【第四十話】お出かけとプレゼント
こんにちは、はちみつレモンです。皆様に良いねで応援していただき、感謝感謝・・・。今回はシーア様とのお出かけです。
誤字脱字等ありましたら、ご報告お願いします。
(ウィンディーネ様、優しくて綺麗だったなぁ。)
転移の暗さに慣れずに怖くて、目を瞑りながら考え事をする。
(それにしても、最後の部分、聞き取れなかった。)
ウィンディーネ様は私の家、知らないのに。と考えつつも、精霊王なので何とかなるだろうと思う。
それにしても、何だか頭が逆さになっているような・・・頭に血が上っちゃう。それに物凄い風が吹いていない?びゅうううう、って凄い音がしているんだけど。
恐る恐る目を開けると、私は逆さまになっていた。
(逆さま?)
下を見ると、お父様達が私を待っていた。
(待って。待って待って、もしかして私、空中に転移して落ちてる!?)
「ちょ、待って、死にたくない、まだ私やり残したことたくさんあるのにー!」
願いも虚しく、私の体はどんどん落ちていく。
(あぁ、終わった・・・。)
地面がどんどん近づいていく。そして、地面に打ち付けられた・・・と思った。
(・・・あれ?)
「全く・・・空から帰ってくるなんて。天使にでもなったの?」
聞き慣れた声が聞こえる。死への恐怖で瞑っていた目を開くと、目の前にはそれはもう端正なお顔が。
「わ、わたくし、生きてる?・・・それに、ウィリアム王子?」
「エラ!大丈夫か!」
状況が掴めずに混乱していると、お父様が駆け寄ってきた。私よりも焦っているお父様を見て、冷静さを取り戻す。
(ウィンディーネ様、転移させるにしても場所が雑すぎだよ・・・。)
本当に死ぬところだった。几帳面そうな見た目をしていて、意外と大雑把なのだろうか。次のお茶会に呼ばれて嬉しかったが、流石に少し心配になる。次は是非とも安全にお返ししていただきたい。
「それで、お姫様。いつまでこの状態をお望みで?」
王子がおかしなことを突然言い出した。
(お姫様?それ、私に言っているの?)
私は別にお姫様じゃないです、と言い返そうと思ったその時、彼の言わんとすることを理解した。
「あ、え、これ、は、不可抗力で・・・!」
そう、私は乙女の夢、本物の王子によるお姫様抱っこイベントを体験していた。考え事をしていて気づかなかったけど、距離が近すぎる。良い匂いだし、しかも体も意外とがっしりして・・・って違う!
「それは僕も分かっているよ・・・それにしても、どうしてそんなに顔が赤いのかな?何か赤くなるようなことを考えていたとか・・・違う?」
ぎくっ。
相変わらず、心の中を読むのが上手なことで。
「わ、わたくしは公爵令嬢です、そのような、ふ、不純なことを考えたりしません!」
「そうかなぁ、それにしては焦っているようだけど。」
何だか王子の手の上で転がされるようでイライラしてきた。一発殴ってやりたい、そう思ったら急に体が傾く。
「うちの姫は、返していただきます。」
まるで助けに来た王子のように登場したのは。
「お、お父様・・・!」
今日一日王子に私のことを売ったお父様だった。帰ったらお母様に言いつけてやろうと思っていたけれど、考えを改める。お父様、私は今日必ずお父様のことを褒めて伝えますから。
「さぁ、私達も森の探索を終えたことだしそろそろ帰ろう。」
王子は、キラキラした笑顔でこちらを見ていた。腕は完全に誰かを抱えるような形に固定されている。
「では公爵。そちらのお姫様をお預かりしても?」
嫌です、と即答したくても相手は王族。なんて質の悪い相手。あぁ、私は帰りも恥ずかしさで死にそうになるのか・・・と若干諦めの気持ちでいると、そんな私に奇跡が起きる。
「すみませんが、それは無理な話です。その姫様を先程、危うく失うところでしたから。私は心配で心配で・・・今手放せば道中で落馬してしまいそうですので。」
「落ちれば良いじゃないか。」
珍しく王子はうっかり口を滑らせたようだ。あっ、と言う表情で自身の口を塞いでいた。あの完璧王子でも、間違いはあるんだなと私は感動していたのだけど・・・お父様は完全にキレている。
それから王子とお父様は一回り以上歳の差があるにも関わらず、馬のスピードで競い合い、私は怖さでお父様に抱きつき、お父様はそれに喜び、王子はそれに何故か怒る、という一悶着がありながらも私は無事に公爵家にたどり着いた。
「・・・ということだったのよ。」
私はシーア様に事の顛末を話した。
「それは何というか・・・大変だったわね。ついて行かなくて正解だったわ。」
他人事のように喋るシーア様の横腹をつついてやる。シーア様はあはは、と笑って私の横腹もくすぐる。お互いに大笑いをして、床に転がった。
「っはぁ、はぁ、流石に・・・疲れたわね。」
私も頷いて同意をする。
「・・・ねぇ、約束、覚えてる?」
不意にシーア様が言った。約束とは、多分カーディフの森から帰ってきたら二人で城下に遊びに行くのこと。私がそんな大事なことを、忘れるわけないじゃないか。
「覚えてるわ。そうね・・・明日にでも行く?明日ならわたくしも空いているわ。」
シーア様は多分私のことを誘いたかったんだろうけど、私のことを気遣って言い出せずに、結局約束を覚えているかだけ確認したんだと思う。全く、本当に優しいんだから。
「本当!?・・・それなら急いで支度をしないと!」
シーア様は飛び上がって喜んで部屋から出ていった。その様子がウィンディーネ様と重なって思わず笑ってしまう。
(私も、シーア様に喜んでもらえるように準備しないと。)
そして次の日。
「エラ、エラ!早く行きましょう!」
「シーア、ちょっと待って!そんなに急がなくても、お店は消えないから!」
朝から町娘に見えるように色々細工をした私とシーア様は今、お目当てのお店に向かっている。そのお店とは、洋服屋。お揃いの服をまず買って、来てからお店を周るということになったのだ。
「う〜ん・・・どれも良いわね。」
「シーア、これはどう?」
街に居ても不思議に思わない、街に馴染む服装でありながら、貴族の娘だと言われても遜色のない普段着のワンピース。シーア様は大きく賛成してくれて、私達は即購入。着替えてお店を出て、ぶらぶらと入れそうなお店を探す。
「シーア、入りたいお店はある?」
私は街に出かけたことがあるのに対して、シーア様はほとんど王宮の敷地から出たことが無かったらしい。王宮の外での思い出が少しでも良いものになるように、楽しんでもらいたい。
「ええっと、あの飴を売っているお店も良いし、くれーぷ?なんて言うお菓子も気になるわね。あとあと・・・」
「全部回りましょう。」
「ええっ、全部は回りきれないわよ!?」
そう言いながらも、凄く嬉しそうだ。
「それは気合いで何とかするのよ、ほら、行きましょう!」
私達はそれから飴とクレープを食べて、綿菓子を食べて・・・って食べ物ばかり挙げたけど、洋服とか靴のお店も見て、沢山買い物をした。シーア様は凄く楽しそうだった。ここに来た時の彼女の表情が嘘かのような楽しそうな姿に、私も笑顔になる。
(来てよかった・・・。)
私は心から、そう思うのだった。
「今日は、楽しかったわ。・・・それで、これ。」
何だかまた既視感を感じる。確か前は・・・そう、ウィリアム王子だ。
王子と同じような包みをシーア様から渡された。私の勘違いでなければ、多分これはプレゼント。母親は違えど、やっぱり血は繋がっているんだなと思う。
「開けても良い?」
「もちろんよ!」
可愛らしいリボンを外して、中身を見る。
「・・・これは、ピアス?」
「そう!エラはまだピアスを開けていないんでしょう?なら、この機会に開けちゃいましょうよ。あなたの初めてのピアスは、私があげたかったの。」
・・・何て、何て可愛いんだ・・・!
私は嬉しさと可愛さのあまりぎゅうぎゅうと抱きついた。ちょっと、苦しいわ、と言いながらも何だかんだシーア様は私の背中に手を回していることを知っている。
「・・・玄関で、一体何をしているんだ。」
シーア様の腕の中から顔をあげると、そこには一週間ぶりに会う人が。
「お兄様!」
私の声に、シーア様も顔を上げる。そして、お兄様とシーア様の視線が合って・・・ってあれ。二人とも固まってるけど・・・それに顔も赤くなってるし!?ちょっと、ちょっと待って!
(まさか、恋に落ちたとか・・・!?)
確かお兄様はこれからシーア様の護衛になる。でも二人が恋に落ちるなんて、聞いたことがない。でも目の前の二人は、確かに恋に落ちた顔をしている。
(こんなの、聞いてないんだけど・・・。)
私がため息をつくと、二人はやっと状況に気づいたようで、顔を赤くして慌てている。今取り繕っても、皆にバレバレですけどね。なんなら後ろにお父様も居ますけど、お父様も固まってますからね。
「うぉっほん・・・エラと皇女様。少し、良いかね?」
お父様はどうやら私達に用があるようだ。特に悪いことはしていないはずだし・・・何か大事な話でもあるのだろうか。
(ここに来てお父様の執務室に行くの何回目だろう・・・毎回悪いことしか起きてない気がするし・・・。)
「はい、大丈夫です。」
嫌な気持ちをそっと胸にしまい込んでおく。
シーア様も何かを感じ取ったのか少し緊張気味だ。
そして私達は何度目かわからないお父様の執務室に連れて行かれた。
「・・・それで、お話ってなんでしょうか。」
執務室に静寂が訪れる。隣からは、ゴクリと固唾をのむ音が聞こえた。
「今から話すのは・・・他でもない、成人の儀についてだ。」
「成人の儀・・・ですか。」
(やっぱり良くないことだったーーー!)
もう少しお出かけを詳しく書きたかったのですが・・・少し後悔です。
次話もお楽しみに。




