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ある日カリス殿下がボロボロになって帰ってきた。
最近は殿下が私が探していた珍しい本を貸してくれたので少しずつ読んでから家に帰っていた。だから出かけたばかりの殿下がすぐ帰ってきてぎょっとすると、殿下は頭から血を流していて、左瞼も切られたような傷があり左目を閉じているし、足も引きずっているのを見てさらに驚く。
「で、殿下?!」
驚いて声を上げると、殿下はしーっと人差し指を立てて口元に当出ながら言う。
「大丈夫だから」
「そんなこと言っても血がっ!」
駆け寄ると服が濡れていた。そして私の手には血。
ニッチを呼んできて欲しいと殿下が言うので急いでニッチさんを呼びに行く。
ソファーに座りニッチさんが殿下の傷を見る。
「左眼は幸い眼球を傷つけてはいません。足は捻挫ですね。」
幸い左瞼は目の上で、失明は免れたようでホッとした。
「何があったんです」
ニッチさんがそう聞いても殿下は答えてくれない。
「少しだけ、膝を貸してくれ」
ニッチさんではなく、私を見てそう言って私の返事を聞く前に私の膝の上に頭を乗せて横になった。
疲れが滲んだ顔で殿下は目を閉じる。
ベッドで横になればいいのにとも思ったけれど、そんなことを口にできる空気でもないので黙って膝を貸した。
ニッチさんは横になっている殿下にずっと怒っている。それでも全然答えない殿下にため息を吐き、どうしてそうなったのか聞くことを諦めた。
「...その怪我の説明はどうするつもりなんですか」
怪我を負った殿下はそれを身内に知られたら、城を抜け出していることがバレてしまう。バレる訳にはいかないのだろう。
殿下もそれに対しては考えてるとだけ返事だけした。
そこで仕方が無いので腕を渋々上げる。
「....良ければ私が殿下のふりをしましょうか...?」
そうは言っても身長体格は流石に男性になり切れる体型を私はしていない。だから出来ても顔だけだ。
そこで取った案は、
「ゴホゴホっ大丈夫です。体調を崩してしまっただけなので、大人しく寝てます」
そうベッドの中で会いに来てくれた第三王太子に言った。
殿下にはその間クローゼットの中に隠れてもらった。
そしてそれから暫くは私と殿下は、殿下の部屋で過ごした。
いつ殿下の部屋に来客があってもいいように、夜も一緒に過ごすことになってしまった。
「なんか変な感じだね。目の前に自分の顔があって、一緒に眠るなんて」
「....良いですね!?ここから入ってきちゃダメですからね!!」
枕で仕切りを作りそう伝える。
最初は私がソファで眠ろうとしたけれど、殿下がそんなことをさせるくらいなら自分がソファで寝ると言うので、
「ダメに決まってます!怪我人なんですから!」
そう言って私は初めて異性と一緒に同じベッドで寝た。
最初は眠れなかったけれど、3日経てばベッドに入ってすぐ眠れるようになった。
そして5日が経った朝、扉をコンコンと鳴り、カリス殿下の部屋に訪れたのは弟のフェリクス殿下だった。
急いで殿下に隠れてもらい、私は殿下の声質に合わせて調合した声の変わる飴を急いで舐めてどうぞと返事をした。
「おはよう、まだ良くならないの?」
「もう少ししたら良くなると思うよ」
飴を舐めながら返事をしたせいで、フェリクス殿下に飴舐めてるの?と指摘されて慌てて、喉が痛くてね。と誤魔化した。
そして何事もなく、殿下の傷が変装でどうにかなりそうなくらいになり、私は元に戻った。
「今回の件、助かった。ユリアナがいなかったら危ないところだったよ」
そう言った殿下の言葉に私はひとつ気づいてしまった、
殿下は何か危ないことを調べていて、それを身内に知られたくないってこと。
それは身内を巻き込みたくないってことなのか、それとも....身内の誰かについて調べているから知られたくないのか___




