表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無双xロジスティクス ~落ちこぼれ部隊?いいえ、最強実践部隊です~  作者: テンチョウ
第二章 ~敷く擬石、咲く造花~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/103

第25話 四度目の正直!?

 ()国の西端、ここは西に(ケイ)国、その少し南に(シュウ)国、そして周国と馗国に挟まれるような形で(モウ)国、四ヵ国の国境が重なり合う地点であった。

 その線引きはかなり曖昧であったが、経国、孟国とは割と友好的な関係を築いていたのもあり、互いに許容しあう事が多かった。

 周国とはイマイチ噛み合わなかったが、これまで大きなトラブルは起きてはいなかった。



 第三輜重隊は、九門(キュウモン)から五日をかけ、西の国境付近まで来ていた。

 新しく隊に加わった者たちも、三日目ぐらいになれば要領を(つか)んだのか、緩やかな道では隣の者と話すぐらいの余裕があった。

 隊の皆が、あと少しで到着するという認識を持ったか、というときだった。


 一乗の馬車が、輜重隊の進路を横切るように走った。

 それ自体はどうということはなかったが、馬車の速度は尋常ではなく、その理由はすぐに判明した。

 馬車は武装した騎馬の集団に追われていたのだ。

 わかり易く覆面などしているので、賊徒であろうと思われたが、輜重隊の機動力ではどうにも出来ない相手でもあった。

──せめて、こっちに逃げてくれれば助けられるのに・・

 百鈴が思ったのが通じたわけではあるまいが、馬車は方向を変え、第三輜重隊へ向かって駆けてきた。

 しかしそのことで、小回りの利く騎馬に追いつかれる結果となった。

「馬豹、百鈴!」

 袁勝が呼ぶ。

 二人が素早く彼の元へ行くと。

「馬豹は先駆けの者を、百鈴は賊を観察し、指揮官と思われる者を討て」

 そう命じる。

「了解!」

 言うや否や、馬を疾駆させる二人。

 相変わらず馬豹は速いが、百鈴も短時間なら、そこそこ付いていけるようになった。

 賊の先頭が馬車の前に回り込もうとしている。



〔 脱兎捉爪(ダットソクソウ) 〕



 馬豹がスキルを使い一気に加速する。

 そして賊が気付いたときには、馬豹の槍は相手を貫いた。

 百鈴は全力であとを追いながら、賊の動揺の具合を見て取る。

 想定外の事態に、冷静に状況を把握し、次の一手を考える者──。

──あいつだ!

 百鈴は馬豹に意識が向いた賊の虚を突くように駆け寄ると、他の者は最低限に()なすにとどめ、狙いを定めた者に体当たりするような勢いで向かって行った。

──毎度、毎度、逃してなるか!

 百鈴は槍を短く持つ。

 先に相手の間合いがくる。

 先手を取られるが構わない。

 百鈴はもとより後手番のつもりだ。

 鋭い槍が百鈴を襲う。

──大したことない。

 馬豹に比べれば、児戯に等しい突き出しだ。槍をあわせてギリギリで(かわ)す。

 百鈴の間合いに入った、このまま突き刺す。



〔 鎧袖堅守 〕



 だが相手は小手を巧くあわせて百鈴の攻撃を防ぐ。


──今回こそは仕留める!

 百鈴は防御された瞬間、槍を手放し、すれ違いざまの抜剣で相手の首を撥ね飛ばした。

 続けて後続の一騎の腕を切り落とし、その隙にと向かって来た者は、馬豹が代わりに仕留めた。

 二騎はすぐに賊から距離を取った。

「ありがとうございます」

「いや、よくやった」

 馬豹のフォローと、百鈴の殊勲、それぞれに称える。


 賊は統制を失った感があったが、すぐに方向を変え、まとまりを持ったまま撤退した。

「二番手の指揮者がいたか・・」

 馬豹が言う。

 ならば、只の賊徒ではないかも知れないと百鈴は思った。

「戻るぞ」

「はい」

 二人は袁勝の元に帰参した。




──(すさ)まじいな。

 方倹(ホウケン)は思った。

 馬豹と百鈴の事だ。

 立ち合いを見たときから並ではないのはわかっていたが、実戦はより一層、彼女たちの実力をありありと示した。

 方倹もそこそこに前線で戦ってきた者だったが。

──あれほどの騎兵は覚えがない。

 敵味方問わず、彼の経験では知ることのなかった次元の強さだった。

 馬豹が騎馬のスキルを使ったのはわかったが、百鈴のそれは、方倹には判断できなかった。

──なんにせよ、強者(つわもの)だ。


 しかれども、鶏群(けいぐん)の中の一鶴(いっかく)とも言える存在を目にしても。

「俺たちの出番なかったなー」

 などと言ってのける、のんきで頓珍漢(とんちんかん)な隊員たちには、方倹もあきれた。



 (くだん)の馬車が輜重隊に近づいて停止した。

 中から出てきた女を見て。

──格の高そうな奴だな。

 ひょっとしたら、どこかの高官かも知れないと方倹は思った。

──だとすると、さっきのは何者だ?

 引き際の良さもあって、只の野盗ではないと見た方倹だったが、女の素性を想像し、彼女を狙った刺客の可能性を考えた。


 袁勝が女と話をし、二人で百鈴が討ち取った者の人相を確認したが、知らぬ者であったようだ。

 女は何かを袁勝に訴え、彼はしばらく思案していたが、黙って頷き、女は頭を下げた。


 その後、第三輜重隊は動き出したが、その後ろを女の馬車が付いてくることになった。まだ近くに先程の騎馬がいるかも知れず、馬車では振り切れないゆえ、街に着くまで同行したいとのことだった。

 しかしながら、予定では国境に着いたあとは、輜重隊は南西の坤門(コンモン)へ向かうことになっている。

 馬車が途中で別れるのか、それとも坤門まで付いてくるのか、方倹のあずかり知るところではないが。いずれにせよ、一波瀾(ひとはらん)ありそうだとの予感を持った。



 そのような方倹の軫憂(しんゆう)余所(よそ)に。

「結構イイ女だったな」

 などと、隊員たちは軽口を叩いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ