言い始めた登山(敬子と)だっため、目だって淳子と会話することはできなくて、全員が楽しめる登山にしようと努めた結果とも言えるが、やはり気詰まりだったことは免れなかった。
下山後、休憩しようと、淳子の自宅に招かれた。彼女の家の縁側で休憩をし、お茶をいただき中に入るよう促がされたが、家に入る心境ではなく、逃げるように帰ったのを覚えている。
まだ未練が完全に吹っ切れていないときに、何が何だかわからない急展開で結婚した、新婚の彼女の家に入る心の余裕など自分には、はっきり言ってなかった。
同行した敬子ともう一人は、怪訝な顔をして不自然に帰りたがる自分に視線を向けていたように記憶する。
スーパーへ入る、淳子の買い物と思われる、彼女を見かけたときに思ったとおりに、スーパーから極近くに新居はあった。
この後、何度か連絡を取る機会があったが、新居に転居したことを、知った。
嫁いだ先の名前が神山と知り、転居した先が小さな町だったことから、電話帳で詳しい住所を知ったのは、このときだったか。転居したことをどのようにして知ったかは定かではないが、次の巌鷲山へ二人でいった時期には既に電話で連絡を取り合っていた。
同じ部分を二重アップしてしまいました。修正しました。




