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6話

「それじゃあ、〇〇〇を始める」


死神が、笑った気がした。


さっきから震えが止まらないし背中は汗でびっしょりだ。


このままだと死ぬ…私は覚悟を決めた。




※15時間前


「ただいまぁー」


と家に帰る。テスト勉強しなきゃな、と思いつつもリモコンに手が伸びた。


…昨日録画した番組見てから勉強しよっと。



「姉ちゃーん!りょう君にフラれたよー!どうしよう!」


ドドドドと雪崩のような音と共に妹が降りてきた。


「また別れたの?全く、咲希は懲りないね…」


「違うもん!"今回は"本当に運命の人だったんだよ!」


ふと後ろを振り返ると大粒の涙を零し、鼻水を垂らした妹の顔がそこにあった。一瞬、汚い!と思ったが何となく不憫に思えてきたので頭にポンポンと手を乗せる。


「もう、その台詞何回目?告白してした男子全員を運命の人なんて本気で思ってるの?」


実際問題として、妹はよくモテる。

姉である私から言わせても多分学年で3番目くらいに可愛い。そしてここ最近は告白された(ことごと)くを受け入れて、半月程で別れて泣くという事を繰り返している。


「毎回思うんだもん!この人が運命の人って!」


「あんたねえ…」


運命ってバーゲンとかで売られるチンケなものだったっけ?

と言いかけて言葉を飲み込む。

危ない危ない、追い打ちをかけてどうする私。


「姉ちゃんはどうなのさ」


「…どうって?」


「今まで誰とも付き合った事ない姉ちゃんは運命を感じたことがあるの?」


グサッ。背後から思わぬ攻撃!


「そんな不確かで曖昧なもの、私は当てにしないから」


とりあえずの大人な意見を言って私は立ち上がった。

なんと言っても高校生。もう私は大人なのだ。


「結局は自分次第よ」


そんな決めゼリフを残して私は自室へと逃げ…向かった。


部屋のベッドで横になって天井を見上げる。

見たい番組があったのに、格好つけて出てきちゃったからなあ…


それにしても、運命ねえ。


チラリと時計を見ると6時15分。

夕食には少し早い、漫画でも読もうかな!



「姉ちゃーん!ごはーん!」


ああもう、ちょうどいい所なのに。

渋々下に降りてご飯を食べる。早めにご飯を食べ終わり、早めに風呂に入った。早く漫画を読みたい…


よし、このシーンを読み終わったら勉強するぞ!


……


…。




「っ!?やば!!」


ふと時計を見ると1時を回った頃だった。


ヤバいヤバい…!とにかく落ち着くんだ私、冷静になれ。

ほんのりと眠たい脳で勉強してあまり頭に入らず、試験中に眠気と戦うのだけはダメだ。


3時間だけ寝て、4時に起きよう。そこから勉強して勉強内容を忘れないままテストを受けよう!


よし、寝るぞ!




「真希!起きなさい!今日学校でしょ?入学早々遅刻するわよ」


んん、


時計を見た。


「わあああああ!!!!」


7時32分だった。

なんだか世界の全てが終わってしまえと思った。


け、仮病…!

いやダメだ、朝から大声を出してしまった。


どうする!?どうする!?私!!

入学早々アレをやるのか!?


か、カンニングを…




テスト用紙が全員に配られ先生は言った。


「それじゃあ、テストを始める」


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