(7)検査
甘辛でその後の結果が大きく左右されることの一つに検査がある。いつだったか、国会で審議された案件の一つで、鋭い質問の野党議員さんに、ついには参考人招致に至ったことを記憶しておられる方も多いと思う。^^
とある工務店である。朝から事務所の電話で対応しているのは最近、この工務店へ入った新人の男子事務員だった。
「はあ…そうは申されますが、昨今、耐震基準の関係が五月蠅くなりまして…」
『またまたっ! とかなんとか言って、あんたの会社の儲けにしようと思ってんじゃ!』
「いえ、決してそのような…」
『甘い甘いっ! それくらいはド素人じゃないんだから、私にだって分かりますよっ!』
「では、どうしろと?」
『どうしろも、こうしろもありません。私が頼んだ設計図面でお願いしますっ!』
「なんでしたら、私の工務店でもう一度、図面を引かせていただきますが…」
『するとなんですかっ! 私が頼んだ図面では建てられないとっ!?』
「いえ、決してそのような…」
辛口の注文に新人の男子事務員は弱り果てた。そのとき、ベテランの事務員が口を挟んだ。
「あっ! お電話変わりましたっ! この前、お世話になった薄毛ですが…」
『ああ! いいとこへっ! 薄毛さんなら安心してお任せいたしますんで、よろしくっ!』
「はあ、有難うございます…」
工事は図面の変更もなく纏まり、施工の運びとなった。
検査は甘辛に関係なく、信用がものをいうのである。^^
完




