19 招かれる
・・・中学春休み中か こたつがあった。・・・
電話があり、彼女の家に招かれたこともある。だれも家人が居ないからと前置きがあった。
何か手土産でも持って行ったろうか? 手ぶらだったような気がする。
居間に通され、炬燵があった。確かに家人は留守で、淳子は炬燵南側に座り、俺は西側に。縦長の炬燵で俺は、長手方向の中間に。二人きりなら近くに寄って、手でも握れたかもしれないが、そんな気持ちは不思議と起こらなかった。
淳子の部屋にでも通されたらどうなっていたかは、ちょっと想像できない。
30分位二人だけの会話だったが、直に二人だけの会話にいたたまれなくなり、彼女も話題が途切れるのを察したか、
「誰か友達呼ぼうか? 健太郎君も誰か呼んで」
と提案され、お互いの同級生の友人を呼び話し込んだ。
《来てくれたのは、敬子と敬俊?だったよね》
記憶にあるのは、おやつに あんみつ を出してくれて4人でごちそうになったことである。
《貴女にせがまれ漫画の単行本を貸したこともあったよね。》
彼女の家の近くの脇道に入り、貸すときも、返されるときも話し込んでから、漫画の受け渡しをした。
《貴女は漫画を好んで読むような性格ではなかった筈だよね。》
今思えば私と何か理由を付けて会いたかったのではないだろうか。
この事にも気づかないことが後々になって大きな後悔を生んでしまう事を私はまだ知らなかった。
やはり中学三年の卒業近く、クラスで雑談をしていると、教室に入ってきた女生徒から
「健太郎君は、女子がいると、声が大きくなるよね。なんで?」
と、唐突に質問された。自分は無意識のうちに、ちょっと気になる、可愛い女子が教室内にいると、声が大きくなり、女子の気を引くために声が大きくなっていたのだが、そのことを なんでと質問された。
そのときは、自分の癖を図星に指摘され、女子がいると声が大きくなる癖を見ぬかれていると思い、質問され動揺してしまった。
動揺を見ぬかれないよう、彼女を無視するように、質問には答えず、その場を離れたような記憶がある。
彼女はなぜこの質問をしたのかも不可解だが、この質問は、厄年の同級会で二度質問された。二回目の再質問時期は忘れたが、この時も曖昧にごまかした記憶がある。三回目の質問は、何の席だったか さすがに三回目は、
「当時は色気づいていたので、女子の気を引きたかったんだよ」
と答えた。 なぜ、こんなことを三回も聞いてきたのか、今度は自分が気になった。
もし次に、会う機会があったら自分が質問してみよう。




