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パーフェクト・デイズ⑫

この作品は12作目です。

 うおおおお!そんな声を上げながら、好奇の目にさらされ、腕立てをする羽田。誰がどう考えてもこの結末だったのに、なんでやろうって言ったんだろ。まったくもって意味が分からん。森は沈痛な表情で眺めているが、お前、満点とって店員さん拍手してたやんけ。どんな感情なんだ。俺は1本外しだったのに何も言われんかったのに。不公平だ。おっと、羽田の声が止まった。終わったか?…てなんかチンピラに絡まれちゃってるし。あいつもツイてねえな。ま、しばらくしたら立ち去るでし…あれ、森がいない。

「…すいません、先輩を離してください」

なぁーんでトラブルに突っ込んでくんだよ!はぁ。これ行かんくちゃあかんやつやんけ。仕方なく、俺も参戦することにする。近づいた瞬間に、やたら怒ってるリーダーらしき男にキッと睨まれた。おっと、用事を思い出し…

「おい、こっち来いやぁ!」

てたんだけど忘れちまったなぁ。全く。こっからなんかいろいろまくしたててきたが、びっくりするくらい聞き取りづらかった。入れ歯外したシニアの皆様の方が満足に会話ができるくらいだ。簡単に言っちゃうなら、羽田が腕立てしてるのに気づかなかったリーダーらしき男(浜本(はまもと)というらしい)が躓いて膝をすりむいたことにキレちゃってるらしい。いや、ガキの喧嘩かよ。なーにが膝すりむいちゃった、だ。なんで床に腕立てしてるやつに気づかないんだ。雄たけびあげてたし。当たり屋のにおいがプンプンする。どーしたもんかな。すると、森と話していたチンピラ二号がこっちに向かってきた。

「おい、あいつに聞いたら、お前が首謀者らしいな。てことは、お前をボコしゃいいわけだ」

待て待てぇ!あいつぅ、俺を売りやがったぁ!もともとお前を助けに来たのにぃ!恩知らずめぇ!こんな言葉が矢継ぎ早に出かけたが、声に出せなかったのは、情けないことに、ビビっちゃったとしかいいようがない。ヤバい。動けねぇ。

「あんちゃん、こっち来てもらおうじゃねえか」

浜本にぐいと腕を引っ張られた。逃げられない。絶体絶命。くそ、森め…。ん?なんか森が合図してる。けどよく見えねえ。どうすっかな…こーゆー時は

「すみません。靴紐だけ結ばせてもらえませんか?」

「何だよ。解けてねぇだろ。時間稼ぎしても時間の無駄だぞ」

さすがに無理だったぁ。二番手の案で行くか…

「あ、痛てててて…」

そう言って派手にうずくまってみせる。必殺、腹痛のフリ(フェイクタミィエイク)

「おい、どうした?」

浜本もいい感じにしゃがんだ。これなら…視線を上げてみると、森がハンドサインを出していた。えーと、なになに。…は?冗談だろ。導き出されたアリエナイ答えに思考が一瞬停止する。でも、やるっきゃない。さっと目を走らせ、フィールドの状況を確認する。通行人は遠巻きに見てるだけで、そこまで近い距離にいない。これなら、できる。何より、森が俺を信頼してこの案を提示してきてる。いわば、俺を試しに来ている。おもしれぇ。やってやろうじゃん?

コメントいただけたら幸いです。

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