12 文通
昭和42年11月11日(土) 手渡しの彼女からの手紙。
***************************************
プレゼント どうもありがとう
大事にかわいがっていきたいと思います。
家に帰ってあけてみてびっくりしました。まさか あなたから
とは思ってもいませんでしたから。 あのこけしと同じものを
泰子さんと多恵子さんも持っているはずですが今ではどうなって
いることやら。コケシの代わりそして(もっとほかの意味もある
ようです)とのことでしたが、私には後のほうがの意味がよくわかりません。
私は あなたにいつか(君のしつこさには驚かされました)と言われた
ことがありますが。 その時書いた文章を写したいと思います。
(あなたは 私にしつこいと言いましたね。いったい私をしつこくさせたのは、
どこのどなたでしょう。こんにちまでをふりかえると いつも私から言い
出したことばかりでした。なぜならあなたは いつもはっきりしたことを
言わなかった。 まず ここまでにしておきます。 )
あなたは、 いつもはっきりしたことを言わないので、私の心には、何か後にしこりが
残ってしまいます。
勝手な事をならべましたが 気にさわったらお許し下さい。
ではこの辺で
ペンを止めたいと思います。
November 11,1967
Dear Kentaro Minamino
Jyunko Ito
質問の答えを
I expect a reply in a few days.
****************************************
“もっと他の意味もある” がわからない。
“君のしつこさには驚かされた”といわれた。でも
“私をしつこくさせたのは何処の何方でしょう。これまでいつも私から言い出したことばかりでした”
“あなたはいつもはっきりした事を言わなかった”
と書いてあり 最後に英文で過ぎ去った日々をやり直したいと書いてあった。
(この英文は自分の稚拙な英語力で辞書を調べた時に訳した内容で、彼女が、俺が手紙に書いた”もっと他の意味もあるようです”と書いたことを改めて交際したいという意味と、交際してくれるよねと質問していると理解してくれて、過ぎ去った日々をやり直したいと、自分に回答をしていると解釈していた。後々別の辞書で訳すと“私は数日で返答を期待する”というものであり“ほかの意味があるようですがわからない”という質問の返答要求か、返事がすぐほしいという意味と改めて解釈した)
《英文の前に“質問の答えを” とあり他の意味がわからない の 質問について回答を要求しているんだよね》
自分はこのころ 手紙の最初にDear 淳子と書いていた。まあいいかっこしいでもあったのだが 淳子さんとか、淳子とか 拝啓とか 書き出しと名前をどう書いていいか分からなかった。
淳子のことも、貴女と書いていた。そして自分のことは 俺 と書いていた。
”いつも私から言い出したこと”
《ということは 貴女はこのとき、自分たちが、ずっと前から、お互いに好意を持っていると思っていて、俺も貴女のことを気になっていたことを知っていたんだよね。廊下で会うと気不味い思いをしたのはやはり自分だけではなかったんだね。》
”いつもはっきりしたことを言わなかった”
《ということは やっぱり敬俊から伝わった俺の返事は、はっきりした内容ではなかったんだね。》
手紙の前後から自分からは、良い友達になる と返事をしたと推察される。
また、貴女は、頭が良くて、人間的にも自分より優れていてというような内容も書いて自分が彼女に引け目を感じているというような思いを抱いていることを書いた思う。
記憶では、次の手紙までに、ノートに書いてページを破いた手紙を2通ほどもらったと思う。一通は、放課後、一緒に帰りたいという内容だった。もう一通は、テストの最終日には、帰らないで待っていてという内容だった。
放課後に一緒に帰りたい の件は手紙の返事で断ったようである。
《一緒に帰りたいと解釈したけど、ほんとはよくわからなかった。毎日か、特定の日を指定したのか、ほんとに一緒に帰りたかったのか。校内では、終始付き合っていたことをからかわれても、まるでないことのように振舞っていたのに、通学路を一緒に帰りたいなんてちょっと矛盾していると思うのは俺の勘違いかな 放課後デートとかしたかったのかな》
テストが終了したら、帰らないでの件は、俺もそのつもりだったが、テストが終わるとすぐ、先生が呼んでるよと知らされ、担任の席に行くと、椅子に座らせられて、進路相談のアドバイスらしき話があり校内では会えなかった。進路相談とはいえ 自分から希望したわけでもなく、実際は、担任が、わけわからない事をだらだら言っているような気がしてた。どの学校に行きたい? とか 希望は? とかの会話はなかったような。
腹の中では、早く終わってくれないか。彼女が待ってるんだけど。具体的な話しなんかいつしてくれるんだとか。
結局、かなり暗くなった時間までかかり、生徒は誰もいなかった。
翌日の交換ノートでは、進路相談があったんですってね。待っていたのですが・・・・・仕方がありません。というような感じの内容だったと記憶がある。
《俺も テストが終わったら帰らないで待ってて なんて いったい何だろうと思ってたけど、結局どれも すれ違いだったね。 とても残念だったけど あとで 何だったの?とか 聞かない俺も気が利かなかったね。 もっと付き合いを発展させるためには、何でも気楽に話せたらよかったんだけど。 俺はそんなことも気が付かない奴だったよ。 自分でいうのも変だけど シャイだったんだ》
《勘ぐってみると、貴女が俺と待ち合わせしてるのを先生に知られることとなり、担任は、進路相談のことにして俺を引き止めたってことはないか? 校内では俺達の交際は、自明だったけど、先生にもしられていたってことかな? まさかね》
ルビを振っている箇所で原文とルビの言葉が違う場合は、手紙の中で元の文字を消して修正していると解釈して下さい。




