7話
2001年 2月22日生まれ。
百合高校 一年三組、出席番号21番。
入学時は真ん中の成績、身長体重は全国平均。
好物はラーメン。苦手な食べ物は辛い物全般。
趣味、無し。
性格、冷たい人と思われがちだが心の中は感情豊か。ただしあまり表に出さない。割に利己的。
中学時代はバスケ部幽霊部員。
小学校一年から中学三年までオール3(5段階評価)
得意科目特になし、苦手科目特になし。
恋愛経験、中学二年生の頃に初恋。
男子テニス部員の清潔感のある男子。特に進展もなく、気が付いたら冷めていた。
特徴、特になし。極めて普遍的な高校生。
強いていうなれば、普通過ぎること。
徹底的に徹頭徹尾普通。
異常なまでの、普通。
以上、猫田真希のプロフィール。
※
「猫田さん、おっはよん!」
登校途中、犬丸さんに声を掛けられた。
と言うかここ最近登校中毎朝、犬丸さんに会うのだが待ち伏せとかしているのだろうか?
そんな訳ないか。
「おはよ」
と私も答えた。
「ねえ、昨日の"あべちゃんずSHOW"みた?」
あべちゃんずSHOW…
なんだそれ
「そんな番組初めて聞いた」
「まあ深夜番組だからね〜」
なんか勝手に犬丸さんは10時には寝る人だと思っていたから少し驚いた。
「依頼者から浮気、不倫の相談が来るんだけどテレビがその真偽を確かめるの。浮気現場に依頼者が突入するシーンとか凄いよ」
なんか凄くドロドロしてそうなので見るのはやめようと思った。
「猫田さんは浮気ってどう思う?」
「まあ…普通にダメなんじゃない?」
そう答えると犬丸さんは驚いた顔をした。
「ちょっと意外!猫田さんは"バレなきゃ誰も傷つかないから良いんじゃね?"って言うと思ってた」
私そんな口調だったっけ?
「それはそうと昨日のテストどうだった?」
ドキン。
「わ、割るく中ったと重うヨ」
「猫田さん動揺して誤字ってるよ…私はねー、猫田さんが教えてくれたみたいにちょっと勉強してみたら案外面白いことに気付いたんだ」
ドキン、ドキン。
「だからちょっと今回のテストは自信アリ!」
そういってブイサインを私に見せた。
どうしよう、私めちゃくちゃかっこ悪い…!
※
「それじゃあ、テストを返すぞー。平均点は66点だ。一番から順番に取りに来い」
ガタッ!
犬丸さんが得意げに立ち上がる。ふうん、犬丸さんって出席番号1番なのか…
「はい、もう少し頑張れよー」
先生はそう言って犬丸さんに返した。
…うん?
「あ、あ」
わなわなと手が震えていた。
「どうしたの?」
私が聞くと犬丸さんはペラリと解答用紙をこちらに向けた。
「…!?」
に…28!?
わ、私が終わった。ただでさえ手応えが無かったのに、
「21番」
先生が呼んだ。
い、行かなくちゃ。2桁あればいい方か?まさか0点なんてね…
「21ばーん!誰だー」
「は、はい!」
慌てて返事をした。
先生からテスト用紙を受け取る。
ドクン、ドクン…!
ぺら。
66点。
…
……。
よ、よっしゃあああ!なんか知らないけど悪くない!
よくもないけど悪くもない!
なんでだろ?勘で答えた3択問題が当たったのかな?
「え…猫田さん、自信ない顔してたじゃん」
覗きに来た犬丸さんが呟く。
「なんか、割と…」
かける言葉が見つからない。このままだと私、勉強してないアピールしておきながらちゃっかり高得点とる嫌な奴見たいだ…
「えーとちなみに、最高点が91点、最低点が26点だ」
「よっし!最下位じゃない!」
と犬丸さんが小さくガッツポーズをした。
「えー、35点以下は補習があるので今日の放課後残るように」
落ち込む犬丸さんにかける言葉が無かった私は、ドヤ顔でピースをしておいた。
…まあ決して自慢出来る点数じゃないけど。