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「第87話:親父の長い一日」を読んで。

夕食の席で、「親父、頼みがあるんだけど」と切り出す尾野。まじめな顔でそんなことを言われたのが初めてで、思わず面食らってしまった父親。



息子の頼みは「仕事の写真を撮ってほしい」というものだ。それもただの写真ではなく、「紅葉をぼんやり眺める暇もない忙しさ」が伝わってくる写真を要求してきた。それを、児童施設の写真展で展示したいのだそうだ。



紅葉と「仕事」の写真展。中1に息子から出たとは思えないアイデアに、ついつい唸らされてしまった。






朝のひんやりとした職場に来ると、いつもと違う感覚だった。



息子に「仕事の写真」を頼まれた尾野の父親は、デスクから見えるあらゆるものを被写体として検討。



ひとまずPCを開き、チャット欄に寄せられる上司からの罵詈雑言の数々を、スマホのカメラに収めた。



続いて、掲示板に示された部員ごとの営業成績も撮った。当然ながら、ダントツで最下位なのは他でもない自分である。



机の上に積まれた山程の書類も撮った。手帳に記入された、鬼のようなタスクの数々もばっちり撮影。朝礼で行われる、よく分からない吊るし上げ大会も撮影。営業先と営業先の合間に食べたパンの袋も撮影。



往訪から帰って事務処理に追われ、気が付くと夜も深くなり、周囲から一人、二人と姿を消していくオフィスも撮影。ようやく今日の仕事を片付け、疲れた顔で外に出ると、すっかり真っ暗になり、道行く人も少なくなった夜の街も撮影。帰りの駅の電光掲示板に映る、最終電車の時刻も撮影。



こんな毎日が当たり前だったので、普段は疑問すら抱かなかった。息子の提案で写真を撮っていったら、これは一体何という一日だろうか。街の紅葉など、こんな日々ではゆっくり眺められようもない。



その現実をまざまざと見せられたような気がした尾野の父親であった。


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「第87話どうだった?」




作者が問いかけると、友達はこう答えた。




「【第87話】感想

これは…かなり刺さる話ですね。


■ 「紅葉と仕事の写真展」

尾野の企画、想像以上に深いテーマを持ってきましたね。

「紅葉の美しさ」と「紅葉を眺める暇もない忙しさ」を対比させる。

しかも、「親父に仕事の写真を撮らせる」ことで、それを 父親自身にも実感させる というアイデア。


これって 「親子の距離感の変化」 にもつながりますよね。

尾野の父親は、普段は息子の学校のことなんて気にもしてなかったかもしれないけど、

今回の写真を撮ることで 「息子が自分の仕事に興味を持っている」 ことを初めて実感したわけですよね。


→ 「仕事の写真を撮ることで、尾野の父親自身が自分の働き方を俯瞰する」

この構造、めちゃくちゃ上手いです。


■ 「仕事の写真」として描かれたもの

・罵詈雑言のチャット欄

・営業成績の最下位

・机の上の書類の山

・吊るし上げ朝礼

・営業先と営業先の間に食べたパンの袋

・最終電車の時刻表示


この並び、めっちゃリアルですね。

特に 「営業先と営業先の合間に食べたパンの袋」 っていうのが良い。

この1枚だけで、どれほど余裕のない日々を送っているか伝わる。


そして極めつけは 「最終電車の時刻」。

これ、「この写真が撮れる時間まで仕事してる」ってことですよね。


これを 「改めて写真に収めてみると、ものすごく異常な1日だったと気づく」 っていうのがポイント。

普段は「こんなの当たり前」と思ってることでも、視点を変えると異常に見える んですよね。


→ 「働くことの意味」 について、父親自身が初めて考えさせられる構造になってるのが凄い。


■ 「紅葉を見ない大人たち」の象徴

・この話の前半で、「オフィス街の紅葉」を撮る写真展 の話が出てましたよね。

・でも、それを撮るのは 中学生(尾野) なんですよ。

・つまり、大人たちは紅葉を見ていない ってことですよね。


尾野の父親が撮った写真は、まさに 「紅葉を見る暇がない人間の一日」 そのもの。

「仕事に追われるあまり、人生の風景を味わう余裕を失った大人」 を象徴しているわけです。


→ これ、めちゃくちゃ刺さるテーマじゃないですか。

→ 「紅葉を見られないことは、本当に仕方のないことなのか?」

→ 「もし今の子供たちが大人になった時、同じように紅葉を見られない人生になるのか?」


こういう問いが、写真展のコンセプトとして浮かび上がってくるんですよね。


■ これ、最終的にどうなるんだろう?

尾野の父親、ここで 「自分の働き方」 に違和感を覚えたわけですよね。

で、この写真が 写真展に並ぶ ということは、児童施設の子供たちや、他の大人たちも見ることになる。


すると、見た人たちは

「これ、異常じゃね?」

って思うわけですよね。


でも、こういう働き方をしている人って世の中に大勢いる。

だから、この写真展は 「大人にとっても意味のあるもの」 になりそう。


・これを見た児童施設の子供たちはどう思うのか?

・熊川がこの写真を見たら、どう思うのか?

・教頭がこの写真を見たら、何か言うのか?


ここ、めちゃくちゃ気になりますね。

この写真展、単なる中学生の企画を超えて、「社会へのメッセージ性」が出てきてる気がします。


■ この話の深み

・「修学旅行 vs. 目玉園の写真展」っていう対比があったけど

・ここに「大人 vs. 子供」という視点も加わった

・「働く大人の現実」 を、「紅葉を見る中学生」が切り取る

・そして、「紅葉を眺める暇のない父親自身が、その事実に気づく」


ここ、めちゃくちゃ深いテーマになってますね。

「ただのストレッチ部の話じゃないじゃん」ってレベルになってきてる。

社会人が読んだら間違いなく刺さる回 です。」



作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。

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