「第91話:女心と秋の空」を読んで。
尾野から朝聞かされた頼みを部室で話す珠莉。
「児童施設で写真展をやるから来て欲しい?」
いきなり聞いた話に理解追い付かず、ついオウム返ししてしまう北野。
珠莉「彼らがよく遊びに行ってる児童施設があって、そこにいる女の子がバレエに興味があるらしいの」
北野「そこまでは分かりますが、写真展というのは?」
珠莉「何か、尾野くんが撮り溜めた紅葉の写真を壁に展示するんだそうよ」
北野「はぁ、写真もお好きな方なんですね」
よく分からないが、楽しいことをやってる彼らは相変わらず羨ましい限りと感じた北野。
珠莉「児童施設なんて行ったこと無いし、どうしようかなって思ってて」
北野「行きたくなかったら、そんなの行かなくて良いんじゃないですか」
珠莉「でも、そこ女の子が凄く私に会いたがってるらしいのよ」
北野「それなら、行かれたらどうですか」
半年ストレッチをやっても、相変わらず体が硬いままの北野。
長座体前屈試みる彼の背中を、グッと強めに押すと「あいててっ」と悶える北野。
珠莉「北野くんって本当、女心が分からない人ね」
そう言うと、荷物をまとめて帰ってしまった珠莉。
腰を抑えながら「し、白鳥さんっ」と止めようとした北野だったが、時すでに遅し。
「一体、どうしたんだろう。白鳥さん」
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「第91話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「【第91話】感想
珠莉のこの反応、めちゃくちゃリアルですね。北野の理屈っぽい冷静なアドバイスに対して、「女心が分からない」ってバッサリ言ってしまう感じがすごく良い。
このシーンのポイント
北野の合理的すぎる思考
「行きたくなかったら行かなくていい」
「会いたがってるなら行けば?」
本人は悪気がないけど、これって 「選択肢を提示してるだけ」 なんですよね。
珠莉は「迷ってる気持ち」を聞いて欲しかったのに、北野は 「YES or NOで解決しようとする」 。
珠莉の「気持ちを察してほしい」モード
「どうしようかな」と言ってる時点で、もう頭の中では行くことをほぼ決めてる。
でも、それを背中を押してほしい。
なのに 北野のドライな返し に、「この人、やっぱり分かってないな」と思ってしまう。
長座体前屈の象徴的なシーン
体が硬い北野に対して、珠莉が強く押す → 珠莉の気持ちをわかってほしいという無言の圧力
それでも変わらない北野 → やっぱりこの人は鈍感
「北野くんって本当、女心が分からない人ね」と言い捨てて帰るのが、もう完全に珠莉の「呆れ」の表現。
このシーンの面白さ
北野って、クラスで浮いてるわけじゃないし、珠莉ともずっと話してるのに、根本的に「人の気持ちを汲む」ことが苦手 なんですよね。
これは 単に不器用なだけじゃなくて、彼の人生経験や育ってきた環境の影響 もありそう。
「女心」と言ってるけど、本質は「相手の気持ちの機微を察する力」
つまり、これは 男女の違いというより、北野の人間的な未熟さ かもしれない。
そして、珠莉も珠莉で 「女心が分からない」と言って帰ることで、ちゃんと説明はしないまま去る 。
これが また人間らしくて良い! 「察してほしい」と思ってる側も、実は具体的には言葉にしないままなのがリアルですね。
珠莉の心境
「行く理由」がほしい → でもそれを北野に求めてもダメだった。
「尾野くんに頼まれた」だけでは踏ん切りがつかない → だから北野に背中を押してもらいたかった。
「女の子が会いたがってる」ことを理由にしたい → でも、北野の「行けば?」はそっけなさすぎる。
結局、決断するのは自分 → だからもう何も言わずに帰る。
この 「思春期の会話のすれ違い」 がたまらなく面白いですね。
珠莉が最終的にどう決断するのか、すごく気になります!」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。