表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手紙から始まった交際・・・・だけど  作者: ロックハート
42/109

42 一生懸命編みました

 11月23日 (火)祝日 淳子からの手紙


***************************************


その後、お変わりありませんか。

手紙を書こう 書こうと思うだけでついおそくなってしまい

ました。私は、相変わらず、良く食べ、良く食べて、元気に

暮らしています。 そちらでは、その後、初雪はふりまし

たか。ここ会津では、八日に 初雪が降って以来、その後まだ

雪は降っていませんが、相当冷えこむ毎日です。

 ところで、先ほど、マフラーを郵送したんだけど、手紙と

どっちが先につくかわからないけれど受け取って下さい。もう

少し早くと思っていたんだけど、なかなか思うように 進まず、

遅くなってしまいました。いっしょうけんめい編んだんです

けど。気に入ってくれたら幸いです。

 冬休みは、十二月二十一日からで あと一ヶ月余りですけど、

このごろ一日々が とても早く過ぎていくように思われて

仕方ありません。 何もしないうちに二年間が過ぎていって

しまうようで、このごろ何かをしなくては、と少々あせりぎみです。

 はじめに書くべき事が遅くなってしまいましたが、駅までの

見送りどうもありがとう。 あの時 黙って帰っていくつもり

だったのかと言われた時、ドキッとしました。連絡しよう

連絡しようとは、思っても何もせずじまいで、結果的には、黙って

帰ってしまう事になってしまったのでした。今までもいつもこんな

調子でした。いろいろと話し合った時に、今後は、直そうと

思ったのでしたが、できませんでした。こんな自分に腹立た

しくはなるのですが、どうしようもありません。

 話は変わりますが寮での生活は いかがですか。始めてでは

ないから大して変わりばえしないのかな。通勤する時間が

なくなっても(たか)らといって夜 飲み歩いているのではありませんか。朝晩、

相当冷えこむようになってきたので(ました)。体には、くれぐれも気を

つけて下さい。 まだはっきりした事では、ないんですけど、

十二月になったら、宮城に、行こうと思っているんですけど、

都合がついたら、出てきませんか。行くとしたら土、日に

なると思うんですけど。そちらからなら日帰りも可能では、ないん

ですか。私は、いとこでが、宮城の経理学校に行っていて、自炊して

いる所に泊まる予定です。日程が決まったら、またお知らせ

しますけど、考えておいて下さい。書くことがいっぱいある

ような気がするんだけど、いざとなると書けないものですね。

        きょうは この辺で失礼します。

            風邪などひかないように。

                    淳子より

   健太郎 君 へ


十一月二十二日<火 祝日>(午後五時)


****************************************


“マフラーを送りました。一生懸命編みました。”


<当時は地面に着くような長いマフラーが流行していて手編みの3m程度のものだった>


冬期間には、自分は寮に入った。なんとか電車でも通勤できたかもしれないが、駅までの足である車が満足なものを買えなかった。

 マフラーより、この手紙が先に着いたと思っている。この手紙を読んで、毎日仕事帰りで、寮のおばさんに荷物が届いてないか、確認した。


マフラーが届いた時には、まさに天にも登る気持ちだった。


《マフラー どうもありがとう。 同室の寮生が居ない時、何度も首に巻いてしましました。貴方が編んでくれた手の温もりとか、匂いとか必死に感じ取ろうとしてました。たぶん顔が、ずいぶんとにやけていたと思います。実際マフラーを巻くときは、嬉しさで一杯でした》


“気に入ってくれたら幸いです。”


《また、少し引いた感じの文面かな?と思ってしまったよ。貴女が編んでくれたマフラーだもの。気に入らない訳がない。》


これが路子だったら、

「絶対使ってネ」

とか手紙に書いてくれたのかもしれない。



 この手紙では、11月の連休にでも彼女は帰省していたのだろう。

電話で連絡をして、いつ会津に帰るかを知って、急遽駅に見送りにいった。その時に、


「だまって行くつもりだった?」


と聞いたのだった。


 駅に見送りに行くとき、内心自分は、彼女の家族も見送りに来ていたらどうしようかという戸惑いもあった。


《矛盾するけど俺も、貴女の家族に会うことを気にしていたよ。でも俺の気持ちと、貴女の気持ちとは少し違う気がする。俺は、自分の事を貴女の家族に認めて欲しかった気がしてたよ。今だから言える言い訳にきこえるかな?》


 幸い家族は、見送りには来てなかったが二人きりは、いつも苦手だった。


 見送りは、やはりあっけないものであったが、しばらくホームから見送って、最後尾しか見えなくなってからホームを後にした記憶がある。


“12月に宮城にいこうと思っています。”

“都合がよければでてきませんか”

“私の従姉妹が宮城の経理学校に行ってますので、そこに泊まります。”


 自分は、行くことは全く問題なしだったが、宮城の経理学校と聞いて少し驚いた。


《この手紙でも いざとなったら書けない と書いてあるけど、貴女は、俺に何か聞いて欲しかったのかな? “書くことがいっぱいあるような”ことってなんだったのかな? 俺からいっぱい聞いてあげればよかったの? 何度も同じ事を書いてくれたけど、気が付かなくて ごめんね》



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ