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(56)謎(なぞ)

 推理サスペンスのドラマなんかをテレビで観ていると、(なぞ)が謎を呼ぶシーンが映る。観ている視聴者はテレビに釘付(くぎづ)けされ、ド(つぽ)(はま)ることになる訳だ。^^ これは視聴者がそのドラマを(から)い目で観ているときに起こる現象なのである。フフフ…そう来たかっ! などと()めた目で(あま)く観ている視聴者は、決してド壺に嵌ることなく、軽い気分でテレビを離れて入浴できる訳だ。あとで観よう…などと、ビデオに()る[V録する]視聴者もいようが、ド壺に嵌っていることに変わりはない。ビデオに録る・・という馬鹿な(ひと)手間をかけているからだ。推理サスペンスのドラマは謎を呼ぶ前に甘く観た方が無難・・という結論に至る。^^

 とある映画館である。流行(はや)りのサスペンス映画が、いよいよ佳境(かきょう)のクライマックスへさしかかろうとしている。

『フフフ…知らなかったのか』

『ま、まさかお前がっ!』

『そうよっ! 俺が犯人を知っているのよっ!』

『えっ!? あんた、犯人じゃないの?』

『フフフ…俺が犯人な訳、ねえだろっ!』

『なんだっ!』

 すると誰が犯人なんだろう…と、映画を観る観客は釘付けになる。まあ、そんな甘い筋書きの映画はないが…。^^ そんな中で、一人の観客、鳥目(とりめ)は、そんなこたぁ~最初から分かっていたぜ…とばかり、席を離れ、場外へと消える。映画館街の美味(うま)いラーメンを食べたくなったためである。鳥目にとって犯人が誰か? など、どぉ~~でもよかったのだ。^^ 鳥目には謎が呼ばなかった・・という、ただそれだけの辛くない甘いお話である。

 謎が呼ばない前に、甘く去るのが人の世を生きるコツといえるだろう。^^


                  完

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