表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/187

「第83話:待ち侘びて」を読んで。

北野と珠莉の家庭訪問を終え、時刻は朝9時半を回っている。



教頭からは「生徒達は説得できたのか。早く全員連れてきなさい」とのメッセージが飛んできたが、「親御さんとの対話に時間がかかっており、もう少々お時間を下さい。よろしくお願い致します」と返信する熊川。



あの教頭の物の言い方やメッセージの文面を見るにつけ、こんな学校行事への参加を強制する大人などロクなものではない。そこそこの年齢になった今でも、それを改めて再確認する熊川であった。スマホの電源をオフにすると、近隣のカフェで一息着くことに。



本来であれば、このまま間髪入れずに安東・尾野・金山宅を訪ねる所だが、正直、彼らの行動パターンなど容易に想像ができる。何を隠そう、今日は誰もが待ちに待った修学旅行、ではなく、「KUMA VOLLEY COMPANY - MOON RING - 」の発売日である。



彼らと同様、2年にも及ぶ発売延期期間をやきもきしながら待ち続けた熊川。修学旅行など仮病でバックレて、家で朝から没頭したいというのが本音だが、実際に学生であれば、まだそれをしても許される立場ではある。



教師・生徒一同が学校を出発して、そこそこ時間が経過した所で、おそらく金山と尾野は揃って安東宅に向かうことだろう。修学旅行などという面倒な集団行事には目もくれず、安東宅で3人、待ちに待った一日を共に堪能…、およそ彼らの思考などそんな所か。



ぼんやりそんなことを思いながら、カフェの各テーブルを眺めると、スーツ姿の人や、PCを広げて何か作業をしている人など、金曜の昼間にも関わらず、それなりに席が埋まっていることに気付く。彼らは一体、何をしている人達なのだろう。



よく言われることだが、教員は働き過ぎなのではないか。たまの昼間にカフェに寄ったら、余計にそのことに気付かされてしまったが、腕時計を見て、そろそろ良い頃合の時間になったので席を立つ熊川。






ようやく発売の日を迎えた「KUMA VOLLEY COMPANY - MOON RING - 」。



前作から5年の歳月を経て、ようやくプレイできる喜びに胸を躍らせながら、安東宅に向けて自転車を走らせる金山。思わず鼻歌が出てしまう程、気分が上がっていた金曜日の朝10時半。世の中でも、「クマ休暇」という言葉が使われるほど、「KUMA VOLLEY COMPANY」シリーズの発売日には休みを取る社会人も多い。



しかし、前に映った情景に突然ブレーキを踏んだ。



前方にはこれからバレエ教室に向かう珠莉と、1-Kの全国大会に向けてロードワーク中の喜出がバッタリ会って話していた。いつかの試験前にも同じような夢を見たが、ついにそれが正夢として現れたか。夢と同様に、近くの公園へと歩を進める2人を、気付かれないようにゆっくりと尾行する金山。公園のベンチに座る彼らの様子を、草葉の陰から見ていた所、まさかの光景に言葉を失ってしまった金山。



胸に抱かれて、赤子のように泣いていたのだ。



そして、泣いていたのは珠莉ではなく、何と喜出の方だった。



産まれたばかりの赤ちゃんのように「オギャーオギャー」と泣く喜出を、「もう、ほら泣かないの」と、頭を撫でながら抱きしめる珠莉。



理解が追い付かない公園での一幕。思わず公園から駆け出した金山は、自転車を全速力で漕いで行った。


----------------------------------------------------------------------------------------


「第83話どうだった?」




作者が問いかけると、友達はこう答えた。




「【第83話】感想

修学旅行をブッチして「KUMA VOLLEY COMPANY - MOON RING -」へ…

今回の話、色々と展開が**「強い」** ですね。


① 熊川、社会の闇に気付く

教頭からの 「全員連れてこい」

→ これ、やっぱり異常なんですよね。「修学旅行は楽しい思い出!」という建前の裏で、「行かない生徒は問題児扱い」 という風潮がある。


熊川の「もう少し時間を下さい」の絶妙なさじ加減

→ ここで真っ向から反発せず、「対話が必要」 という大人の対応をするのがポイント。完全にスルーできるほど適当でもなく、でも強制する気もないという 「熊川のポジション」がハッキリしている。


② そして、熊川も実は「クマバレー待ち」

「教師・生徒一同が出発して、そこそこ時間が経過した所で」

→ 金山・尾野・安東の動きを完璧に読んでいる熊川。


「修学旅行なんか仮病でバックレて、家で没頭したいというのが本音」

→ 先生なのに、生徒と同じことを考えてるのが面白い(笑)。


「クマ休暇」というワードのセンスも最高。この世界ではクマバレーの発売日が、もはや社会現象。

でも教師だからさすがに即プレイはできず、「とりあえずカフェで一息」

「教員は働き過ぎでは?」という疑問を持つけど、今カフェにいる人々は普通にサボってるように見える(笑)。

③ 金山、至福の「クマバレー解禁」へ…のはずが

テンション爆上げの金山。鼻歌交じりに自転車で安東宅へGO!

→ ここの浮かれっぷりがすごくいい。大人になっても、ゲームの発売日ってこんな気持ちになりますよね。


でも、前方に「珠莉 × 喜出」の組み合わせが現れた瞬間にブレーキ!

→ ここ、まるでギャルゲーの「まさかのルート分岐」みたいな感覚。


「夢と同じ光景が…?」

→ 金山にとって 「夢」だったものが「現実」に起こる という不穏な流れ。


④ そして、まさかの「喜出が泣いてる」

「えっ、泣いてるの珠莉じゃなくて、喜出!??」

→ ここはかなり意外な展開。喜出みたいな 「最強キャラが涙を見せる」 ってだけで、シーンに重みが増しますね。


「オギャーオギャー」って言いながら泣いてるのがシュール。

→ いや、これもう 「ガチで赤ちゃん返りしてるのか?」 ってレベルの泣き方(笑)。


「ほら泣かないの」って、珠莉が完全に「母親役」

→ これまでの関係性からすると、こんな構図になるのは予想外。なぜ喜出がここまで精神的に崩れたのか? が気になりすぎる。


⑤ 「何を見せられたんだ俺は…」状態の金山

「理解が追い付かない」

→ そりゃそうですよね。「体育会系最強キャラが公園でオギャ泣きして、バレエ少女に抱きしめられてる」 なんて、こんな意味不明な光景を見たら、普通の人間は混乱する。


ここまでの流れなら「静かに見守る」のが金山のパターンなのに、今回は「逃げ出して全速力で自転車を漕ぐ」**

→ これは、金山にとって「見てはいけないもの」を見てしまったという感覚 なのかもしれない。


【まとめ】

修学旅行ブッチ勢(熊川&3バカ)と、しっかり参加勢(他の生徒たち)

「クマバレー発売日」という、もう1つの「本当の修学旅行」がある

最強キャラ・喜出が、まさかの「赤子レベルの泣き」

「母性100%発揮の珠莉」 vs 「想定外の光景に逃げ出す金山」

ゲームをするはずが、思わぬ「現実世界のバグ」を見てしまう展開

→ これは、クマバレーどころじゃないですね。

→ 「何があった!?喜出!!!」」



作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ