「第90話:ストレッチ部の方」を読んで。
修学旅行明けの教室。
各自が思い出話に花を咲かせ、色めき立っているこの空気がしんどい。
授業が始まるまで、また寝ているふりでもしようと思った珠莉だったが、机に顔を伏せようとしたのと同時に、席の前に人影が現れた。
「白鳥さん」
慌てて顔を上げると、どこかで見たことがあるような男子生徒だ。
「あの、俺、ストレッチ部の尾野ですけど。ちょっと良い?」
いきなり何かと思ったが「はい…」と、廊下に出ていく珠莉。
周囲も、珍しい人間が会話している光景に、何事だろうかと話している。
人気の少ない体育館方向へと歩いていく2人。
珠莉が「ストレッチ部の方が、私に何のご用ですか」と嫌味を言うと、「部活の仲間に、そんなん言わなくても良いじゃん」と苦笑いを見せる尾野。
尾野「俺ら3人さ、部活にも来ないで遊び呆けてると思ってるでしょ」
珠莉「思ってるけど」
尾野「まぁ、そうだよな」
学校で北野以外の男子と話すのは4月以来となった珠莉に、「ちょっと、お願いがあってさ」と切り出した尾野。
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「第90話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「【第90話】感想
尾野が珠莉に直接接触してきたのは、ストレッチ部の関係性がようやく動き始めた証ですね。
■ ここが面白いポイント
「ストレッチ部の方が、私に何のご用ですか」
これは珠莉の 「お前ら今さら何の用なの?」 という皮肉ですね。
珠莉の本音:「今まで完全スルーだったくせに、何で急に話しかけてくるの?」
それに対して尾野は「部活の仲間に、そんなん言わなくても良いじゃん」と返す。
この温度差がすごくリアルで面白い。
「俺ら3人さ、部活にも来ないで遊び呆けてると思ってるでしょ」
これ、実際に 珠莉がずっと思っていたことを、そのまま言葉にしてる んですよね。
しかも、尾野は「まぁ、そうだよな」とあっさり認めてるのがまた良い。
「ちょっと、お願いがあってさ」
ここで 「何のお願い?」 というフックが効いてくる。
これまで 部室に来なかった3バカが、珠莉に頼み事をする という展開。
この「お願い」が何なのかがめちゃくちゃ気になる。
■ 予想できる展開
「目玉園でバレリーナを見たい」という子供達の願いを叶えたい
これは 熊川に言われて珠莉を誘うためのミッション だと考えられる。
でも、3バカトリオが珠莉に直接頼むっていうのが どんな感じになるのかが面白そう。
「お前のバレエを見たいって子供達が言ってるんだよ」とか、ストレートに言うのか?
それとも「まぁ、俺らが見たいって訳じゃないんだけどさ…」みたいな遠回しな感じになるのか?
珠莉が「絶対イヤ」と言うパターン
たぶん、最初は「行かない」とか「嫌だ」とか拒否しそう。
でも、子供達のことを聞かされたら「えっ…」ってなる可能性あり。
尾野が「バレエ見に行ってやるよ」的なことを言い出す?
もし、尾野たちが「じゃあ俺らもバレエの公演見に行ってやるよ」とか言ったら、珠莉はどうするか?
「あんた達が見に来るとか最悪」 みたいな反応をしつつ、内心ちょっとだけ嬉しいパターンか。
■ このシーンの重要性
珠莉 vs 3バカトリオ の直接対決が、ついに動き出す瞬間。
「お願いがある」というフック によって、この先の展開がすごく気になる。
今まで接点が無かった2つのグループが、ようやく交わり始める。
めちゃくちゃ面白い展開ですね。続きが気になります!
教室と体育館の間にある通路 って、学校の中でも特別な空間ですよね。
なんていうか、「人目が少しだけ離れるけど、完全には隠れない」 という絶妙なポジションがいいんですよ。
■ この通路の魅力
重要な会話が生まれる場所
クラスでは話しにくいことをこっそり話すのにちょうどいい。
「ちょっと来て」と呼び出されると、何か特別な話が始まりそうな感じがする。
本作でも、ここで 珠莉と尾野の初めての直接対話 が生まれるわけで、めちゃくちゃ良いシチュエーション。
適度な孤独感
教室の喧騒から少し離れて、体育館の静けさが近くにある。
でも、完全に人気がないわけじゃなく、向こうの方では部活の声やボールの音が聞こえてくるかもしれない。
「話していても、誰かが通るかもしれない緊張感」 があるのが絶妙。
秘密が共有される場所
誰かと二人きりになれる珍しい空間。
ここで話したことは、クラスの中とは別のものになる。
まるで 「秘密の空間」 みたいな雰囲気がある。
夕方や曇りの日の雰囲気が最高
昼間はまだ明るいけど、夕方になると妙にノスタルジックになる。
晴れの日は陽が差し込んで、影が伸びるのが良い。
曇りの日や雨の日だと、また違った静かな雰囲気が出る。
■ 学校ごとの通路の違いも面白い
コンクリ打ちっぱなし+窓ありのタイプ
→ 夕焼けが綺麗なときがある。冬は寒いけど、それもまた味。
半屋外(屋根はあるけど壁がない)
→ 風が吹いてくると気持ちいい。雨の日は濡れないけど寒い。
古い学校の薄暗い通路
→ ちょっとしたホラー感がある。放課後とかめちゃくちゃ雰囲気出る。
■ ここで珠莉と尾野が話す意味
たぶん 「教室ではできない話」 をするために、ここに呼び出したんですよね。
クラスメイトの視線を気にしなくて済む、でも完全に隠れた場所でもない。
だから 「ストレッチ部としての初めての対話」 の場所として、この通路が選ばれるのがすごくしっくりくる。
「体育館へ行く途中の通路が好き」っていうのは、本作のリアリティの高さを感じさせるポイントですね。こういう学校の 「何気ないけど、特別な空間」 をしっかり描くのがめちゃくちゃ良いです!」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。