「第109話:幸せの余韻」を読んで。
しばらく走った後、公園のベンチの前でシャドーボクシングをする喜出。
珠莉から「はいよ」とミネラルウォーターを渡され、「悪ぃ」と一口飲んだ。「全国大会まで、あと少しだね」と珠莉が言うと、「そうだな」と喜出。
冬に入り、日が短くなってくると、夕方の公園には人気もほとんど無い。それでもちょっと暑いのは、さっきまで結構な距離を走ってきたからだ。
珠莉「怖いんだ?」
喜出「ざけんな、怖くねぇよ」
不安そうな顔で虚勢を張るのは、いつもの喜出の癖だ。目を反らそうとする喜出に向き合い、じっと見つめる珠莉。
喜出「何だよ」
珠莉「おいで」
不貞腐れた顔を両手で包むと、ぎゅっとその胸に抱き寄せた珠莉。
喜出「やめろよ、こんな所で」
珠莉「やめない」
喜出「放せよ」
ボサボサの喜出の頭を、優しくポンポンと叩くと、耳元で囁いた。
珠莉「カッコ悪くても良い。きーちゃんはきーちゃんだもん」
髪を優しく撫でると、「うっ、うっ」と喜出の嗚咽が胸に伝わってくる。
さっき食べたクレープの甘さが、まだ口の中に残っていた。
試験が終わり、辛いことからも解放され、幸せな気持ちで一杯の金山。自転車をご機嫌に漕いで家に帰る途中、普段通らない公園が見えた。さすがに寒くもなってきたし、人も少ないなと思っていたら、ベンチに2人、どこかで見たような男女が抱き合っている。
試験を終えた達成感なのか、気持ちが大きくなっていた金山は、わざわざその公園に自転車で入ると、ベンチの前を通り過ぎようとした。お楽しみの所を一瞥してやろうと目をやり、金山は驚愕した。
ベンチの上でおいおいと無く喜出を、珠莉が優しく抱いていたのだ。
金山「えっ」
珠莉「あっ…」
数秒の沈黙があった後、急いでペダルを漕ぎ出す金山。
「金山くん、待って」という珠莉の言葉を振り切り、公園から走り去った。こんな光景を見たのは初めてではなかった。
「アイツはどういう女なんだ、一体…」
バレエをやっていて、清廉潔白そうな印象のあった珠莉だが、部室で北野と毎日イチャついてるかと思えば、今度は公園で喜出とも…?
全く理解が及ばず、ただペダルを漕ぐことしかできない金山であった。
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「第109話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「【第109話】感想
金山、また目撃してしまった…。
しかも今度は**「珠莉 × 喜出」** という組み合わせ。
これ、金山が抱く「珠莉のイメージ」が完全に崩壊しそうな展開ですね。
1. 喜出の「試合前になると不安になる」癖
試合前に家に引きこもる→「全国区のスター」に見えるけど、実はめちゃくちゃ小心者
これまでの描写でも、「自信満々に振る舞うけど、実は弱い部分がある」キャラとして描かれてたのが、ここで完全に確定しましたね。
「怖いんだ?」
ここで珠莉がズバッと核心を突くのが良い。
喜出は虚勢を張るけど、珠莉には通用しない。
「おいで」→ ぎゅっ
この流れ、めちゃくちゃエモい。
まるでお母さんが子供をあやすような優しさ を感じる。
「カッコ悪くても良い。きーちゃんはきーちゃんだもん」
これ、珠莉じゃないと言えないセリフ。
「強くあろうとする男の弱さを、肯定してくれる女」 って、めちゃくちゃ母性を感じる。
2. 金山、また目撃…
クレープ食べてテンション上がってるのに、最後に地獄に落とされる金山w
「アイツはどういう女なんだ、一体…」
これは、金山が珠莉を「清廉潔白」な存在として見ていたことの証拠。
だけど、「バレエ少女」=「純粋無垢」 っていうのは、金山の勝手なイメージでしかなかった。
「部室で北野と毎日イチャついてるかと思えば、今度は公園で喜出とも…?」
これ、金山の中で「珠莉が奔放な女に見え始める」瞬間ですね。
だけど、珠莉の行動って恋愛感情からじゃなくて、「必要な人に必要な距離感で寄り添ってるだけ」 なんですよね。
つまり、金山は「珠莉の本質」をまだ理解できてない。
それが、「全く理解が及ばず、ただペダルを漕ぐしかない」っていう表現に現れてる。
3. 「珠莉 × 喜出」と「珠莉 × 北野」の違い
北野 → 「白鳥さんはもっと食べた方が良いですよ」
物理的な距離が近くても、恋愛感情の介在しない関係
でもそれを外野(安東・尾野・金山)が見たら、「男女2人きりでストレッチ」っていう構図がやらしく見えてしまう。
喜出 → 「カッコ悪くても良い。きーちゃんはきーちゃんだもん」
珠莉が母性で包み込む関係
これを金山が見たら、「男女のイチャつき」に見えてしまう。
どちらも「恋愛感情ゼロ」の関係性なのに、金山の視点だと「珠莉=男を惑わす女」に見えてしまう。
ここが今回のミソですね。
4. 今後の展開予想
金山、珠莉を見る目が変わる
「お前、北野とどういう関係なんだ?」とか聞きそう。
それで珠莉に「は?」ってキレられる展開ありそうw
金山が「女って分からねぇ」状態になる
もしかしたら馬場に相談する?
それか、尾野に「あのバレエ女、男とイチャつき過ぎじゃね?」みたいなことを言うかも。
北野 vs 金山
今までは「勉強 vs バカ」っていう構図だったけど、次は「女の見方 vs 女が分からない男」っていう対立になりそう。
しかも、北野は「恋愛」に興味がないから、全くの平行線になる。
「1-K全国大会」
そもそも、喜出がこの大会に出場できるか?っていう問題も出てきた。
珠莉が「試合には出るんだよね?」って確認する展開、絶対ある。
まとめ
「珠莉は男をたぶらかしてるのか?」と錯覚する金山
実際は、珠莉は誰のことも恋愛対象に見てない。
でも金山はそれを理解できない。
「北野と毎日一緒」+「喜出を抱きしめる」=金山の中で珠莉が「分からない女」になる
これが後の展開にどう影響してくるかが気になる。
「1-K全国大会」がどうなるか
喜出が試合に出るのか?
もし辞退しそうになったら、珠莉がどう説得するのか?
次回、金山が誰にこの「目撃情報」を話すのかがめちゃくちゃ気になる…!」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。