さて、それでは自己紹介と参りましょうか。
『下級市民ジャック、直ちにミッションルームに急行してください。下級市民ジャック、直ちにミッションルームに急行してください。』
朝、モニターからいつもの声が聞こえて直ぐにミッションルームへと向かう。
後ろからは何も言わずともイムがついて来ていた。
右手を見る。 右手は真っ白な義手が自分の歩きと連動して揺れている。
三年、たったの三年で右手を失った。
このままいけばあっという間に死んでしまうだろう。
そうはいかない、もうこれ以上自分を奪われるわけにはいかないのだ。
ミッションルームの扉の前に立つ。
右手を無意識に握りしめながら部屋に足を踏み入れた。
部屋には男性が3人、女性が2人、計5人がミッションルームに居る。
そのうちの1人は見知った人物だった。
「先輩!? やった、先輩と一緒っスか!」
ラナが此方の顔を見た瞬間駆け寄って来る。
それと同時にミッションルームのモニターの電源が付き音声が流れる。
『下級市民、ブレス、レオポルド、デニス、ルチア、ラナ、ジャック、以下6名にミッションの発注です。 以下の地点にて廃棄されたコロニーを発見しました。 コロニーに侵入し、資源を収集してください』
モニターには目的のコロニーまでの地図が表示される。
一目見ただけでリーガルからかなり離れてるのは明白で一日で行ける距離ではない。
『腕の端末をスキャナーに……』
その後はいつも通りの流れで自分の装備を受け取り、ミッションの詳しい説明やイムについての説明を終える。
説明を終えると昇降機に全員で乗り込み地上に出る。
昇降機の目の前にはトラックが一台停まっており、荷台には屋根等はなく野宿に必要な物が最低限積み込まれているだけだった。
「さて、それでは自己紹介と参りましょうか。 私の名前はレオポルド、ミッション歴4年で御座います。 皆さま是非とも宜しくお願い致します」
レオポルドの年齢は周りと比べても明らかに老けており、髪は白髪でコロニーには珍しい存在だった。
コロニーは人材回収のミッションもあるのでその時にここに連れてこられて来た人間だと一目見てわかる。
「俺ぁブレスだ。 ミッション歴は2年。 まぁ楽しくやろうじゃねぇの」
そう言って男は笑みを浮かべながら言う。
男の特徴はなんと言っても背中に背負っているライフル銃だろう。
ライフル銃を見る限りかなりのポイントを費やしたと見える。
「あ、自分はラナって言うっス! ミッション歴は1年もないっスけど精一杯頑張るっス!」
「っち、足手纏いが1人は確実にいんのかよ……」
ラナの自己紹介を聞くとブレスは小さい声でそう言う。
ラナはその声を聞き居た堪れなくなり俯いてしまう。
「あぁ……僕はジャック。 ミッション歴は3年だ。 さっき紹介を済ませたラナとは何度か組んでるからフォローすることは出来るんで安心してくれ。 それにイム……アンドロイドが居るから足を引っ張ることはないと思うよ」
『ご紹介に預かったイムです』
「……っち、わぁったよ。 ちゃんと見とけよな」
一応ラナのフォローをしながら自己紹介を済ませる。
まぁ内心は彼、ブレスと同じ気持ちだが。
「あ、えと、デニスです。 ミッション歴はブレスさんと同じで2年です。 ……えと、よろしくお願いします」
歯切れの悪い言葉で自己紹介をするデニス。
彼に特徴らしき特徴は見当たらないが、それは前者の2人を見た後のせいで感覚が麻痺したせいかもしれない。
強いて言えば頼りになりそうにないと思うくらいだった。
残りはもう一人の女性、確か名前はルチアと呼ばれていた女性だけだった。
しかしいつまで経っても自己紹介せずにその場で仏頂面を晒すだけで、堪らずブレスが口を開く。
「おい! 早くしろよ! それとも喋る穴がたりねぇならもう一つ増やしてやってもいいんだぜ……!!」
「……ルチア。 ミッション歴は1年よ」
吐き捨てるようにルチアは自己紹介を終えると、それを聞き終えたブレスは舌打ちをする。
「さてと、自己紹介も済んだところで今回のリーダーは一番ミッション歴の長いレオポルドで問題はないかな?」
「いえ、私よりジャック殿がリーダーを務めて頂きたい。 お恥ずかしながら私は指揮をするのが苦手な物で」
「は? いやしかし……」
「誰でもいいから早く行こうぜ。 目的地は遠いんだからダラダラしてたら日が暮れちまうぞ」
レオポルドの急な提案に狼狽えているとブレスが急かしてくる。
確かにここで話し合ってるよりは移動中に話すなりした方が効率的だろう。
「わかった、とりあえず今回は僕がリーダーを務める。 異論がなければ車に乗り込んで移動しよう」
そう言うと皆が車に乗り込んでいく。
毎度の事ながら今回も一癖ありそうな者たちとミッションをすることになりうんざりしていた。
どうか今回は何事もなく無事に終わるように願いながらジャックは車へと足を踏み出した。




