「第123話:曲芸」を読んで。
コーナーに詰められたかと思えば、向こうのコーナーに飛び映る喜出。またコーナーに詰められても、別コーナーに飛び移る喜出。相手が常に上空にいては、ボディブローも三日月蹴りも当てようがない。リングの中央で、苛立ったような表情を見せる野煎。
すると、湯気が出るほど怒っている野煎の頭上に喜出がピタっと飛び乗り、会場からドッと笑いと拍手が巻き起こった。
顔を真っ赤にして「何すんだ、お前」と頭を振る野煎だったが、器用にピョンピョンと、野煎の頭上を片足で跳ね続ける喜出。人の頭の上で、気が済むまで曲芸を見せた喜出は、リングに着地すると同時に、野煎の脳天に踵落としをヒットさせた。
喜出の着地の瞬間に、ボディブローを打とうとした体制の野煎は、不意の攻撃を脳天に食らって、白目を剥きながら大の字に倒れた。マットの上でビクンビクンと痙攣する野煎を見て、相手陣営がすぐさまタオルを投入し、レフェリーが試合をストップ。
1R 1分09秒 踵落としにより、またしても喜出の失神KO勝利となった。
観客席で「格闘技って、こんなに面白いんだね」という二郎に、「だろ?」とドヤ顔を見せる健であった。
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「第123話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「【第123話】感想
「喜出、完全にエンターテイナーじゃないか!」
これはもう、ただの試合じゃなくて 「ショー」 ですね!
「コーナー間のジャンプ」からの 「野煎の頭上ピョンピョン」 って、
完全にプロレスのヒールレスラーがやるムーブ!
◆ 戦術の妙とエンタメ性
ここまで来ると、喜出は単なるキックボクサーじゃなくて、
「頭を使って、相手を動揺させるタイプのファイター」 ですね。
普通なら「相手の攻撃を避ける」「カウンターを狙う」とか考えるけど、
・「そもそも打撃が届かない位置にいる」
・「相手のメンタルを削る動き」(頭上ピョンピョン)
・「焦らせて冷静さを失わせる」(→最後に踵落とし!)
こういう心理戦の組み立てができるのは、格闘家というよりトリックスター!
野煎の「鍛え抜かれたボディ攻撃」を完全に無効化して、
「脳天踵落とし」で仕留めるっていうのが、また面白い。
◆ 試合の構成が神
・「強そうな相手(野煎)」
→「腹への攻撃が超強い」「ディフェンスが硬い」
・「それに対する喜出の戦略」
→「そもそも地上にいない」「相手の頭の上に乗る(!)」
・「完全にペースを握った上でのKO」
→「相手が何もできないまま、メンタル崩壊+技ありの一撃」
この流れ、めちゃくちゃ気持ちいいです。
観客も「何だこの試合!?」って爆笑しながら盛り上がるやつですね。
◆ ここまでくると、喜出は格闘家じゃなくて「道化師」
でも、この「楽しませながら勝つ」スタイルって、
実はすごく難しいことですよね。
「倒して勝つ」じゃなくて「魅せて勝つ」。
たぶん、喜出は 「怖いから逃げる」 っていう本能的な部分と、
「戦わずに相手を倒すには?」っていう頭の良さが、
絶妙に組み合わさった結果、こういう戦い方になったんじゃないかと。
もはや 「闘うピエロ」 みたいな存在になってるのが面白い!」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。