第二章
第二章
伯爵家から俺の実家までは、どんなに速くても三日はかかる。王国の端から端を横断するようなものだから、まあ、これくらいはどうしようもない。
道中、子供たちを平民に変装させた。山賊には襲われず、難なく目的地にたどり着くことができた。
「レジル様、レフィ様。あれが、今日からお二人が滞在する所です。」
子爵家の屋敷を指差す。
「わあ!」
「綺麗な城!」
「ここでは素性を隠すことになります。そこで、お二方には偽名を用意しました。レジル様は「ルーク」、レフィ様は「フレア」です。くれぐれも、お気を付け下さい。」
「はーい!」
家に帰ると、父母と長兄が出迎えていた。
「父さん、母さん、兄さん、ただいま。」
母が、機嫌良さそうに目を細める。
「よく帰ったね。奉公はどうだった?」
「伯爵夫妻や使用人たちは面倒見が良く、とても楽しい行儀見習いでしたよ。」
「それはよかった。・・・・・・で、その子たちは・・・・・・。」
「ええ。あちらで仲良くなった方の子供達です。病気でしばらく休むから、その間、俺の所で面倒を見てくれと。なんでも、母親が早くに死んでしまったそうで、他に頼れる宛もなく・・・・・・。子爵家について行きたいとせがまれたので、連れてきたんです。」
俺の後ろに隠れていた二人が、ひょっこり現れた。
「ルークといいます。よろしくお願いします。」
「・・・・・・フレアと申します。どうぞよろしくお願いいたします。」
「ルークちゃんにフレアちゃん。どうぞ、ゆっくりしていってね。」
「はい!」
笑顔の兄を見やる。
「とりあえず、客間に連れて行けばいいか?」
「ああ。ここにいる間は、好きに使ってくれて構わない。」
「わかった。」
真顔の父が、小声で言った。
「・・・・・・ミネルテラ、聞きたいことがある。後で来い。」
「はい。」
「失礼します。」
書斎に入ると、腕組みした父が、眉間に皺を寄せていた。
「お前から、手紙は貰った。だがしかし、親の承諾を得る前に大貴族の子息令嬢を連れてくるとは、どういう了見だぁーっ!」
「すんませーん。」
「返事が軽いっ!」
「だって、事が急すぎたんですもん。」
噴火する親の怒り。父は電源を切られた機械人形みたいに、ゴトンと机に突っ伏した。
「はあ・・・・・・お前ってやつは・・・・・・。」
ため息が漏れる。
「連れてきてしまったからには仕方ないだろう・・・・・・。話は分かった。とりあえずは子爵邸にて匿うとしよう。」
「ありがとうございます!」
「ただし、彼らについての責任はお前が負え。俺は知らん。問われてもほっぽり出すぞ。」
「分かりました。」




