40 余計な同級生
なぜこのタイミングで? 俺への試練?
ちょうど会津城に着いたとき、急に彼女が私の腕を掴み、植木に隠れるような行動をした。
自分はなにがどうしたか分からなかったが、同級生が遠くに見えたと言うのであった。
「ちょっと こっち来て」
「ん 何?」
「倉本君があっちにいる」
「俺は見えないけど どこ?」
「門からでてきたとこ」
「なんで倉本がここにいるのが分かるんだ」
「昨日下宿に来たのよ」
「え なんで」
詳しく聞くと、昨夜倉本が下宿先に来て、会津を案内してほしいと言ってきたという。
倉本のことは、彼女は、自分には聞かせないでおこうと思ったらしい。
それまでは、自分はこのことを知らなかったのだが、彼女の話では、自分が会津に到着して電話をした時間よりも倉本が下宿にきたのが、先であったらしい。
倉本は会津に一泊して翌日9日に会津城を観光していたのか?
これを聞いて、自分は、いい人を装い(半分本気でもあったし、自分は結構人がよい・・お人好しである)
「倉本が先にきたのであれば、倉本と付き合っても(観光)よかったのに。一緒でも良かったし」
と言ってしまった。
想像するに、自分が連絡をした後、彼女は、倉本に、あらためて断りの連絡をしたと推察した。
彼女は、悲しそうに、また怒りの言葉を口にした。
「どうしてそんなことを言うの・・・私はわざわざ宿まで行って彼に断ってまであなたとの時間を作ったのに」
「でも約束は倉本が先だしなー」
「もう だったらあなたではなく、彼と観光しても良かったの」
とも
淳子は、怒って今にも帰りそうな雰囲気だった。
自分は彼女の怒りが正直半分理解出来てなかったのだが、この旅行の目的である、彼女とのデートを達成するために必死になだめることになった。
なだめても、機嫌は一向に直してくれなかったが、なんとか場をつくろった。
自分のこの発言に、彼女は大いに自分との交際に疑問を持ったのだろうか。この手紙を見ると、彼女の自分に対する好意は、最高の時期だったのだろうか。この時何も彼女に積極的なスキンシップができなかったことがいまも悔やまれる。
ちなみに 中学時代、他にも淳子に好意を持っていたその一人が倉本である。
そして自分の高校のクラスメイトでもあった。更に倉本は、高校時代も、俺と淳子との付き合いを知っていたはずである。
この旅行から十数年後、会社の出張で会津に赴くことがあった。一泊の出張予定だったが
日帰りが可能になった。
帰りの間際 かつて待ち合わせをした、喫茶店に入ってみた。当時と同じ席に着くと同じゲーム機があったのには驚いた記憶がある。当然ながら既に使われてはいなかったが、テーブルとしてまだおいてあった。
駅で彼女への土産を買い、危うく最終の列車に乗り込む事ができた。たまたまではあるが、彼女との懐かしい思い出に少し浸ることができた出張だった。
さらに数年後 郡山への出張した事があり、時間が余ったので、会津へ出かけたことがある。
時間の関係で、タクシー観光で猪苗代湖だけの観光だったが、遊覧船埠頭は、淳子とデートした景色と同じだった。
当時バスで通過した野口英世の旧家も観光して、彼女への土産のキーホルダーを買い求めた。既に渡す機会のあてもなかったのだが・・




