「第78話:あと一週間」を読んで。
修学旅行に持って行くお菓子を買いに近所の駄菓子屋に自転車を走らせる3人。
尾野「いよいよ、あと一週間だな」
金山「あぁ、もう待ちきれなくて眠れないぜ」
ニヤけ顔を隠し切れない2人。
安東「お前ら、修学旅行そんなに楽しみだったのか」
そう聞く安東に「違ぇよ」と返す尾野。
「ようやくだもんなぁ」と金山が言えば、感慨深そうに首を縦に振る尾野。
職員室では、同じく「あと一週間か…」と待ち切れぬ様子の熊川。無論、修学旅行のことではない。
大ヒット狩猟ゲーム「KUMA VOLLEY COMPANYクマバレーカンパニー」シリーズの最新作、「KUMA VOLLEY COMPANY - MOON RING -」が、修学旅行初日と同日に満を持して発売となる。
前々作「MATAGI」から8年、前作「HINOKUNI」から5 年の歳月が経ち、シリーズファンにとっても待望の新作となる本作は、予定では一昨年に発売される予定であったが、開発スケジュールが遅れに遅れ、再度に渡る発売延期となっていた。
「KUMA VOLLEY COMPANY」シリーズの再三に渡る発売延期で、世間からバッシングを浴びたモモンガ・ソフトウェア社。
同シリーズの生みの親である関プロデューサーが、雲隠れならぬ「熊隠れ」をしたことでも話題となり、先日の新聞記事では、関自らが「仕留めた」クマを肩に担いで山を下りてくるという、衝撃的な写真が掲載され、ゲーム業界のみならず世間の度肝を抜いた。詰めかけた取材陣に、髭もボーボーの関は静かに「今年は出すよ」と一言答えたという。
記事が出た当時、その新聞をクラスで広げた3人。それを見ながら、「本当かよ」「絶対出ねぇだろ」とボヤいていた尾野と金山。しかし遂に、発売日が今秋と発表され、その日までいよいよ一週間となった。
「さすがにこのタイミングで、もう発売延期は無いよな」
駄菓子屋でお菓子を物色しながら尾野が言うと、「ここで延期は、マジで暴動起きるよ」と苦笑する金山。安東が「それにしても、関さんが下山した時の写真はヤバかったな」と言うと、「ゲームを作る人って本当、命削ってるなって思うよ」としみじみ語る尾野。
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「第78話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「【第78話】感想
「今回のエピソードは、「修学旅行直前の高揚感」 と 「8年越しの神ゲー発売日」 という2つのワクワクが絡み合った話になっていますね。修学旅行のことなんかそっちのけで、むしろ**「待ちに待ったゲーム発売日が遂にやってくる!」**という空気感が、妙にリアルで面白いです。
① 修学旅行よりも「ついにこの時が来た!」という昂ぶり
「ようやくだもんなぁ」
「あぁ、もう待ちきれなくて眠れないぜ」
修学旅行が楽しみで仕方ない中学生…かと思いきや、違う。
彼らが待ち望んでいたのは、修学旅行ではなく 「KUMA VOLLEY COMPANY - MOON RING -」の発売日。
修学旅行に向けてお菓子を買いに行くという「普通の中学生らしいシチュエーション」に、「人生レベルの大事な発売日」 が絡んでくるのが面白いです。
② 熊川もまた、修学旅行初日を「待ちきれない」
職員室で「あと一週間か…」と待ちきれない様子の熊川。
もちろん、修学旅行のことではなく**「KUMA VOLLEY COMPANY - MOON RING -」のこと**。
「大人になってもゲーム発売日が待ち遠しい感覚」 って、ゲーム好きには痛いほど分かりますよね。
この熊川の「仕事よりゲームが大事」というノリが、彼が担任というより、むしろ生徒側に近い感覚を持っている ことを表していて面白いです。
③ 「KUMA VOLLEY COMPANY」シリーズの伝説的な遅延
「MATAGI」から8年、「HINOKUNI」から5年。
予定では一昨年に発売予定だったが、開発スケジュールが遅れに遅れ、再三に渡る延期。
→ これは、某モン〇ンシリーズを彷彿とさせますね(笑)。
「もう絶対出ないだろ」と諦めていたのに、ようやく発売が決まるあの感じ、めちゃくちゃ分かります。
「関プロデューサーが雲隠れならぬ『熊隠れ』」
この**「熊隠れ」** のワードセンスが秀逸ですね。
しかも、その間にプロデューサー本人が**「仕留めたクマを肩に担いで山を下りてくる」** というカオスな展開。
(もうゲームじゃなくてリアルで狩りに行ってる…)
→ しかも「今年は出すよ」とだけ言い残して去る…
「今年は(たぶん)出すよ」 という 絶妙に信用ならない一言 がまたリアル。
④ もはや修学旅行よりも発売日が大事
「さすがにこのタイミングで、もう発売延期は無いよな」
「ここで延期は、マジで暴動起きるよ」
このやりとり、ゲーム発売日に全力を注ぐゲーマーたちの切実な気持ちが表れていて最高 ですね。
修学旅行のお菓子を選びながらも、頭の中は「延期したらどうしよう…」でいっぱい。
もはや**「修学旅行よりもゲーム発売の方が重要」** という、彼らの価値観がよく表れています。
⑤ 関プロデューサーの異常なクリエイター魂
「関さんが下山した時の写真はヤバかったな」
「ゲームを作る人って本当、命削ってるなって思うよ」
この台詞、めちゃくちゃ秀逸ですね。
「関プロデューサー=世を捨てた仙人」 のようなキャラが出来上がっていて面白い。
実際、開発が長引くとクリエイターって本当にボロボロになる ので、
彼が**「雲隠れして、リアルでクマを狩ってきた」** のも、妙に説得力がある(笑)。
まとめ
修学旅行の話題かと思いきや、実は「待ちに待った神ゲーの発売日」が一番大事なイベントだった。
熊川も生徒と同じく「修学旅行の日が楽しみ」だが、理由はゲーム発売日だから。
「KUMA VOLLEY COMPANY」の異常な発売延期エピソードがリアルで面白い。
関プロデューサーが「熊を仕留めて下山してきた」という意味不明な伝説が、ゲーム好きの間で神話化している。
修学旅行よりもゲーム発売の方が重要という、中学生らしさ全開の価値観が良い。
「青春の一大イベントは修学旅行ではなく、待ちに待ったゲーム発売日」 という、この価値観がもう最高ですね。
「KUMA VOLLEY COMPANY - MOON RING -」が本当にどんなゲームなのか気になってしまうくらい、このゲームを待っていた3人の気持ちが伝わるエピソード でした。」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。