「第10話:東洋の魔女」を読んで。
「GWさ、皆で新潟の婆ちゃん家行かない?」
尾野がそう言うと、「良いね」「行こうぜ」と快諾する安東と金山。
安東「新潟って行ったこと無いけど、良い所なんだろうねぇ」
金山「海鮮が旨いってよく聞くよ」
尾野「まぁ、静かだけどなかなか良い所だぜ」
安東「燕三条のラーメンとかも有名だね」
金山「あとベタだけど、新潟は米所だって聞くな」
尾野「コメも旨いんだな、これが」
早くも、長期連休入りした気分で喋っている3人。
「安東くん、玲来が呼んでる」
クラスの女子に声を掛けられると、1年4組の馬場 玲来が、廊下から手を振っているのが見えて、席を立った安東。
「久しぶりーっ」
小学校から安東と一緒だった馬場は、女子バレー部の人気者。その交友関係の広さから「東洋のコミュ力の魔女」との異名を持つ。
安東「どうしたん」
馬場「熊川先生からさ、『ストレッチ部の皆と仲良くして欲しい』って頼まれちゃって」
安東「何でまた」
馬場「部活やってないからじゃない?」
安東「まぁ、そう言われるとそうなんだけど…」
馬場「だから時々、話しかけに来ても良いかなっ」
安東「それはまぁ…」
そう言って頭を掻く安東。3人の席に向かうと、馬場のことを紹介した。
安東「4組で女子バレー部の馬場さん。俺とは小学校も同じ」
2人「初めまして」
安東「こちらが、左から金山」
挨拶代わりに「アポォーッ」と"馬場チョップ"をお見舞いすると、突然の奇襲攻撃に、思わず「うわーっ」と椅子から転げ落ちる金山。
金山「ちょ、何をす…」
馬場「ごめーん。私、馬場なんでつい…」
悪びれもせず舌を出す馬場。
安東「あと、こっちが尾野」
尾野「初めま…」
馬場「元気ですかっ」
こちらも挨拶代わりに"闘魂ビンタ"をお見舞いし、「ぬわっ」とひっくり返る尾野。
顎をしゃくりながら「元気があれば、何でもできるっ」と言う馬場に、「それは…馬場じゃなくて猪木…」と床に倒れて力なく呟く尾野であった。
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「第10話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「【第10話】感想
良い点
・3バカトリオの気ままな雰囲気がよく出ている
GWの予定を決める場面が、まさに彼ららしい。尾野が「新潟の婆ちゃん家に行かない?」と言い出し、安東と金山がすぐに「良いね」「行こうぜ」とノリで決定する流れが軽快で、彼らの即興的なライフスタイルがよく表れている。特に、新潟の食の話題で盛り上がる会話が、なんとなく現実の中学生っぽくてリアル。
・馬場 玲来の登場が印象的
「東洋のコミュ力の魔女」という異名が強烈で、彼女のキャラクターが一瞬で伝わる。小学校から安東と一緒で、今は女子バレー部の人気者という設定も、彼女がどんな立ち位置の人物なのか分かりやすい。
・馬場の行動が予想外で面白い
「馬場チョップ」や「闘魂ビンタ」という、物理的なスキンシップで挨拶をするキャラはインパクトがある。彼女のノリが良く、全く悪気がないところが、周りのリアクションとの対比を生んでいて笑いにつながっている。特に、尾野の「それは…馬場じゃなくて猪木…」というツッコミが絶妙。
・熊川の策略がうっすらと見えるのも良い
馬場が「熊川先生から『ストレッチ部の皆と仲良くして欲しい』って頼まれた」と言うシーンから、熊川が3バカトリオのことを何かと気にかけていることが伝わる。ここで馬場がどう関わってくるのか、今後の展開が気になる。
気になった点(改善提案)
・馬場のキャラが強烈なので、もう少し補足を入れるとより馴染む
彼女の「馬場チョップ」や「闘魂ビンタ」のノリが強いので、「普段からこういうテンションなのか?」が気になる。例えば、「彼女は昔からこういうタイプで、悪気はない」みたいな一文を足すと、キャラの印象が自然に伝わる。
・3バカトリオのリアクションにもう少し違いを出すと個性が際立つ
金山と尾野が同じように吹っ飛ばされる展開なので、例えば金山は「痛ぇ!でも何か楽しくなってきた!」とノリを合わせる一方、尾野は「おいおい、ふざけんなよ…」と嫌がる、というような違いを出すと、個々の性格がさらに際立つかもしれない。
・新潟の話がやや短いので、もう少しディテールを足すと旅行のワクワク感が出る
「海鮮が旨い」「米が旨い」という話はあるが、例えば「温泉に入りたい」とか、「観光地にも行く?」などの話題を追加すると、より旅行計画らしさが増して、読者の期待感も高まる。
総評
3バカトリオの自由奔放な雰囲気に、新キャラの馬場が加わり、より賑やかでコミカルな展開になった回。特に、馬場の「馬場チョップ」「闘魂ビンタ」のテンションが意外性があって面白く、彼女がこれからどう関わっていくのか楽しみ。ただ、彼女のキャラをもう少し馴染ませるための補足や、3バカトリオのリアクションに変化をつけると、よりバランスの取れたエピソードになると思う。
次回も楽しみにしています。」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。