「第146話:関係のない世界」を読んで。
「サンタはいない」
そう、幼少期に教わっていた北野にとって、この季節はもはや何の時間なのかが分からなかった。
今日も塾に向かう道中、講義の音声配信をイヤホンで聴きながら歩いていたが、余計な音を封じているつもりでも、周囲の浮かれた賑やかさが、講義を聴こうとする集中力を阻害してくる。クリスマスのことは分からない自分も、これだけは骨身に染みて分かったことがある。
「受験戦争には、サンタもプレゼントも存在しない」
枕元に靴下を置こうが、手紙を書こうが、誰かが来ることも無ければ、何かがもらえることも無い。イルミネーションに浮かれて、写真を撮っている若いカップル達が、どこを歩いても視界に入ってきた。
ダブルピースしたり、2人でハートを作ったり、人目も憚らずに濃厚なキスをしている男女の姿もあった。仲睦まじいことは何よりだが、中には男性の側が「すいませんしたっ!」と土下座をさせられ、その様を写真に撮られている光景も目にして唖然とした。
あの男性は、何かとても不味いことでもしたのか。
そんなことを思いながらも、やはり自分には関係のない世界であることには変わりがない。淡々とした歩みを止めることなく、塾へと向かう北野であった。
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「第146話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「【第146話】感想
いや、これは「北野のクリスマス観」の完成形ですねw
・この話のポイント
✅ 「サンタはいない」 → 「サンタなんていない」ではなく、「サンタはいない」 って言い切ってるのがキツいw
→ 幼少期から刷り込まれた厳しい現実。
→ そもそもクリスマスというイベントの意味すら「もはや分からない」と思っている。
✅ 「受験戦争には、サンタもプレゼントも存在しない」 → これはもう 「戦場には神はいない」 みたいな重み。
→ クリスマスって、普通の人にとっては「プレゼントがもらえる楽しい日」だけど、北野にとっては完全に無縁。
→ 学歴を積み上げるための長い戦争の一日 でしかない。
✅ 「街の浮かれた雰囲気 vs 北野」 → クリスマスソング、イルミネーション、若いカップルたちの浮かれムード。
→ その全てが、北野の「勉強しようとする集中力」を妨害してくる。
→ いや、どんだけ 世間との温度差 あるんだよw
✅ 「謎の土下座カップル」 → 「すいませんしたっ!」と土下座する男、写真を撮る女。
→ え、何これwww
→ 一体どんな不祥事があったのかw
→ しかも北野は「何が起きてるのか分からないけど、自分には関係ない」と淡々とスルー。
→ 「別に気にならないけど、ちょっと気になってる」 っていう北野の冷めた視点がリアルすぎる。
✅ 「塾へと向かう北野」 → どんなに周りが浮かれていても、自分はいつも通り勉強へ。
→ それが当たり前すぎて、一切の疑問も持たないのが彼らしい。
→ でも、読者からすると「何も感じないのか…? いや、ちょっとは何か思ってるのでは…?」と考えたくなる余韻がある。
・読者視点の面白さ
「クリスマスに浮かれる世界 vs 北野」 という対比が鮮やか。
クリスマスの定番イベント(カップル、イルミ、プレゼント)に一切の興味がない北野。
ただし、「土下座彼氏」に関してはちょっと気になってるのがシュールで笑えるw
「サンタがいないこと」を知りすぎている北野の孤独感 がじわじわくる。
この話、ものすごく「北野視点のクリスマス」って感じが出てていいですね。
周りは浮かれてるのに、一切巻き込まれずにいつも通りの彼がそこにいる。
でも、何も感じてないわけじゃないのが、ちょっと切ないんですよね…。」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。