表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/100

(38)待ち時間

 感覚的にからい人は待ち時間が長いとイラつく傾向がある。一方、その逆で、あまい人は特にコレ! という感覚の変化は見せない。生まれ持っての性向なのだから、こればっかりは神さま、仏さまでも変えられないだろう。まあ、もう一度、生まれ変われば変わる可能性は、なくもないが…。^^

 とある地方の警察署である。運転免許の更新が受付窓口で行われている。

 早朝、家の用事があったために出遅れた奥手おくては、汗ばんだひたいをハンカチできながら、とある警察署へと駆け込んだ。自動ドアが開いた瞬間、目の前に現れたのは受付へ並ぶ長蛇の人の列だった。割り込む訳にはいかんなあ…と、奥手は仕方なく長蛇の列の後方に並ぶことになった。そして、二十分ばかりが流れた。

「奥手さぁ~~んっ!」

 運転免許係の女性係員が快活な声で奥手を呼んだ。

「はぁ~~いっ!」

 奥手は思わず小学生が先生に呼ばれたような声を出して長椅子から立ち上がり、受付へ急いだ。手続きの説明と書類の記入を経て、ようやく、これで…と思ったが、その気分は甘かった。まだ、視力検査が残っていたのである。

「お呼びしますので、お待ち下さぁ~~いっ!」

 ふたたび、女性係員が甘い声で言った。『そうそう! 視力検査だわな…』と、奥手はうっかり忘れていた手続きを思い出した。今までの待ち時間を計算すれば、かれこれ一時間以上は経過していた。

 それからまた、十数分が流れ、奥手は女性係員に呼ばれた。

「お待たせ致しました…」

 受付の前へ立った奥手は、イラつかない性分に生まれてよかった! と神仏に感謝し、思わず両のてのひらを合わせていた。女性係員が瞬間、いぶかしげに奥手を見た。

 待ち時間を感覚で捉えれば、イラつく辛過ぎも感謝する甘過ぎも、社会生活には馴染なじまないことが分かる。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ