(47)歩道
歩道は人が歩く道だ・・とは誰もが分かる。^^ では、歩道が片側だけについていた場合[この場合は左側だが]、人は左側を歩いていいのか? という素朴な疑問が生じる。これに対しては、コレッ! という正解が導けない甘さがある。辛く考えれば、━ 人は右、車は左 ━ だから、ダメッ! となる。警察の人[コップ]に訊ねたり、パソコンの検索キーを叩いたりしてもいいのだが、それでは余りに情けない。^^
とある地方道である。一人の老人が道の左側に歩道があるにも関わらず、頑なに法令を遵守
して右側を歩いている。しかも、杖を突いているから、足元がおぼつかず危うい。時折り、車が猛スピードで通過するから、別にどうということもないと言えばそれまでだが、他に人の姿もなく、「おじいさん! 危ないですよっ!」と、声をかける者もいず非常に危険だ。
しばらくして自転車に乗った若者が交差点で老人に近づいてきた。そして信号待ちをしている老人と、バッタリ出食わした。
「おじいさん! 大丈夫ですかっ!」
「えっ!? なんですっ!?」
耳が遠いということもあり、老人は若者にそう返した。
「左に歩道がありますから、そちらを歩かれた方が、よかないですか? 右側は危ないですよっ!」
若者は声をやや大きくして言った。
「えっ!? …ああ、どうも。ですが、私は右側を歩きますっ! 法律にそう書いとりますからっ!」
若者は言わなきゃよかった…と後悔したが、時すでに遅し・・である。
「そうですかっ! じゃあ、お気をつけてっ!」
信号が赤から青に変わった瞬間、歩き出した老人の後ろ姿に。若者は声をかけた。
「ああ、どうも…」
老人は甘い声で礼を言うと、振り返ることなくそのままトボトボと歩き去った。
みなさん、この老人がなぜこれほど頑なだったのか? お分かりだろうか? 実はこの老人、元県警の本部長だったのである。よぉ~~く考えれば、警官が辛く法律を順守するのは当然だが、果たしてここまで…と思う人は多いに違いない。ただ、こうした積み重ねが犯罪防止になる? とも思えるが、人の世は運用・・ということもあり、私には、その辺りが分からない。^^
完




