(71)スンナリ
皆さんも日々、暮らしておられると、やっていることがスンナリいく日とそうでない日があると思う。かく言う私がそうで、あっ! しまった! などと、スンナリいかず手間取ることが時折りあるのだからしようがない。脇が甘い訳だ。^^
やる物事に対し、辛く考えているときは集中しているためか、そうした失敗をしない場合が多いように思える。皆さんは、いかがですか?^^
村越はパタパタと小忙しそうに団扇を扇ぎながら、渋面で(すず)涼んでいた。
「チェッ! なぜ、こんなに暑いんだっ!」と愚痴ったところで、誰が慰めてくれるというものでもない。だが、愚痴りたくなるほど暑いのだからどうしようもなかった。そこへ、奥の間から村越の母親、静江が現れた。いつもは、現れなくてもいいのに…と思うのだが、この日はそうでもなかった。静江の手にはガラスの器に入れられた湯がいた素麺が美味そうに氷水とともに泳いでいたからである。村越は、ふと思った。
『暑いときにスンナリこういきゃ、申し分ないなっ!』
村越の渋面はたちまち緩み、満面の笑みが零れた。
「なんだいっ! 怪しい子だねぇ~」
静江が訝しげに村越を見ながら呟いた。村越はスンナリいったことで、まっ! いいかっ! と甘くやり過ごすことにした。
「ここへ置いとくよっ!」
「んっ? ああ…」
村越は黙ってるのもな…と珍しく素直に思い、ひと言、ポツリと口を開いた。
スンナリいけば、辛い気分もなんとなく甘くなるのである。まあ、真逆の場合もある訳だが…。皆さんも、そういうことってありませんか?^^
完




