43 中間点
12月11日(土) 中間点でのデート まだ19歳
彼女の手紙の中で経理学校が出てきて、私はドッキリ。はっきり言って私は二股を掛けていた。淳子にないものを路子に求めていてどちらの関係も絶ち難かった。
二人で会えたら私は淳子としたい事があった。それは貰ったマフラーでお互いに首に巻いて歩くこと。そして遊園地で二人でゴーカートに乗ることであった。
もしゴーカートに乗れたら、マフラーは、車輪に巻き付かないようにするにはどうしたらいいか? などとシミュレーションをして空想している自分がいた。
勿論貰ったマフラーを巻いて待ち合わせ駅へ向かった。
駅前で待ち合わせは、先についた彼女を、自分が探す格好であったが心配だった。うまく待ち合わせができるだろうかと。
携帯電話などない時代である。しかしこれは杞憂だった。彼女はすぐ見つかった。
互いにニッコリしての再会だった。マフラーをしてきた自分に淳子は喜んでくれたのかもしれない。明るめの緑のマフラーが自分に似あっていたかは大いに疑問だったが、全く気にならなかった。
駅からバス停まで、いつマフラーを彼女の首にも巻いてあげようかと思案したが、チャンスは見つけられず、最初の目的だった、二人で同じマフラーを巻く空想は、まずここで挫折した。
駅前からバスで青葉公園へ行ったと記憶している。
小学校時代の修学旅行以来であり、二人で懐かしがった。銅像の周りでは、
「私はこの辺でお弁当を食べたけど、健太郎君は何処で食べた?」
「俺は貴女の近くで食事をしたかったけど友達と一緒でそれができなかった。でも視界の中には常に貴方がいた」
などと話をしたと思う。彼女も
「私もそうだった」
と答えてくれた。うれしかった。
その後遊園地に行った。 アーチェリーをし、ゴーカートに乗ったと思う。ゴーカートはペアで乗りたく、誘ったのだが彼女は恥ずかしがり決して乗ろうとはしなかった。
ここでもまた彼女は素直に甘えてくれなかった。自分は大いに不満で残念だった。それとも強引に誘ったほうがよかったのだろうか? ここでも自分は、嫌がる彼女を誘ったら、彼女に嫌われるのではないかと、恐れたのだった。手を握って誘うことも出来なかったし、しなかった。
次の目的もここで挫折した。
《どうして一緒に乗ってくれなかったの? 知り合いは誰もいないのに。たぶん。
もっと強引に誘えば乗ってくれたのかな? ちょっと長くなるけどいいかな? この街に誘ってくれた時、遊園地に来ることは予想しなかったの? 俺は、いろいろ計画したよ。どうしたら貴女に喜んでもらえるか 勿論ゴーカートに一緒に乗ることも。マフラーを一緒に巻くこともだよ。 しばらくぶりの二人きりで会う機会だったよね。それも貴女から誘ってくれた機会だったのに 何か期待してなかったの?》
楽しい時間も過ぎて市内に戻りデパートに行き、自分はそこで便箋を数冊買った。これからも彼女に手紙を出し続けるというアピールで、察して欲しかった。
結局目論見は叶えられなかったが、二人で会えたことに満足であった。
反面内心では路子に会いはしないか、また心に少しやましさが残ったのは否定できなかった。
《結局、その便箋は、数枚を使って残ってしまったよ。使い切れなかった残りは、まだ手元にあるよ。また使うつもりで本棚に立て掛けて置いたら、すっかり日焼けしてしまったけど、もう貴女に手紙を書くこともなくなってどうしようか?また忘れて頃に本棚の隅で見つけることがあれば、この街のことは鮮明に思い出すと思うよ》




