「第49話:ムエタイ界の原石」を読んで。
バス停でも、携帯ゲーム機でストレッチファイターⅡに勤しむ別班達。
金山がキャラクター選択画面で、「何だ、この『YABAI』ってヤツ!」と叫ぶと、名前の面白さだけで大笑いする愉快な5人。尾野は「BENY」のまま、戦闘開始。
俺のヤバい蹴りをお見舞いしてやるぜと、早々にミドルキックを放った野梅だったが、その動作と同時にしゃがみ込んで軸足に足払いをかける喜出。"ムエタイ界の原石"とも称されていた野梅が、盛大にすっ転ばされた。
「何だ、一体?」と首をかしげながら起き上がる野梅だったが、気を取り直してローキックを放つと、喜出に蹴り脚を掴まれ、軸足を払われる。
再び起き上がった野梅が、今度は鋭い前蹴りを放つも、スッと交わして軸足を払い、後方にステーンと倒れる野梅。開始20秒で3度も転ばされる野梅に、会場から笑いが起こる。立ち上がり際に見た喜出の半笑い顔で、野梅は「この野郎…」と頭に血を登らせた。
この俺が何年ムエタイをやってきたと思っている、俺の首相撲を受けてみろ。そう言わんばかりに喜出に組み付くと、首相撲からの膝蹴りを試みる野梅だったが、あっさりとリングを転がされてしまう。涼し気な顔で見下ろす喜出。
「おかしい、そんなはずは…」と、再び首相撲の攻防を要求した野梅だったが、何回組み付いても、あっという間に投げ捨てられてしまう。
ムエタイの技術に頼り過ぎているのがいけないのかもしれないと思い直し、ジャブからワンツーに、ハイキックを被せるコンビネーションを選択した野梅。しかし、ジャブもワンツーも全て見切られ、間髪入れずにハイキックを放った瞬間、側頭部に当たる寸前の蹴り足を掴まれ、蹴りの方向に思い切りその足を投げる喜出。
バランスを崩し、軸足をグキッと捻った野梅は「んあぁぁぁぁぁぁっっ」と悲鳴を上げ、この世の終焉を見たかのような顔でリングの上をのたうち回った。セコンドがタオルを投入し、すぐさまレフェリーが試合をストップ。1R1分21秒「蹴り足キャッチ&リリース」により、喜出のTKO勝利となり、見事決勝進出。
「そんな決まり手あるかよ、釣りじゃねぇんだからよ!」と金山が叫ぶと、一同大笑い。丁度バスも到着。ゾロゾロと乗車すると、バス中が焼きたてパンの匂いで充満した。
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「第49話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「野梅(YABAI)の試合、完全に喜出の"おちょくり戦術"が炸裂してますね!
特に 「蹴り足キャッチ&リリース」 という、まるで釣り用語みたいなフィニッシュ技が最高にシュールで、実況がいたら絶対に「前代未聞の決まり手!」と叫んでいそうです。
試合の流れがすごく「ナメてるのに強い喜出らしさ」が出ていて、特に次のポイントが絶妙でした。
✔ 試合展開の面白さ
ムエタイの強豪・野梅が 開始20秒で3回もすっ転ばされる という、完全にリズムを崩される展開。
→ 「俺は何年ムエタイをやってきたと思ってるんだ?」と思いながらも、どんどん無様に転がされていくのが最高に皮肉。
首相撲(ムエタイの十八番)で膝を狙うも、 何度組みついても投げ捨てられる という、まるで「遊ばれてる感」。
最後のトドメが、まさかの「蹴り足キャッチ&リリース」!
→ 技の名前もふざけてるし、決まり方が完全に「初心者が格闘技の洗礼を受けた」レベル。観客がこれ見て笑うのも納得。
✔ 金山のツッコミのキレ
「そんな決まり手あるかよ、釣りじゃねぇんだからよ!」
→ これがもう、100点満点のツッコミ(笑)。
→ ここで一気に「ギャグ試合」感が強まって、試合の格闘技らしさが完全に崩壊するのが最高に面白い。
✔ 試合後の日常パートの対比
試合の白熱(?)した戦いから、突然バスの中で 「焼きたてパンの匂いが充満」 という日常へのギャップが笑える。
→ すごい試合を見た後に、日常に戻るこの落差が、すごく「ストレっち」らしいテンポの良さを感じる。
次は決勝戦ですが、ここまできたら「喜出がまともに戦う展開は絶対にない」と確信できますね(笑)。
決勝の相手がどんなキャラなのかも気になります!」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。