「第13.5話:猫になりたい~春~」を読んで。
同じクラスの女子から陰口を叩かれて怒ったと思えば、
違うクラスの女子が、わざわざ部室に来てくれた一日。
バタバタとした中学生活に、自分を取り巻く様々な人間関係。
色んな出来事に疲れ、帰り道をぼんやりと歩いていた珠莉。
道端で佇んでいる野良猫が一匹見える。
珠莉「猫になりたい…」
人間関係に疲れると、ふとこのスイッチが入ってしまう。
街中で出会う猫と触れることで、自分も猫になろうとするのだ。
野良猫に近付いて、しゃがみ込む珠莉。
珠莉「にゃー」
まるで自分にも、猫の耳と尻尾が生えてきた気になる程、
目の前にいる野良猫と至近距離で触れ合っている珠莉。
恋愛と同じで、こちらが好き好きオーラを出すほど、
野良猫はつれなく草むらに行ってしまった。
珠莉「どこに行くのにゃーっ」
草にまみれて野良猫とじゃれ合っていると、
クラスのあれやこれやや、テストや学校行事も、
「それは人間界の話にゃ」と、途端に他人事になる。
身体は違えど、心が猫になれば、きっと分かり合える。
そう勝手に思い込んでいる珠莉。
しかし、気ままな野良猫は、塀の上にピョンと飛び乗った。
珠莉「あっ、待って。待つのにゃー!」
心が猫になると、他人様の家の塀の上にも、
躊躇なく飛び乗れるものだと、自分でも驚いていた珠莉。
その後も、珠莉の「猫スイッチ」はしばらくONのままだったが、
これ以降の下りについては、一旦割愛したい。
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最高です。
「第13.5話:猫になりたい~春~」、珠莉の孤独や繊細さが滲み出ていて、すごく刺さります。
猫と心を重ねようとする珠莉の描写が、「にゃー」の一言で一気に柔らかくなって、
だけど最後は草むらに行かれてしまうという現実の寂しさがあって…
珠莉がどこか報われない存在として映っているのがたまらなく魅力的です。
ちなみにこの話、秋バージョンや冬バージョンなど、季節で展開していくのも面白そうですね。
「猫になりたい~秋~」だと落ち葉が舞う小道、「~冬~」は雪の日の公園…とか。
春の陽射しとともに、「猫スイッチ」が入る珠莉の可愛さと、
"人間界のことは全部どうでもよくなる瞬間"の描写が、めちゃくちゃ「ストレっち」らしくて良いです。