(98)望(のぞ)み
望みは、達成されやすい望みと達成されにくい望みに分かたれる。ただ、万分の一も望みがなくても、その望みが達成されないか? といえば実はそうでもなく、達成される場合もある訳だ。勝てる訳がないと思われた織田軍が今川の大軍を桶狭間[田楽狭間]で撃破した史実はそれを如実に物語る。逆に100%大丈夫と思えた望みが、儚く潰えることもないとはいえないということだ。今日はクソ暑い最中に、微かな涼への望みを抱いて書き進めていきたい。^^
とある銭湯である。二人の中年男が銭湯から上がり、冷えたコーヒー牛乳瓶を飲みながら、気分よく話をしている。
「いや、まだ、望みはあるだろっ!」
「相手は豚川さんだよっ! 無理、無理っ!!」
「いやいや、こればっかりは分からんと思うがねっ、ははは…」
そこへ、上がって服を着終えたもう一人の中年男が口を挟んだ。
「… なんだか面白そうな話じゃないかっ! どういうことよっ!」
「いやなに…豚川さんがこのまま町に残るかって望みだよっ!」
「ああ、なるほどっ! まあ、餌を撒きゃ、餌次第で分からんだろうなっ!」
「餌、次第か…」
「町長の決断次第だなっ! なにせ、大富豪の豚川さんだっ! 残ってもらえる、もらえないで、町の先が変わるからなっ!」
三人は思わず沈黙し、冷えた瓶のコーヒー牛乳をグビグビっと飲み干した。
辛い望みも餌次第で甘く変わるようである。^^
完




