100 聞いていい?
ルリ子へ
《ほんとは、ルリ子の手紙は、なんとかして開けて見たく、手段だけは考えた記憶があるんだ。
糊で封印したのであれば、湯気をかければ綺麗に剥がれることは知っていた。包んであったハンカチも簡単に解けたかどうか、何度か封筒に手を掛けたかもしれない。
出来なかったのは、封かんがしっかりしていて、開けたことが知られないように戻す自信がなかったことと、何より、中学生の正義感と、まだ友人として付き合った(仲が良かったよね)信頼を裏切ることはできないということで、開けるまでは至らなかったんだ》
女子会にて
昔 の疑問を少しでも晴らそうと、女子会で集まった時、ちょっと早めに会場へ着くと、淳子も早めに到着した。到着した順番から奥に座っていると、必然なのか、自然になのか正面に座ってきた。
俺が女子会に招かれるとき、たまたま到着が早くなると、淳子が既に待っていたりする。それなら俺が先に行っていれば、二人きりの時間が持てるのではないかと考えてあえて早めに会場へ出かけた結果だった。
それでも、淳子はあえて自分の正面や、隣に座ることは珍しく、席を空けた隣とか、はす向かいに席を取ることが多かった。この時は?? 正面に座るなんて珍しいなと感じたのだが。
15分くらいの時間だが、久しぶりの二人だけの会話ができたので、ずっと疑問だった中学卒業後の、アイスクリーム激怒の理由を聞こうとした。
で
「中学時代のこと聞いていい?」
と聞いてみた。
何を聞きたいかも聞かないうちに
「そんなことは忘れた」
と何を質問されるかわからないうちに、質問に内容を知っているかのような返事が返ってきた。
その言葉には、思い出したくない、いや 忘れてはいないが、言いたくないという雰囲気が出ていたと思うのは間違いではないと思う。
《突然に昔の事を聞かれても、困ったのかな。それともやっぱり、思い出したくもない、言いたくもないというのが本音? 俺だって昔のことを懐かしんで、二人で思い出に浸ろうなんて思っていないんだよ。 まして貴女にも、俺の思いを共有したいなんて。おれは、あの時の疑問をちょっと聞いてみたいだけなんだ。》
もうそこで、これ以上聞くことはあきらめた。彼女が忘れていようと、思いだしたくないと思っていようと、話したくない雰囲気で、忘れたというのであれば、しつこく聞いても、久しぶりの二人での会話の雰囲気を壊すだけだと察した。
彼 女は、二人だけでしか聞けない?(と勝手に思っている)事を質問してきた。
「いま 何やってるの?」
「家業専門 と企業年金の運用かな」
「なにそれ」
「サラリーマンのとき会社で、個人年金に入っていてそれの運用かな」
「ふーん 儲かる?」
「まあ 少しだけなら 増えてる」
「また山へ行こうよ。暇だからさそってもいい?」
「うーん 体力的に無理かな」
でここで、他の待ち合わせの友人が部屋へ入ってきて二人だけの会話は終わりにしなければ。
急ぎ、二人だけに通用する符丁だけを伝えた。
「今度 コンサートが近くであるよね。 俺行きたいけど、行くの?」
「うん 時間があったらいくかも」
それだけ確認するだけで、十分だと思った。一時の時間を共有できる二人だけの会話は今日は終わり。
次の話題は、自ら彼女から振って来きた。
「今度会津に行くんだ」
「70週年記念の同窓会で」
自分
「ふーん」
俺は、このときそりゃ同窓会ぐらいは毎年あるだろ。十周年毎の盛大な同窓会もあるだろ。遠距離だが、たまに行ってみることもあるだろう。
とだけ思って、それについての感想や日程なども質問しなかった。いつも定期的に行く国外旅行なのに、国内旅行なんて珍しいな。
まして、全員に向けての近況報告程度ぐらいと思ってしまった。
いつものことで、後で悔むことになるのだが、どうして日程や、何でいくのか?
一泊程度はするのかとか、会話が盛り上がる手立てを取らなかった。
二人だけではない状況で、みんなにも合わせられる話題でもあり、なおかつ二人だけの思い出が有り余るほどの、話題をあえて振って来たのではないか? と思ったのは後の祭り。
遠距離交際中の最初の、会津旅行で、喫茶店で会わせてくれた、同じ下宿の彼女たちも来るの? とか
出張のついでに寄った会津駅前の、喫茶店。そこにまだあったゲーム機。
会津城、二人で行った猪苗代や二人で乗った遊覧船。話題ならいくらでもあったはずである。
淳子も、少しは昔の手紙から始まった交際で、一番盛り上がった時期の話をあえてしたかったのではなかったか?
この話題が終わった時の、少しさみしそうな表情をした淳子は、俺の思い過ごしか?
《ごめんね 貴女に謝るのはこれで何度目だろう。会津の話題をあえて出してしたのは、なにか意味ありだったのかな。もしそうだったら気付いてあげれなくてごめんね。 いつもなんだよ俺があとで貴女の気持ちを後で感じるのは》
《もっともっと二人だけの会話をしたかったけど、俺は残念だったよ。貴女はどうかな。俺はもっともっと聞きたいことや、話したいこと、それと これからもコンサートへ行ったり、できれば山へも行きたいんだ。昔二人で登った山も、まだ登ったことのない山へもね。ゆっくり登ろうよ。若かったあの時のように。貴女は話したくないかもしれないけど、できれば俺は、今でも貴女が大好きで、大事な人と思っていて、声だけでもいい、でもできれば顔も見ていたくて、できれば笑顔がいいな。すれ違いの疑問はもうたくさんだし、いまさら疑問があってもどうしようもないよね。
できれば、できればだけどやっぱり、お互いに大好きだった当時の話がしたいんだ。そして俺の何が悪かったのかも少しだけ聞きたいな。なんで手を握らせてくれなかったのかとか、俺も手を握らなかったか、抱きしめてあげられなかったのかとかもね。ああ でも もう話す時間がないかな》
こんなに長く(期間ではなく、話として)だらだらと書けるとは思っていませんでした。
どう終結させるか、正直わからなくなってきました。すみません、ますますだらだらになりそうです。




