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手紙から始まった交際・・・・だけど  作者: ロックハート
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28 ゴールデンウィーク

 4月26日 淳子からの手紙


****************************************


健太郎君いかがおすごしですか。

先日の手紙、写真どうもありがとう。手紙は一七日に 写真は

二十五日にこちらに着きました。すぐ返事を出さないでごめんな

さいね。私は毎日元気にやっています。学校にもだんだんなれてきま

したが、今までは、高校の延長のような気がしていたんですが、今日、新入生

歓迎パーティーがあり、社交ダンスなどが行なわれ、ようやく大学に入った

という実感がわきました。又、男子は校内で、たばこを吸っています。

健太郎君もまだたばこを吸っていますか。もし吸っているのだったらなるべく

早くやめた方がいいと思うのですが。お酒は飲めるようになりましたか。

でも何と言っても健康が第一ですから、気をつけて下さい。

桜ですが、こちらでは、今が満開です。先週の日曜日(十八日)鶴ケ城へ

行ってきましたが、その時は三分咲きでした。鶴ケ城はそろそろ散り始めて

きたとの事でした。明日の日曜日はどこへ行こうか、などと友達と言って

います。近くだったら家に帰れるのですが、それもできないので、日曜日には

いろいろな所に出歩こうと思っています。あなたはいいですね、毎週家に

帰ることができて、うらやましいかぎりです。下宿生活はまあまあです。

最近では慣れてきたためか、朝はぎりぎりまで寝ていて、いつも遅刻すれ

すれです。それから電話番号ですが、下宿には ない(あり) ませんが隣には

あります。でもここには書かないことにします。夏休みに帰った時の楽しみを

おおきくするために。でもこちらからかけるかもしれません。電話二本書いてあり

ましたが、一本は普通電話なのですか(三-七四五◯)そしてそれは寮内の電話ですか。

話は変わりますが、同級生の近況など もし知る機会があったらぜひ教えて下さい。

なんか一人だけとり残されていくような気がしてたまらなくなることがあります。

いろいろ書きたいことがあったんですけど、まとまらない手紙になってしまいました。

今度の機会にまた書きます。それでは これで失礼します。

         くれぐれもお体大切に

                        淳子より

 南野健太郎様


四月二十四日<土>


****************************************


“写真を有り難う。”

・・・送った写真は、社員証か、免許証に貼るための写真を送ったような記憶がある。顔だけの写真であり、そっけないものである。相変わらず、自分にはスナップ写真のようなものはなかった。・・・


“歓迎ダンスパーティー”には、少し気持ちが焦った。中学、高校時代手も握らせてもらえなかったのが、パーティーとはいえ手を握られ、肩も抱かれたのだろうか、腰に手も回されたのかと思うと。しかしこれをどうしたかなど聞く勇気もなかった。


《ダンスパーティー? 俺の他の男に手を握られ、肩に手も掛けられて、腰も抱かれたのかい。俺には手も握らせてくれなかったのに?遠くにいるとはいえ、これには嫉妬したけど、俺の気持ちは届かなかったんだろうね》


 もらった手紙の文面でも、福島の桜や下宿生活などの質問をし、自分の寮の電話番号と、もう一本は何処の番号かは思い出せない。会社の番号だったのだろうか?



・・・ゴールデンウィークで彼女が帰省し、同級会があったのだろうか?・・・

・・・寮に入っていて、彼女が家から会いに来てくれて、バス、電車を乗り継で寮まで帰ったので社会人になって初めての連休で、彼女も会津から帰省していたのかも知れない。・・・


 自宅から、これからバスで寮へ帰る旨電話をしたら、自転車でバス停まで会いに来てくれた。

乗るはずだったバスを見送り、自宅から淳子が来るのを待った。


《同級会で、俺が酔っ払ってトイレで寝てしまったことは、貴女は決して話題にしなかったね。俺が気にしていたことを話さなかたのは、俺を気遣ってくれた貴女の優しさだったのかな》


 淳子が来てから、バス停近くで、つかの間の逢瀬だった。お互いに顔を見つめ合い逢瀬を楽しんだ。


 《バス停のある往来だったけど、俺達は人目も気にしないで逢えたよね。もっともっと時間を延ばして、ずっと話していればよかった。俺を見つめて話してくれる貴女はとてもかわいいと思ったよ》


 この時彼女は薄く化粧をしていた。あまり慣れていなかったのだろう、正直うまい化粧ではなく、うっすらと化粧の濃淡を見て取れた。

 内心驚いたが、それでいてちょっと笑った。言葉では一切化粧の事は言わなかったが、今では、何か言って欲しかったのだろうか?と考えてしまう。

 次のバスまでと思ったが、電車の都合もあり、タクシーを呼び名残惜しく帰った。


《記憶にあったのでちょっと思い出してみるね》


《乗るはずだったバスがまだ来ない時、このバスに乗るためか、見覚えのある、中学後輩の()とあったよ》


 確か後輩の女子だなと思いつつ、そしてすごく可愛くなったと思い、まじまじと彼女の顔を見つめてしまった。

彼女もなぜか自分を見つめていた。何だこいつとでも思ったか?

 この娘にも声をかけたい欲求が少しあった。彼女は自分が乗るはずだったバスに乗った。


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