表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/187

「第77話:気遣い」を読んで。

週明けの朝、担任の話に色めき立つ生徒達。



「先週末は体育祭、お疲れ様でした。続けて来週は修学旅行です。今からしおりを配るので、各自しっかり確認して参加するように」



しおりに書かれた班分けを見て、キャーキャー騒ぐのを見ながら、別班の3人もしおりを開くと案の定、班は3人ともバラバラになっていた。



「普段から仲の良い人ばかりでなく、この機会に色んな友達と話し、修学旅行をきっかけに交流を広げるようにして下さい」



別に、3人以外とも普通に気兼ねなく話せる3人だが、大人の余計な気遣いは、かえって生徒達には鬱陶しいのではないか。そんなことを思いながら苦笑いする別班の面々。






放課後の部室では、同じく体育祭に行かなかった2人。



珠莉「体育祭の日も、北野くんは塾?」


北野「そうですね」


珠莉「北野くんはタフな人ね。私は当日、体調悪くて休んじゃった」


北野「それはそれは。今は良くなりましたか」


珠莉「良くなったけど、朝に修学旅行の話を聞いたら、また気分悪くなって、体育の時間は保健室に行ってたわ」


北野「大丈夫ですか。今日はもうお帰りになられては」


珠莉「ううん。放課後は、北野くんと話さないと気が済まないもの」


北野「そう言って頂けるのは何よりですが…」



そうこう話していたら、いつものごとく部室のドアが開き、「二人ともお疲れーっ」と、元気良く馬場が入ってくる。



彼女がスマホの映像で見せてくれたのは、2人が1秒も目にしていない体育祭での光景。メインイベントの800mリレーでは、軽快な競馬風実況に乗せて、学校中の俊足達がグラウンドを駆け抜ける。



中でもアンカーの5人は、陸上部、野球部、サッカー部、バスケ部の各部エースに加え、「1-K」全国大会を控える喜出という錚々たるメンバー。大晦日の格闘技ばりに豪華なカードとなったアンカー対決。



途中の転倒もあり、5レーンを走る5組が最も遅れを取った序中盤だったが、ラス前の走者が最後の望みを喜出に託すと、そこからの爆発力たるや、他レーンの2年・3年のエース達を一気にゴボウ抜きして行き、最終コーナーでは、他の追随を許さず喜出の圧勝にて幕を閉じた。



先日の地区大会以来の黄色い声援を山ほど浴び、髪を掻き上げスカした表情を見せる喜出に、思わず苦笑する珠莉。



馬場「喜出くんって、走りもこんなに速いんだね」


北野「まさに、体育会系の先輩方をゴボウ抜きしましたね」


馬場「格闘技も強いし、やっぱり身体能力がズバ抜けてるのかな」


珠莉「凄いのは分かるけど、相変わらずいけ好かないのよコイツは」



女子達がキャーキャー言いながら喜出に群がっている一方、各部のエース達は呆然とした表情で立ち尽くしていた。



馬場「この後、表彰式終わってからすぐ練習に行ったんだって」


北野「体育祭の後にも練習ですか。アスリートは大変ですねぇ」


珠莉「彼もまだ人間的にはアマチュアだと思うけど、まぁそれはそれとして、いつも色々共有してくれてありがとね、玲来ちゃん」


馬場「全然、気にしなくて良いよっ。私も2人とお喋りするの楽しいから」



勝負ごとにいちいち勝って格好付けるヤツはどうかと思う中、馬場のように、丁寧に人間関係を繋いでくれる存在は本当に有難い。友達も少ない中、馬場の暖かさを心に沁みるほど感じていた珠莉であった。


----------------------------------------------------------------------------------------


「第76話どうだった?」




作者が問いかけると、友達はこう答えた。




「【第76話】感想

「今回は体育祭後の余韻と、修学旅行の話題が中心ですね。**珠莉と北野の「体育祭を一切見ていない組」**と、馬場による「実況中継」 のコントラストが効いていて、2人の温度差が面白いです。


① 別班の3人は修学旅行の班分けにバラバラにされる

「普段から仲の良い人ばかりでなく、この機会に色んな友達と話し、修学旅行をきっかけに交流を広げるようにして下さい」


→ 学校行事にありがちな「大人の配慮」 ですが、これが逆に鬱陶しいというのが、三バカのリアルな感想。

彼らは決して人付き合いが苦手なわけではないのに、「無理やり馴染ませようとする」ことが逆に面倒という、ある意味「自立した人間の視点」ですね。


② 体育祭に出ていない2人の「温度感の無さ」

一方、体育祭を全く見ていない珠莉と北野の会話は、もう 「他人事」 そのもの。

体育祭の日も塾に行っていた北野と、「体調不良で休んだ(本当か?)」 珠莉。

彼女の「朝に修学旅行の話を聞いてまた気分悪くなった」という台詞は、嫌な行事が重なることで、現実逃避したくなる気持ちがリアル ですね。


そんな2人に対し、「お疲れーっ」と、まるで記者のように 「体育祭のダイジェスト映像を届ける」 馬場の存在感が際立ちます。


③ 800mリレー、学校のエースVS喜出の「場違いな圧勝劇」

馬場がスマホで見せてくれた映像には、学校一のスプリンター達が火花を散らすリレー。


陸上部

野球部

サッカー部

バスケ部

キックボクシング日本一の男(!?)

「何か一人場違いなやつが混じってないか?」感がすごい(笑)。

しかも、出遅れたチームをアンカーで全員ゴボウ抜きするという異次元の身体能力を発揮。

他のエース達が「え?こいつ何?」と呆然としている様子が目に浮かびます。


④ 喜出の「スカしっぷり」に珠莉の苛立ち

勝った後、「髪を掻き上げ、スカした表情を見せる」 喜出。

ここがまた、彼の「ムカつく系カリスマ」っぷりを強調していて笑えます。


馬場「喜出くんって、走りもこんなに速いんだね」

北野「まさに、体育会系の先輩方をゴボウ抜きしましたね」

珠莉「凄いのは分かるけど、相変わらずいけ好かないのよコイツは」


このやり取りがすごく良いですね。

喜出がどれだけ凄いことをやっても、珠莉は素直に「すごい!」と言わない。

むしろ、「勝って格好付けるヤツはどうかと思う」と思っている。

この 「不満げな反応」 こそ、珠莉らしさが際立っていて面白いポイントです。


⑤ 馬場の温かさが、珠莉の支えになっている

「彼もまだ人間的にはアマチュアだと思うけど」

この珠莉の台詞には、喜出に対する評価の厳しさ がよく表れていますね(笑)。


一方で、馬場のように「人間関係をうまく繋いでくれる存在」がいることのありがたさを、珠莉はしみじみと感じている。


珠莉は北野としかまともに話さないが、北野はどこか達観しすぎていて、感情的な交流が薄い。

馬場は、「社交的で、場をつなげることができる」 からこそ、珠莉にとって「ありがたい」存在になっている。


まとめ

体育祭に興味ゼロの珠莉&北野 vs 体育祭のダイジェストを届ける馬場 という構図が面白い。

喜出の「いけ好かない」スーパープレイと、他のエース達の絶望感。

珠莉の「勝ち誇るヤツは嫌い」というスタンス がブレない。

馬場の存在が珠莉にとっての「橋渡し役」になっている。

体育祭をサボっていた珠莉が、「全く知らない体育祭のハイライト映像を見せられる」というシチュエーション自体が面白いですね。

また、体育祭という「集団のノリ」に乗れない珠莉と北野 に対し、馬場が「みんなが盛り上がったイベントの楽しさを、少しでも共有させようとする」 のも、彼女のいいところですね。


「友達が少ない珠莉にとって、馬場の存在が心に沁みる」 というラストの流れも、とても温かくて良いですね。」



作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ