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(21)人情(にんじょう)

 日本語の気分がよくなる言葉の一つに人情にんじょうというのがある。同じ判断をするにしても、機械では1+1が2とからいものが、2.1にも2.2にもあまくなるのが人情が加わった場合の判断である。人情が加わると、思わず、ぅぅぅ…と泣けたり、感極まったりする訳だ。^^ これが機械には出来ない欠点で、人のよさの一つでもあるだろう。では、人情がない機械の判断は間違っているのか? という話になるが、実はそういう訳でもない。人がおちいりやすい感情による判断のにぶりが機械にはなく、1+1は2以外の何物でもないという事実を、辛く正しく出せるのである。ただ、正しく出せたからといって、これもまた、すべていいというものでもないから困る。それでは味ももない殺伐さつばつとした人の世になってしまうからだ。世知辛い今の世である。^^

 とある駅の改札口である。

「あの…途中下車したいんですが…」

 一人の乗客が自動改札口を通らず、改札口横の案内口で係の駅員にたずねた。

「… いいですよっ!」

 係員にそう言われた乗客は甘くいい気分で改札口を通過した。そしてしばらくし、駅近くで用事を済ませた乗客は、ふたたび自動改札口を通った。通ったあと、乗客はふと、忘れていた用事の一部を思い出した。

「あの…途中下車したいんですが…」

 乗客は同じ係の駅員に、ふたたび訊ねた。運悪く、係の駅員はその乗客が一度、通過したことを覚えていた。

「何度も困るんですが…」

 係の駅員は、辛口でそう返した。

「何度もって…」

 乗客は鉄道の旅客営業規則を調べておいたから、瞬間、疑問に感じた。この乗客の普通乗車券は100Kmを越えていた。幸いにも、別の係員が気づいたから乗客は再度、途中下車し、忘れていた用事を済ますことができた。よかった、よかった!^^

 このように、甘いはずの人情が裏目に出て辛くなる・・という場合[ケース]もあるにはある訳で、裏目に出た場合はあきらめるしかないだろう。甘くない世知辛い、今の世ですから…。^^


                  完

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