16話 戦略的経済圧力①
サポちゃんから、マミたちの話しは一通り落ち着いたとの報告が入り、二人の様子を見に“薬屋サイヤ”へ戻った。
次は、マミと相談しつつ、タッチ決済型電子マネーの概要を構築していこうと思う。
客が換金のため持参した魔石をSPに交換する。
SPに交換した半分のPを電子マネーとして使用可能にし、客に配布。
シンたちが経営する店舗で、そのPを使って買い物ができる環境を構築する。
決済用に金属タグを発行し、他人に無断で使用できないよう、防犯魔法を施す。
問題発生時の対策として、小型の「嘘発見器」を開発し、裁判や訴訟手続きを簡略化。
顧客には、最低限のルールを守れば財産や権利を保障することを、書面契約で明記する。
もし電子マネーのシステムが思ったより一般に浸透・定着しない場合は、そのときに思考・行動誘導などの施策を講じることにしよう。
まずは以下の魔法を開発する。
【電子マネーの管理】【電子マネー付与】【防盗防犯】【不壊付与】
これらを実装するため、机に乗るサイズの【タブレット型小型機械ゴーレム】を作成した。
ガラス板に背面板を貼り付け、ガラス板には管理画面や映像を映し、タッチやスワイプなど、お馴染みの操作で管理ができる仕様だ。
このゴーレムには、【電子マネー管理】【防盗防犯】【害意悪意感知】【ゴーレム召喚】【不壊】の魔法を付与し、シンが管理者権限を与えた者に操作を委任できるようにする。
しばらくは、ゴーレムとマミに少し手伝ってもらうことにした。
また、既存の冒険者ギルドや商業ギルドのギルドタグを電子マネー化するため、【電子マネー付与】【防盗防犯】【害意悪意感知】【ゴーレム召喚】【不壊】の魔法付与機能を備えた【電子マネー化専用小型機械ゴーレム】と、新しい電子マネー用金属タグを作成する【刻印機】なども開発した。
電子マネーの新規会員登録は、しばらくの間“薬屋サイヤ”でのみ受け付けるため、マミにサーシャの教育を任せることになるだろう。
ちなみに、魔法の効果は以下の通り。
【防盗防犯】
持ち主、または持ち主から許可を受けていない者は、対象(例:金属タグ)を勝手に持ち出したり移動したりできない。
許可のない者が触って持ち上げようとすると、対象の重さが数トン跳ね上がる仕様。
また、使用には生体認証が必要で、持ち主本人か、その許可を受けた者にしか使えない。
【ゴーレム召喚】
防盗防犯が完備されているため、犯罪者が電子マネーPを奪うには、脅して奪うか、直接強盗するしかない。
そのための対策として、電子マネー契約者に「害意・悪意」を向けた者が現れると、自動的に人型ゴーレムが召喚される。
これにより、犯罪者を拘束し、契約者の身の安全を確保する。
さらに、手のひらサイズのガラス製球体に台座をつけ、そこに手を触れた状態で嘘をつくと赤く光り、真実を話すと青く光る仕様の【嘘発見器】も開発した。
この球体には、【虚実看破】【防盗防犯】【害意悪意感知】【ゴーレム召喚】【不壊】の魔法が付与されている。
今後、シンが開発する製品には【防盗防犯】【害意悪意感知】【ゴーレム召喚】【不壊】の4種を基本セットとして付与していくことに決めた。
このシステムが社会に浸透するまでは、“ゴーレム召喚”は無料サービスとして提供し、その後は有料化を検討する予定だ。
なお、魔石のP交換レートが50%と聞くと暴利に思えるかもしれない。
ただ、この異世界、少なくともアメリア国内においては魔道具の普及率が低くFランク魔石の需要も少ない。
そのため魔石は余り気味で、買取価格もあまり高くないのが実情だった。
魔石の回収が一段落した時点で、交換レートの見直しを行うつもりだ。
電子マネーの導入を希望する商会や個人店舗には、決済金の3%を支払う契約を結ぶことで、無料導入できるようにするつもりだ。
加えて、“嘘発見器”をオプションとして提供すれば、さまざまな場面で重宝されるだろう。
ヨーカのメイン通りを牛耳る商会や大店のほとんどは、領政府や犯罪組織と密接な関係を持っているか、もしくはその直営である。
そんな害悪でしかないような店舗経営者には、【思考行動誘導】【隷属】【支配】の魔法をかけて経営を乗っ取り、領の税収を減らすことで、領政府に対して経済戦争を仕掛けることに決めた。
シンを不快にさせた報いだ。
今後は、その準備に取り掛かろうと思う。
終焉の暁シュウエンノアカツキと言います。
よろしくお願いします。
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終焉の暁 @syuennnoakatuki




