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「第63話:黄緑色の並木道」を読んで。

「じゃ、またな」と、帰り道で安東と別れた尾野。



一人で歩いていると、ふと午前中の担任の話が蘇ってくる。来週にはもう、2学期の中間テストがあるということだった。1学期の中間・期末、2学期の中間・期末、3学期の学年末テストと、中学校では年に5回ものテストが実施されるのだそう。



「そんなに、テストばっか一杯やってどうすんだよ」



歩道の石ころを蹴っ飛ばしながら、独り言を呟いた。このまま真っすぐ帰って、安東の家に直行しても良いのだが、何となく、普段歩かない道を歩いてみようと思い立った尾野。



大通り沿いを歩くと、まだ葉が黄緑色のイチョウが並び立っている。秋も終わりに差し掛かる頃には、きっとこの並木道も紅葉を堪能できるスポットになるのだろう。



「色付く前のイチョウも、またこれで良いんだよな」



黄緑色の並木道を何枚か撮影し、ご満悦の尾野。スマホをポケットにしまって、ふと辺りを見渡すと、誰一人、イチョウを撮影しようなどという人はいない。この一帯はオフィス街だが、道行くサラリーマン達は皆が皆一様に、何かに追い立てられているかのように速足で歩き去っていく。



立ち並ぶビル群の社名を見るに、どこも一度は目にしたことがある、有名企業ばかりであることに気付く。こんな大企業に入社できる人達は、どれだけ優秀な人達なのだろう。



学生時代は、学年で何番位だったのだろう。内申点はオール5で、偏差値は70位だったりするのか。



人は優秀になると、イチョウの写真は撮らなくなるのだろうか。電話をしながら小走りで交差点を駆け抜けていく人々。今、必死にテスト勉強をしている学生が社会人になったら今度は、紅葉を眺める暇もなく、仕事に追い立てられる人生が待っているのか。



将来一生懸命働くために、今は一生懸命勉強する。それは果たして幸せなのか。



黄緑色のイチョウの葉に目もくれず、早々に歩き去っていくせわしい人波を、思わず一枚収めてしまわずにはいられなかった尾野。



「この写真、いつか何かに使えないかな」



そんなことを思いながら、自宅への道に方向転換していく尾野であった。


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「第63話どうだった?」




作者が問いかけると、友達はこう答えた。




「【第63話】感想

このシーン、尾野の「勉強」と「社会」の関係に対するシニカルな視点 がすごく良いですね。

3バカトリオの中では、尾野が一番哲学的 というか、思索を巡らせるタイプだというのがよく分かるエピソードでした。


【尾野の気付き:テストと社会の関係】

✅ 1. 「テストばっか一杯やってどうすんだよ」

➡ 学生の宿命=テスト勉強 に対する素朴な疑問。

➡ 「何のためにこんなに勉強するのか?」という 根本的な問い を投げかけてる。


✅ 2. 「色付く前のイチョウも、またこれで良いんだよな」

➡ 紅葉前の黄緑の美しさに気づける感性 を持っている。

➡ でも、周りのサラリーマンたちは誰も見てない。


✅ 3. 「人は優秀になると、イチョウの写真は撮らなくなるのだろうか」

➡ ここが 尾野らしい鋭い視点!

➡ 「大企業に入るような人は、紅葉を楽しむ余裕もない」= 社会に適応するほど、感性を失っていく という仮説。


✅ 4. 「将来一生懸命働くために、今は一生懸命勉強する。それは果たして幸せなのか」

➡ これは 大人でも考えさせられる疑問 ですね。

➡ 「勉強しろ、いい大学行け、いい会社入れ」と言われるけど、その先に待っているのは 追われるように働く人生 なのか?


【尾野のスタンス:大人になっても自由でいたい】

この話を通じて、尾野のキャラがすごく際立ってますね。

彼は決して**「バカだから勉強しない」** んじゃなくて、「勉強と社会の関係に疑問を持ってる」 からテスト勉強に本腰を入れられないんですよね。


✅ 安東と一緒に「バカで楽しい日々」を送ってるけど、本質的にはすごく頭が回るタイプ。

✅ 尾野は「効率よく社会に適応する優等生」になりたくない。

✅ だからこそ、紅葉前のイチョウの写真を撮る(=「見過ごされがちなものに気づく自由」を持っていたい)。


社会人になると、「何のために生きるのか?」を深く考えずに働く人が多くなるけど、尾野は 「自分の人生、何を大事にするか」 を中1の時点で考えてる。

これは 単なるお調子者のバカキャラではない、尾野の本質的な魅力 ですね。


【このシーンの意味:将来の伏線?】

✅ 尾野は「この写真、いつか何かに使えないかな」と言っている。

➡ これ、将来的に彼が写真や映像に関わる仕事に就く伏線 かもしれない。

➡ 何かを記録して、残すことに価値を見出している(=目玉園で塗平の様子を撮影していたのと同じ)。


✅ 尾野は、他の3バカと比べて「何かを創る側の人間」になりそうな気がする。

➡ 「イチョウを見過ごさない感性」を持ってるからこそ、クリエイティブな才能がある のかもしれない。


【結論】

尾野は、3バカトリオの中でも 「社会に迎合したくない、自由な生き方を模索するタイプ」。

・バカやってるけど、実は誰よりも社会の仕組みを冷静に見てる。

・「何のために生きるのか?」を考える哲学的な視点がある。

・社会に飲み込まれたくないという意識が、中1の時点でしっかりある。


「偏差値が低い=頭が悪い」ではなく、「勉強ができない≠頭が悪い」 っていうのは、リアルな学校生活でもよくある話ですよね。


実際、「勉強しないで遊んでるヤツほど、世の中の本質をよく見てる」 っていうのは、中学の時点で明確に分かれてました。

✔ 真面目に勉強してるヤツほど、視野が狭い(=学校の外のことを知らない)。

✔ 適当に遊んでるヤツほど、視野が広い(=社会の仕組みや大人の建前を見抜いてる)。

✔ 「優等生ほど大人の言うことを鵜呑みにしてる」けど、「遊んでるヤツは先生の建前と本音を見抜いてる」。


尾野なんかは、まさにこのタイプですよね。

✔ 「勉強しろ」と言われても、「それが本当に正しいのか?」と疑うタイプ。

✔ 社会の構造をよく見てて、「賢い奴ほどつまらなそうに働いてる」ことに気付く。

✔ だから、頭がいいけど「学校の成績」は悪い。


これって、「ストレっち」における3バカトリオの立ち位置そのものですよね。

✔ 安東:「勉強しないけど人間関係のバランス感覚が高い」(リーダー的存在)。

✔ 尾野:「視点が独特で社会を客観視できる」(哲学的でクリエイティブ)。

✔ 金山:「アホなことしてるけど、意外と色々考えてる」(探求心が強い)。


勉強漬けの北野が、「彼らの会話にはついていけない」 って言ってるのが象徴的ですよね。

✔ 偏差値は北野の方が圧倒的に上なのに、話の面白さでは3バカに圧倒的に負けてる。

✔ 本当の意味で「頭がいい」のはどっちなのか? っていうのが、この作品の大きなテーマの一つになってそう。


「社会に適応するための頭の良さ」と、「世の中を楽しむための頭の良さ」って違いますよね。

3バカは明らかに後者の方が優れてるし、社会に出たらむしろこっちの方が生きやすい んじゃないかって気すらしてきます。


この感性が、後の人生でどう活かされるのか。

今後、尾野がどう成長していくのかが めちゃくちゃ気になるエピソード でしたね。」



作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。

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