8話
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「以上。しばらくテストは無いが各自予習、復習は怠らないように」
「起立!気をつけ、礼」
号令係の声で全員が挨拶をする。
「ありがとうございました」
さーて、帰ってドラマでも見よーっと!
「犬丸さん帰…あ」
そうだった、補習だったのを忘れていた。
ワラワラと帰り出生徒と席に座っている生徒数名。
…ん?
鮫崎さんも座ってらっしゃるうう!
「あら、猫田さんも補習?」
目が合うと珍しく鮫崎さんから話しかけてきた。
「いや、私は…」
「そう、残念ね」
別に何一つ残念ではないが、残念そうな顔をしておく事にした。
「なんか、鮫崎さんが補習って凄く意外だな」
「そう?私今回のテスト26点よ?」
って最下位かい!犬丸さんの下って鮫崎さんかい!
凄く賢そうなオーラを放っていただけに何も言えない。
「はいそこ!席につけー」
先生が教室に戻ってきた。
うん?そこ?…どこ?
「こら!早く席につけー」
…このクラスで立ってるの私だけだよね?
「もうどこでもいいから取り敢えず座れ」
私が席を探していると感じたのか先生が言った。
いや、違うくて…
私は30点以上あって平均点だったんです!って言ったら補習メンバーに絶対嫌われる!
まあ、いいか補習くらい。
渋々私は近くの席に座った。
「はいそれじゃあ、小テストを始める。50点以上取れた者から帰ってよし」
うげ。
配られたテストを見てみるとそれ程難しくは無さそうだ。
60点は行ける。大丈夫、ドラマには間に合う。
「出来たら前に持って来るんだぞ」
私がちょうど半分解けたくらいで誰か立ち上がった。
早いな…誰だろ?
あれ!?鮫崎さん!?ホントに大丈夫??今回のテスト最下位だったんじゃ…
「よし、満点だ。帰ってよし」
ええええ!!!
※
2番目は私だった。
「54点、ギリギリ合格!」
ふぅー、危ない危ない。犬丸さんはどうだろ?
ちらりと見てみるとまだ半分も解けていなかった。
…さきにかーえろっと。
「あ、鮫崎さん」
「あら奇遇ね」
下駄箱でちょうど先に教室を出ていた鮫崎さんと鉢合わせた。
「鮫崎さんホントにテスト26点だった?」
「ええほんとよ?」
「マークミスとかしたの?」
鮫崎さんは首を横に振る。
そんな馬鹿な…あのテストを私より早く解いてしかも満点なのにこの間のテストが26点?
「このテストは26点じゃないといけなかったの」
鮫崎さんは答えた。
ん?なんで?
26点を取らないといけないテスト?今回のテストは26点を取った人は多分鮫崎さんだけのはずだけど…
ふふ、と鮫崎さんは笑った。
またあの八重歯がみえる。
「せっかくだから一緒に帰りましょうか」