表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鋼鉄の舞姫 ~昭和レトロ活劇・埼玉よ、滅びることなかれ~  作者: YOI
第六章 浅倉暗殺計画(九月)
85/101

秋祭り

 お待たせしました。新章開幕です。

 お楽しみいただければと思います。

 暑さ寒さも彼岸までと云われるが、ここ、大宮も九月半ばまで日付が進むと、その兆候が見られる。

 早い場所では彼岸花の芽が開花し、真っ赤な花弁を広げていた。

 浅倉は、その花を見る度に片桐の実家である曼殊沙華寺を思い出す。


 ……曼殊沙華寺と呼ばれているくらいなのだから、この季節には相当な数の曼殊沙華が開花するのだろう。

 時間があれば見に行きたいところだ。

 あれから復興も進んでいると聞いているし、お彼岸には顔を出せるかな。


 浅倉は、休みの予定を考えながら、花から商店街へと視線を移した。


 馴染みの大宮商店街であるが、今日はまた一段と盛り上がっている。町民が、いつもよりも五割増し位に感じられる。

 だが、その理由は、商店の店主の声を聴けばすぐに分かる。


「今年は豊作だ! 安いよ安いよ! 見てくれこの栗。甘くてほっぺたが落ちるよ」

「甘いよ、甘いよ。奥さん見てみなこのサツマイモ。栗(九里)より甘い、十三里だよ。今日は焼き芋で決まりだ!」


 店先では店主の戦いが繰り広げられていた。

 だが、そんな声を聞きながら浅倉は笑顔で歩く。血生臭い戦いではなく、平和な戦いが行える街は素晴らしい。この活気のある声を守るために戦えたのであるならば、本望だと。

 そんな浅倉は、この商店街ではちょっとした有名人だ。


「さくらちゃん。生きの良いサンマあるよ、持って行って!」

「さくらちゃん! 秋ナス入っているよ! 家の嫁には秋ナス食べさせないけど、さくらちゃんは特別だ! もっていけえ!」


 相変わらず名前は間違われたままだが、浅倉が商店街を歩くと、あれよあれよと、手荷物が増える。

 これだけ見ても、浅倉がどれだけ町民に慕われているのかが客観的に見ても良く分かる。

 愛想笑いをしながら歩く浅倉だが、浅倉がもらった手荷物を横にいる片桐と柏木が代わりに持つ。


「さすがは組長。人気者ですね。夕食とは別に、組長専用の夜食が出来そうですよ」

「いゃいゃ、片桐さん。美味しい夕食の後に、夜食なんて食べたら、私太りますよ」

「何云ってんだい。組長ちゃんは、どうせ夕食後だって稽古しているんだから、変わらないって。まっ、太っているかどうかが気になるなら、俺が直接確かめてやるぜ。とはいえ、服の上からじゃ分からないから直接素肌に触れないといけないがな」


 柏木はそう告げると、指をワニワニと気持ち悪い虫の様に動かす。


「組長、今からでも遅くありません。この変態を切り殺す許可を俺に下さい」

「片桐さん。柏木さんは、変態ですが、殺してはダメですよ」

「何を云っているのですか。変態など人間ではありません」

「いぇいぇ、変態でも一応人間扱いしてあげて下さい。たとえ変態でも変人でも変質者でも一応人間です」


 二人が熱く語っている横で、柏木の肩が落ちる。


「両者の間では、俺が変態なのは決定なのね……」


 寂しく漏れた声は、浅倉達には届かない。

 だが、そんな柏木の目にはある看板が止まった。スイッチのオンオフには定評のある柏木。気持ちの切り替えだけは他の誰よりも早い。


「組長ちゃん、悪いんだけど、俺この後用事があるので、ちょっと抜けるわ」

「抜けるって、夕食はどうするんですか?」

「ふっ、組長ちゃん、俺には夕食よりも食べなくてはならない()があるのさ」

「食べなくてはならない()ですか?」

「組長、この変態の話などまともに聞くだけ損ですよ。どうせ、北の方へ消えて行くのですから」

「……北……ですか?」


 浅倉は、理由が分からないと首を傾げる。


「なに、組長ちゃん分からないの? なんなら、一緒に行く?」


 ゴン!


 片桐の拳が、柏木の後頭部に突き刺さる。


「バカな事を云っていないで、さっさと行ってしまえ!」

「へいへい、じゃっ、そんな訳でお勤めに行って来るわ!」


 柏木はシュタッと手を上げると、商店街の北の方へと、姿を消した。


「……あのぉ、片桐さん。柏木さんは何処へ行かれたのでしょうか?」


 不安がる浅倉。バツの悪い顔を浮かべる片桐。


「え~とですね。北銀です」

「キタギン?」


 北銀座通り。通称北銀と呼ばれる遊郭街。繁華街の南銀座通りと対比して、そう呼ばれる地域となっている。


「柏木さんは、その北銀へ何しに行かれたのでしょうか?」

「そうですね……たっ、弾を撃ちにでしょうか……」

「へ~、あっちの方には、射撃場があるんですね」

「……まぁ、俺も行った事はないので、詳しい事は、柏木に聞いて下さい」

「わかったわ! 今度聞いてみる」


 片桐は、浅倉に背を向けると、手で顔を覆った。


 柏木、お前が変な場所へ行くから、俺が困ってしまったじゃないか。

 組長への説明は自分でやれよな。


 小さな怒りを心に灯すと、片桐たちは氷山神社へと向かって歩き出した。



 ● ● ●



「上乃ちゃん綺麗!」


 真っ赤な袴に、白い羽織。頭には煌びやかな装飾品を付け、いつにもなくお化粧が施されている。

 神楽の衣装を身にまとった上乃を見るなり、尾花沢が感激の声を上げた。

 今日は氷山神社において、収穫を祝う紅葉祭が行われる日だ。神に今期の収穫の感謝の気持ちを込めた舞を踊る。この行事は毎年行われる恒例行事の一つだ。

 浅倉は、神社の中央に設置されている舞殿(ぶでん)にて、神楽鈴を手にし、雅楽に合わせて舞う。この日の為に、巫女の仕事の合間を縫って、日々練習を重ねて来た。

 背筋を伸ばして、開始の時間を裏側で待つ。

 深呼吸を一つすると、境内には(しょう)竜笛(りゅうてき)鞨鼓(かっこ)等の楽器が後に続いて鳴り響く。

 境内が厳かな空気で充満すると、浅倉は覚悟を決めた眼つきを作り出す。


「じゃっ、すいちゃん。行って来るわね」

「えぇ、頑張って。応援しているからね」


 尾花沢に背中を押されると、浅倉は、観客で取り囲まれている舞殿へと上がる。


 大丈夫。私は普段の通り、稽古のつもりでやればいい。


 自分に言い聞かせながら、まっすぐに腕を伸ばし神楽鈴を鳴らす。


 シャリン!


 境内に鈴の音が反響すると、鈴から広がる五色布を大きく広げる。その姿はまるで天女の羽衣の様でもあり、息をのむ美しさがそこにはあった。


「上乃ちゃん、ステキ~」


 尾花沢は両手を握りしめ、ときめきながら、その姿を目に焼き付ける。

 神楽は中盤へと差し掛かり、盛り上がりを見せる。

 浅倉も大分神楽の空気に慣れてきたのだろう。動きが大きくダイナミックな表現へと変わる。


 なんだ、私踊れるじゃない。

 いけるわ。このまま最後まで一気に駆け抜けるわ。


 浅倉は、舞殿を取り囲んでいる観客に視線を動かす。氷山神社の舞殿は特殊で、離れ小島の様にポツンと境内の真ん中に建っている。つまり、360度が観客で埋め尽くされているのだ。

 浅倉は観客の視線に快感を覚えながら舞う。膝を曲げて、腰を落とす。その状態から、一歩足を前に出して、スーッと立ち上がる。だが、ここで異変に気付く。


 へ? もしかして、私、裾を踏んだ?


 時すでに遅し。右足で袴の裾を踏んだ体は体制を崩して、顔面から舞台へとつんのめる。


 しまった! コケる。


 走馬灯の様に時間がゆっくりと流れる。

 顔面から床に倒れ込みそうなところ、右手を前に出す。首を保護するため内側に首を曲げる。床に付いた右手は、手首、肘、肩と転がるタイヤの様に回転運動をし柔道の前回り受け身を行う。


 やれば出来るじゃない。私!


 だが、このゆっくりと時間が流れる中、浅倉の視界の外れに黒い粒が入る。


 ……あれは、もしかして。


 時間がゆっくりと流れているからこそ、浅倉は、その黒い粒の正体を理解する事が出来た。

 なんと、黒い粒の正体はライフルの弾丸だった。


 ……ヤバイ、狙撃された。

 ……だが……。


 浅倉は、体を捻ると、敵からの攻撃を紙一重で躱す。


 くっ、……何処から?

 いゃ、そもそも私を狙撃したのは、なぜ?


 浅倉が思考を張り巡らせていると、銃弾が床板をえぐり、木の破片が飛び散る。


 ズガァァァアアアン!


 直後に銃声が遅れて届く。

 浅倉は、着弾時間と銃声の間に約コンマ五秒の遅れがあったと判断する。つまり、これは概ね二百メートル離れた位置から狙撃された計算となる。

 舞台の上を転がりながら、弾道と距離から狙撃ポイントを割り出す。


「柏木、アノ木の上だ!」


 浅倉は、瞬時に大木のてっぺんを指差すと、舞殿の下へ身を潜める。

 いきなり指示を出された柏木は、大慌てで賽銭箱の裏からライフルを取り出す。スコープを覗きながら、大木の上部を検索する。だが、その場所には、既に敵の姿はなかった。


「ちっ、逃げられたか」


 舌打ちをする柏木の横に浅倉が歩み寄る。


「残念だったわね。にしても、敵の狙いは私かしらね。だとしたら、何故……?」


 浅倉達は、カラスが旋回している大木を見つめた。


 この二週間プロットを考えていました。ですがなかなかいい案が出ないんですよね。しかも、最近別の趣味が出来まして。

 そう、それはなんと「宝石研磨」オパールとか、アメシスト研磨するんですよ。これが面白いのなんのって。しかも、私の趣味に合わせてか「瑠璃の宝石」なんてアニメも放送してくれているじゃないですか。

 嬉しい限りです。

 いつか、宝石の話も書けると良いのですが、それ以前に、これを完結させねば……。

 完結出来るのでしょうか? 読者よりも、ハラハラしている私です。(笑)


 そうそう、未だに良く分かっていないのですが、★とか、ブックマークとか評価があるんですよね。

 グッドのマークは評価にならないのですかね?

 いずれにせよ、今後も応援のほどよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ