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(14)意識

 人には意識というものがある。異性を意識する・・などというやつだ。^^ 意識が強いか弱いかで、その結果は当然、おのずと変化する。からく意識をませばミスが少なくなるのは必然で、あまければ忘れてしまうことにもなったりする。^^

 とあるサラリーマンの出勤前である。

「…今日は振り替えで休みだったよな、確か…。いや、一応、確かめておくか…」

 平川は、いつもの時間に目覚め、頭を掻きながらブツブツとつぶやいた。寝室を出ると、これもいつものようにクローゼットへ行こうとしたが、ふと、思い留まって反転し、手帳の置いてあるいつもの棚へと足を運んだ。手帳には細かな予定がしるされている。平川は手帳を開けると今日のスケジュールを確認した。スケジュールには今日が出勤日と記されていた。平川の思惑は、『今日は休みだから、久しぶりにいつものファミレスで特製ハンバーグ定食を食べよう…』というものだった。まったく思惑が外れていたのである。

「ええ~~~っ!!」

 平川は思わず叫んでいた。出勤日ならそれなりのプロセス[過程]を進めねばならない。ところが妙なもので、そうと分かると平川の身体はスムーズにいつもの所作で動き始めたのである。辛めに意識していた訳ではなかったが、平川の深層心理が辛く意識していたのである。

「危うい、危ういっ!! 金ヶ崎から一路、今日だなっ!」

 歴史好きの平川は昨日きのう、読みあさった戦国時代ものの小説をふと、思い出し、そうはっきりと口走っていた。目指すは一路、京・・ではなく、勤務先の町役場を目指すこととなったのである。^^

『チェッ! 特製ハンバーグ定食を食い損ねたぞっ!』

 と、動きながら心で思ったが、すぐに思い返し、『まっ! ハンバーグはいつでも食えるか…。それよか、仕事は穴があけられんっ! 家臣は食わせねばならんからのう…』と、殿さま気分で思いながら、ニンマリした。

 その後、平川はいつものように、いつもの時間に町役場の商工観光課へ入庁した。職場にはいつものように甘くも辛くもなく、誰一人として出勤していなかった。

 辛めにいつも意識をしていると、バタつかなくて済む・・という一例のお話である。^^


                  完

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