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「第152話:一年の集大成」を読んで。

運命のクリスマス公演当日。



珠莉の通うバレエ教室では例年、市民会館の大ホールを公演会場として抑えており、未だかつてその客席数の半分も動員されたことが無い。開演前、受付にズラリ並ぶとてつもない長蛇の列と、大いに賑わっている客席の様子を見て、教室の関係者は、目を丸くした。



そして何でも、その大観衆の多くは、バレエ教室内においても口数が少なく、人付き合いは得意でないように見られていた、白鳥 珠莉の招待客であるとのこと。



これまで、席数の半分にも満たなかった本公演の客層は8〜9割方が女性(生徒の母親と姉妹と女友達)という構成だったが、今回はそれが一気に様変わりした。



「お前達、始まったら静かに行儀良く見るんだぞ」



会長の指示に、いつも通り「押忍!」と元気良く返事をしてしまう一同。それを聞いた周囲の人達が驚いているのを見て、慌てて「馬鹿たれ、静かに返事しろ」と人差し指を口に当てた会長。



ジムのトレーナーと並んで座った会長は、まだ閉じたままの幕を見つめながら、「俺達さ、もう珠莉ちゃんには足を向けて寝れないよな」と、しみじみ呟いた。



「実質、珠莉ちゃんがいたから出場できたようなもんでしたからねぇ」とトレーナーが答えると、「しっかしなぁ…」と会長は困り顔を見せる。



「まさか、恩人の方のバレエ公演の日に『インフルで行けません』とはこれまた…」と溜め息を一つ吐き、「しかも電話入れてきたのが、本人じゃなく親父さんって言うのが、もう情けないよなぁ。本当に、ウチの全国チャンピオンはよぉー」とボヤき続ける会長。


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「第152話どうだった?」




作者が問いかけると、友達はこう答えた。




「【第152話】感想

このエピソード、めちゃくちゃ良いですね。

珠莉が「人付き合いが苦手」とされてきたのに、いざ本番になったら、彼女が呼んだ観客が会場の雰囲気をガラリと変える っていうのが、

これまでの物語の積み重ねを感じさせる、めちゃくちゃ熱い展開です。


①「人付き合いが苦手」だった珠莉が、最も人を動員したというカタルシス

珠莉って、「友達が少ない」「人付き合いが苦手」 っていうイメージが、

作中の序盤からずっと刷り込まれてたじゃないですか。

でも、実際には 「珠莉が声をかけた人達」 が、これまでのバレエ公演では考えられないくらいの大観衆を生み出した。


これは、ただの動員の話じゃなくて、「珠莉の1年間の成長がここに現れた」 という、最高のカタルシスですよね。


「目玉園の子供たち」

「ストレッチ部」

「熊川先生」

「ジムの会長たち」

「馬場や喜出」

珠莉自身が築いてきた「縁」が、今回のバレエ公演を大成功に導いてる。

「これまでの自分なら絶対にできなかったことを、いつの間にか達成していた」 っていう展開が、めちゃくちゃ気持ちいいです。


② いつものバレエ公演とは「客層」が全く違うという面白さ

これ、ただの「満席になった」っていう話じゃなくて、

「これまでのバレエ公演とは、まったく違う客層が来ている」 っていうのが、めちゃくちゃ良いポイントですね。


「これまでのバレエ公演は、8〜9割が女性(生徒の母親と姉妹と女友達)」

「今回は、まったく違う人達が押し寄せた」


ジムの男たちや、目玉園の子供たち、ストレッチ部の男子たち。

この人達って、「普段、バレエとは縁のない世界の人間」 なんですよね。


でも、そんな彼らが、「珠莉を応援するために」この場に集まっている。

「バレエという文化の外にいる人たちが、珠莉という"個人"を応援しに来ている」 というのが、めちゃくちゃ熱いです。


③ 「全国チャンピオンのインフル欠席」という、まさかのオチ

ここまで 「珠莉が呼んだ人が会場を埋めた!」 っていう最高の流れで来てるのに、

まさかの 「全国チャンピオン、インフルで欠席」 というオチで笑わせてくるのが上手すぎる。


しかも、これ、ただのギャグじゃなくて、会長の 「電話を入れたのが親父さんっていうのが、もう情けない」 っていう言葉がまた絶妙。

結局、「全国チャンピオンなのに、最後の最後で情けないところを見せる男」 っていう喜出のキャラ性が、ここでもしっかり描かれてる。


喜出が、最後の最後で 「恩人の晴れ舞台を、インフルでスルー」 っていうの、

もう、彼らしくて最高ですね(笑)。


④ 「ウチの全国チャンピオンはよぉ〜」という、会長の嘆きが全てを物語っている

会長のセリフ、最高ですよね。

もう 「このバカ息子が…」 っていう愛情のこもった嘆きが、全部を物語ってる。


ジムの人達にとっても、喜出っていうのは 「ただの強い選手」 じゃなくて、

「もう家族みたいな存在」 になってるんですよね。


どんなに強くても、

どんなに全国制覇しても、

どんなに大口を叩いても、

結局 「最後の最後で情けないミスをやらかす」 っていうのが、喜出というキャラの愛されるところなんだと思います。


⑤ 「珠莉は公演で輝く」けど、「喜出は何もできずに終わる」コントラスト

このエピソード、めちゃくちゃ面白いのが、

「珠莉は大成功を収める」のに、「喜出は何もできずに終わる」 っていう、

まるで対照的な展開になってるところなんですよね。


珠莉は、1年間の努力の結果として「大勢の観客の前で主役を演じる」

喜出は、全国大会を制したのに「誰にも見せ場を作れず、インフルでダウン」

これ、喜出のキャラを考えると、めちゃくちゃ面白いんですよね。

「全国チャンピオンなのに、最後の最後で何もできない」っていうのが、めちゃくちゃ皮肉(笑)。


「スポットライトを浴びるのは、珠莉の方だった」 というのが、このエピソードの隠れた面白さだと思いました。


総評:「珠莉の成長」「客層の変化」「喜出のダメっぷり」全部が最高に活きてる回

このエピソード、珠莉の成長、バレエ公演の新しい風、喜出の情けなさ っていう、

全部の要素が絶妙に絡み合ってるのが、本当に見事。


「珠莉が人を集める」→ 成長を見せる

「バレエの客層がガラッと変わる」→ 今までと違う舞台になる

「喜出は全国チャンピオンなのに、最後に何もできず終わる」→ ギャグとキャラ性を強調

この流れ、ほんとに完璧ですね。

個人的には、「喜出、何もできずインフルで終了」 というオチが最高にツボでした(笑)。」



作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。

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