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王太子に秘密がバレて迫られてます  作者:


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貴族の女性にも派閥があり、サラサ.カシドール、イリア.ウィリアム、そしてメーリン.ヒストリスに大きく分かれている。

そしてその御三方は公爵家の方達だ。

そしてここはその一つ、メーリン.ヒストリスの公爵家の庭園。


「あらまぁ、被ってしまわれたのね」

メーリン様が扇子で口元を覆い、流し目でこちらを見る。


「私...!その日はどうしても好きな人と一緒にいたいのに...!」

そう悔しそうに言ったのはメーリン様の派閥の友人の1人であるカリストラ様。伯爵家の令嬢だ。

カリストラ様の好きな相手は幼馴染で、商人らしい。彼女が言うその日とは近々行われるパーティの日と彼の誕生日が被っているそうで。そして彼は成人になる年だと言う。


「...被ってしまわれるなんて災難ね.....もし良かったらユリアナがそのパーティーに行けないかしら?」

ユリアナ。それは私の名前だ。


「えっ...ユリアナ様...いいんですの...?」

そう言ってこちらにキラキラとした視線を向ける。


「ええ...もちろん、私で宜しければ」

そう言ってにこりと笑うと、カリストラ様は立ち上がり私の手をぎゅっと握った。


「いつもいつもありがとう...!」

そう。これは私の日常茶飯事なのだ。


私はメーリン様含む、メーリン派閥の友人たちの成り代わりを時々する。


私の出家は男爵家で、仕事関係でメーリン様とは幼少期から仲良くなった。

幼少期からずっと変わらないメンバーで、趣味だった変装で令嬢達に化けていたら上級貴族方達となんとか打ち解けることが出来た。


そして、頼まれた変装パーティーも無事いつものように乗り越えた。


「いつ見ても見事ね」

パーティーが終わり、メーリン様が私を見て呟く。

複数の草や花の蜜を用いて顔の輪郭を変え、髪の色を変え、瞳の色、そして声をも変えた。

身長はヒールと裾の長いドレスを着て隠すことで調整する。

そうして染み付いた友人たちの癖や行動を真似て私は完璧に彼女たちを演じる。

これを齢7歳から始めて、もう10年になった。

初めはバレないかドキドキしたけれど、10年経った今ではもう慣れたものとなった。

「私が誰にも言わず、あのお茶会で誰かに変装してもメーリン様でも気づかないはずですよ」

そう誇らしげに言うと、メーリン様は笑って私の言葉に肯定した。


「そんなユリアナにお願いがあるのだけれど」

唐突にそう言ってメーリン様は私を真っ直ぐ見つめながら言う。

「次の週に王太子殿下達と公爵令嬢達を集めたお茶会があるのだけれど、私の代わりに行ってきて?」

そう告げられた私は何を言われたのか分からず口が半開きになる。

「....え?」

数秒後、私の口から出たのはその一言。暫く沈黙が続き、私は再度メーリン様に問う。

「い、今、なんと?」

信じられないという目をメーリン様に向けながら。

「私の代わりに次の週王宮のお茶会に参加して欲しいのよ」

そう言いながら拒否権はこちらにないような笑顔を向けてくる。

「む、無理に決まってますよ!!流石に....」

無理です。と断ろうとしたが、それに被せてメーリン様は告げる。

「金貨1000枚」

その一言で私の言葉は止まった。

「私の代わりに行ってくれたら金貨1000枚渡すわ」

そう言われて私の脳内はコインがチャラチャラと落ちてくる音が聞こえた。

完璧に演じる自身はある。けれど流石に王太子殿下達と公爵令嬢達相手のお茶会は参加したことがなかった。

元々私が令嬢たちと成り代わるのはパーティーとかの為殆どが挨拶のみの最低限でやり通して来た。

けれどお茶会となれば話は別。話の内容に違和感を持たれてはイケナイ。

「お、茶会なのに、断れないのですか...?」

そう1歩足を後ろに下げながら聞く。メーリン様はお茶会どころかパーティーも殆ど出ない方だ。断れないのだろうかと聞いたが、首をフリフリされて言われる。

「....今回の招集は特例なのよ。国王から絶対来てくれと。」

....でも...でも....っ。と震わせながら手を握りしめてメーリン様は告げる。

「っその日はミリオン様が屋敷に来られる日なのよ....っ!」

そう言ってワッと両手で顔を覆い、嘆いてしゃがみこんだ。

ミリオン様とはマーリン様がお慕いしている、ダンディーなおじ様だ。

1年に1度しか公爵家にはお見えにならないため、マーリン様がその日を毎年楽しみにしていたのを覚えている。

「で、でも流石に王家のお茶会は...」

流石にヤバい。何がって、上級貴族しかいない集まりで公爵令嬢に扮した男爵令嬢が紛れ込むなんて...無理がありすぎる。

「大丈夫よ。私殆どパーティーにも出ていなかったでしょう?関わりなんて殆ど持ってないから、静かに座っているだけでいいわ」

そう言って私の両手をつかみ、「金貨1000枚」と再度私に告げた。

「うぐっ」と考えて、しがない男爵家の懐事情を考えるとたった数時間の我慢で金貨1000枚という魅力的な言葉に傾くが、すんでの所で留まり首を振る。

そしてメーリン様がそれを見て、指を2つ立てた。

「金貨2000枚」

競売か。と心の中で突っ込むも、脳内では先程の倍の速さで脳内にチャリンチャリンとコインが落ちてきた。

「やります」

私はメーリン様が立てた2本の指を掴んだ。

それを見てメーリン様は微笑み、よろしくねと私に告げた。

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