「第62話:三周目」を読んで。
「いよいよ来週は2学期の中間テストです。各自、十分準備をして臨むように」
授業中に教師がそう話す中、ぼんやりと窓の外を眺めている安東と尾野。真後ろの席では、頭にハチマキを巻いた金山が理科のテキストを読み漁っている。
休み時間に「また、塗平と列斗と4人で遊ぼうぜ」と2人が話している間も金山は、縄文時代がどのような時代だったのかを入念に復習していた。
一方、放課後の部室では、珠莉は北野からマンツーマンのレッスンを受けていた。
「北野くんがストレッチ部に来てくれなかったら、今頃赤点を連発して、親からバレエを辞めさせられてたと思う」
そう話す珠莉に、「そんなこと無いですよ」と微笑み返す北野。
「ところで、他の3人はどうしてるのかしらね。毎日遊び呆けて、試験勉強なんかしてそうに思えないけど」
珠莉の言葉を受けて、こないだ廊下から覗き見た風景を思い出していた北野。
「安東くんと尾野くんはテスト前も変わらず、毎日エンジョイされていますが、金山くんは2人とは遊ばず、勉学に励まれているようですよ」
北野の回答に「へぇー、そうなの」と意外な様子だった珠莉。
「まぁ、彼らもさ。何ていうかその、『俺達、このままで良いのか』みたいな、そういう不安感みたいなものは、どこか漠然と抱いているのかもしれないわね」
勝手に彼らの心情を推し量る珠莉に、「中学生位にもなると、そういう不安は誰しもが抱いているでしょうね」と冷静に返す北野。
「『中学生位にもなると』って、私達だってまだ中一じゃない。何か、北野くんって本当、達観してるよね。人生三周位した人みたい」
そう笑う珠莉に、「そんなこと無いですよ」と再び微笑み返す北野。
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「第62話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「【第62話】感想
中間テストを控えたこの回では、ストレッチ部の5人の対照的な過ごし方 が際立っていますね。
それぞれのキャラらしさがよく出ていて、
「勉強する奴、しない奴、その間で揺れる奴」 のバランスが絶妙。
① 勉強モードに入った金山 vs 相変わらずの安東&尾野
冒頭のシーンで、金山だけが必死に勉強している のがポイント。
・授業中に窓の外を眺める安東と尾野(やる気ゼロ)
・その真後ろで、ハチマキを巻いた金山
このコントラストが面白いですね。
「縄文時代」の勉強をしているあたり、テスト範囲ギリギリになって必死になってる感じがリアル。
◆ 安東&尾野の「日常」としての遊び 「テスト直前でも遊びをやめない」というのは、もう彼らにとっての“日常”なんですよね。
「また塗平と列斗と遊ぼうぜ」と普通に話しているあたり、
・テスト前に焦る気配なし
・そもそも“勉強”という概念が薄い
ということがよく分かる。
その一方で、金山は完全に別路線へ。
この3人の関係性が微妙に変化し始めているのが分かるシーンですね。
② 珠莉と北野の勉強会
放課後の部室で、北野にマンツーマン指導を受ける珠莉。
「北野くんがいなかったら、赤点でバレエを辞めさせられていた」という発言が、彼に対する信頼感を示していますね。
・珠莉は勉強のためにストレッチ部に通っているわけではない
・でも、結果的に**「唯一の会話の場」** が、勉強の場になっている
・その関係性が、単なる「勉強を教える側・教わる側」以上のもの になっている
ただの学習会ではなく、
お互いにとって貴重な時間 になっているのが伝わってきます。
③ 「俺たち、このままでいいのか」
珠莉が「3バカトリオはどうしてるのかしら」と話を振ると、
北野が 「金山くんは勉学に励んでいます」 と情報提供。
ここでの珠莉のセリフ、
「俺達、このままで良いのか」みたいな漠然とした不安を抱えているのかも
というのが秀逸。
実際に、金山は勉強を始めているわけですが、
安東と尾野も、 「勉強しないままで良いのか?」 という思いがどこかにある。
でも、それを行動に移すかどうかで、それぞれの道が分かれていくんですよね。
「漠然とした不安」は、全員が持っているものの、行動に移すかどうかは別の話。
この辺り、中学生特有の揺れ動く心理がよく表現されています。
④ 珠莉「北野くんって、人生三周くらいしてる人みたい」
珠莉のこの発言、まさに北野の本質 を突いてますね。
・13歳とは思えないほどの冷静さ
・視野が広いし、論理的
・周囲の騒ぎに振り回されない
まさに**「達観キャラ」**。
「中学生くらいにもなると…」って話すあたり、
まるで 30代の社会人が語ってるかのよう な落ち着きがありますね(笑)。
【まとめ】
✅ 3バカトリオの変化
・相変わらず遊ぶ安東&尾野
・勉強に目覚めた金山(ハチマキ装着)
✅ 北野&珠莉の部室での勉強会
・「赤点だったらバレエを辞めさせられてたかも」→ 北野の支えが大きい
・ストレッチ部が「唯一の会話の場」であり、精神的な拠り所になっている
✅ 「このままで良いのか」という漠然とした不安
・テスト前に遊ぶ連中も、どこかで不安を抱えている
・でも、それを行動に移すかどうかは別問題
✅ 北野の達観ぶり
・「人生三周くらいしてる」と言われるほどの冷静さ
・もうすでに「大人の視点」を持っている
北野だけでなく、3バカトリオや珠莉も相当達観してますよね。
彼らの会話って、表面上はバカっぽく見えるけど、よく聞くとめちゃくちゃ論理的で、むしろ社会人より話のレベルが高い(笑)。
【ストレッチ部メンバーの達観ポイント】
✅ 北野 → 「人生三周したような冷静な視点」
・自分が何をすべきかを理解している
・周囲に流されず、無駄なことはしない
・大人の説教を聞き流すスキルが高い(母親や担任への対応)
✅ 珠莉 → 「自分の置かれた立場を冷静に見ている」
・バレエを続けるために、どう立ち回るかを計算
・クラスの女子関係や人間関係を客観視している
・周囲が「北野と珠莉=恋愛」と決めつけることに疑問を抱く
✅ 金山 → 「自分の人生をエンタメ化できる」
・好きなこと(美少女ゲーム)への探究心が半端ない
・突如として「恋」をテーマに勉学に励む(流美という妄想の力)
・どんな状況でも「自分の物語」として楽しめるメンタリティ
✅ 安東&尾野 → 「バカっぽく見えて、めちゃくちゃ話が面白い」
・単なるバカではなく、皮肉や風刺が効いた会話ができる
・学校や社会の仕組みを本能的に理解している
・行動の自由度が高く、適応力がある(わくわく目玉園の関わり方とか)
例えば、3バカの会話って、一見ふざけてるようで、意外と的を射てる んですよね。
✅ 職業体験の希望職種
・「総理の息子で政務秘書官」
・「セクシーな環境大臣」
・「大手電機メーカーの跡取り」
これ、"職業" という概念そのものを茶化してる じゃないですか。
「職業体験なんて、所詮『真面目に働くふりをするイベント』だろ?」っていう皮肉が込められてる(笑)。
学校や社会をシニカルに見つつも、バカを装いながら本質を突く 彼らの会話って、大人より面白いんですよね。
社会人になってから職場の人間関係を見てると、「3バカの方がよっぽど知的じゃね?」って思うことも多いんじゃないかと(笑)。
【結論】 ストレッチ部のメンバーって、全員それぞれの形で "大人より大人" なんですよね。
・北野→ "大人になりすぎた冷静な子供"
・珠莉→ "現実を冷静に見ている少女"
・金山→ "自分の人生を楽しむクリエイター型"
・安東&尾野→ "社会の本質を見抜く陽キャ"
大人になっても、彼らほど面白い会話ができる人は少ないかもしれないですね(笑)。
この回は、ストレッチ部の5人がそれぞれの道を歩みつつあるのが分かる話でしたね。
「遊ぶ派」 vs 「勉強派」 の分岐点が見え始め、今後どう展開するのか気になるところです。」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。