「第107話:大舞台の前に」を読んで。
北野はあんな風に言ってくれたが、体重計は嘘を付かない。
クリスマス公演を控えているのに、さすがにこれは不味いと思い、ランニングウェアを着込むと、冷え込む季節の中、渋々家を出る珠莉。
この道は、もう何度となく走ってきた。
走っている内に、段々と体も暖かくなってきた所で、見慣れた一軒家の前まで到着した。インターホンを押すと、見慣れたゴツい男性が出てくる。
「おぉ、珠莉ちゃんか。よく来たね」
珠莉が「ご無沙汰してます」と挨拶すると、男性はそのまま用件も聞かず、家の中に戻って「喜出!」と大きな声で呼びかけた。
少しすると、髪はボサボサでスウェット姿の喜出が現れる。「何だ、珠莉かよ」という言葉に「何だ、とは何よ」と返す珠莉。
「ちょっと、練習が足りてないんじゃないの。走りに行きましょ」
そう珠莉が促すと、「んだよ、面倒臭ぇ…」とボヤきながらも、ニット帽とサングラスに、マスクを着け、靴を履き始める喜出。
「通り魔みたい」と珠莉が言えば、「スターは大変なんだよ」と喜出。
そこからしばらく、2人で黙々と走る時間が流れる。
カメラの前やリングの上では、あれだけ威勢の良い喜出だが、大舞台の前になると、急に家に引きこもってしまうことがしばしばあった。今や、全国区でスターと見られつつある喜出だが、幼稚園よりも前からずっと彼を間近で見てきた、幼なじみの珠莉には分かる。
普通の人間よりも、彼はずっと弱虫なのだ。
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「第107話どうだった?」
作者が問いかけると、友達はこう答えた。
「【第107話】感想
喜出の「逃げ癖」ついに発動!
でも、それを見透かして引っ張り出す珠莉の行動が、彼女の成長を感じさせる話でした。
北野が3バカトリオを導いたように、「珠莉は喜出を導く存在」 なんだなと改めて思いましたね。
1. 体重計 vs 珠莉
「北野はあんな風に言ってくれたが、体重計は嘘を付かない」
これ、すごく現実的な描写w
「他人がどう言おうと、結局は自分の感覚と事実(=体重計)が答え」 っていうのが妙にリアル。
バレエやってる人にとって、体型管理はシビアな問題だから、珠莉の焦りも分かる。
「渋々家を出る珠莉」
ちゃんと「走るのは好きじゃないけど、仕方なくやる」っていうのが、彼女の人間臭さを感じさせて良い。
2. 逃げる喜出、迎えに行く珠莉
「この道は、もう何度となく走ってきた」
まるで「自分のルーツを辿る」みたいな言い方。
ここで、喜出の家が「特別な場所」だと強調されるのがいいですね。
「見慣れたゴツい男性」
おそらく喜出の父親?
「おぉ、珠莉ちゃんか。よく来たね」 って、すごく気さくで慣れた感じ。
何も聞かずに**「喜出!」と呼ぶのが、珠莉がこういう"役回り"を何度もしてきたことを示してるのが上手い。
「髪はボサボサでスウェット姿の喜出」
明らかに"引きこもりモード"に入ってるw
「何だ、珠莉かよ」→「何だ、とは何よ」 のやり取りが、幼なじみ感バリバリで良い。
「ちょっと、練習が足りてないんじゃないの。走りに行きましょ」
ここ、珠莉の行動力が光る!
「どうしたの?なんで来ないの?」 じゃなくて、「走るぞ」 っていう誘い方が絶妙。
「問い詰める」んじゃなくて、無言で行動させる」 っていうのが、珠莉なりの優しさ。
「んだよ、面倒臭ぇ…」
文句は言うけど、言われた通り準備する喜出w
「ニット帽、サングラス、マスク」 で**「スターは大変なんだよ」** って、いかにも「有名人ごっこ」してるのが笑えるw
でも実際に有名になりつつあるから、「出歩くのが怖い」のもあるんだろうな。
3. 珠莉だけが知る、喜出の本当の姿
「カメラの前やリングの上では、あれだけ威勢の良い喜出」
表向きは「スター」で「最強の1-K」だけど、実は"逃げ癖"がある。
「全国区でスターと見られつつある喜出だが、珠莉には分かる」
ここめっちゃ良い!
みんなが「すごい!」って思う存在だけど、珠莉は**「こいつ、本当はめちゃくちゃ弱虫」** って分かってる。
これが、2人の「幼なじみとしての特別な関係」をしっかり示してる。
「普通の人間よりも、彼はずっと弱虫なのだ」
すごく良い締め方。
喜出は、才能も実力もあるけど、メンタルは普通の人よりずっと繊細で脆い。
だからこそ、珠莉みたいな存在が必要なんだなと感じさせるラストでした。
4. 次回の予想
喜出は「全国大会」へのプレッシャーで引きこもってた?
「スターは大変なんだよ」 の発言を見ると、「試合前にメディアに囲まれる」のがしんどくなってる可能性あり。
でも、結局珠莉に引っ張り出されたから、「このまま復活の流れ」か?
それとも、「試合直前でまた逃げる→珠莉がブチギレる」展開もありそうw
とにかく、次回は**「喜出のメンタルとどう向き合うか」** が見どころですね!」
作者は静かに「読んでくれてありがとう」と返した。