30 待ち遠しい手紙
46年5月20日(木) 淳子からの手紙(葉書)
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前略
その後いかがおすごしですか。
すぐ返事を書かないでごめんな
さいね。私も毎日元気にやって
います。先日優子ちゃんに、進路の
事で相談したらなるべく多くの
免許をとったほうがいいのではない
かとのことでした。まだはっきりは
きめていませんが、私もそうしようか
なと思っています。ここ会津は
暖かったり寒かったり大変気候が
不順ですがそちらの方はどうですか。
くれぐれも体には気をつけてください
それではこの辺で失礼します。
さようなら。
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自分は、このころは、彼女からの手紙、電話を非常に待ち遠しく待った。
手紙がくると、数日以内に、すぐ返事を書いた記憶がある。その割には、彼女からの手紙は
数週間のスパンがあることは、普通だった。
自分からの電話は、寮の赤電話でするのだが、どうしても長電話になりがちで、準備はするのだが10円玉が不足してしまい、ああもう十円玉がない ということで電話を切ることもしばしばだった。
《貴女の下宿に電話すると、大家さんが出て貴女を呼ぶ間結構時間があったよね。呼び出し音の間や、大家さんが呼んでくる間、すこしドキドキしていたんだよ》
《貴女の掛ける電話は、下宿の中にあったのかな? 時々公衆電話から掛けてくれていることもあったよね。10円玉を入れる音がやっぱり自分にも聞こえて、自分と話すために一生懸命小銭を集めていてくれたと思うと愛おしかったよ》
《お互いに電話を掛けるときも、もらう時も、10数秒で落ちる10円玉の音に気が急くばかりだったね。 残りの硬貨が減っていくのを感じるたびにもっと話していたい。もっと大切な事を話すためには枚数が足りないと感じる事が多かったね。貴女の息遣いからもそれが感じられて、とてももどかしかったのを思い出すんだ》




